司
…は?
えむ
つ、かさくん、言ってる意味がわかんないよ…
司
分からないんだ。えむが消えるのが、怖くて、
えむ
あたしきえないよ?
司
消える。お前は、おれ、に、殺される。
えむ
…え?
司
その前は飛び降り、その前は落下死、その前はトラックに引かれて…
えむ
あ、あたし死んでないよ?
えむ
ここにいるよ?
えむ
どうしたの?司くん、なんか、なんかおかし…
司
やだ!!!
司
俺から離れてる。
司
離れてるよな?
えむは一歩二歩と遠ざかって行く。
司
離れるな。
オレはえむの手首を強く握った
えむ
い、たい、よ
えむ
司くん?
司
えむ、消えないでくれ…
司
消えるならせめてオレと…
えむ
だ、だからあたしはっ!
ぎゅっ
司
お願いだ。俺と一緒にいて欲しい。
えむ
司、く、
司
死ぬならオレと死んでくれ。
えむ
わ、かんないよ、し、ぬ、とか、消えるとか、
司
えむがいつもオレの手で死ぬのが嫌なんだ…だから、だからもう、
司
死のう?
えむ
…えっ?
オレはえむを抱く力を強くする
えむ
いっ…?!
司
…えむ、幸せになろう?な、?
えむ
えっ、
ゴッ
えむ
…
司
えむがわるい、オレからすぐ離れるんだ。だからこうしなきゃ…こうしなきゃ…
オレはえむを抱き抱え、我が家へと歩く
えむ
…
先程は強く頭を殴りすぎた。 えむが起きたら謝ろう。
司
えむ、家まであと少しだからな。
司
ほら、あとすこし。
家の前につけばえむはピクリと動く。 オレはそれに気づかずえむを抱き抱える
司
…
リビングを見るのは“最後”になるな。
司
よし…えむ、あと少しだからな。
えむ
つ、かさくん?
司
起きたか。
えむをお姫様抱っこした状態で階段を上がる。
えむ
あたし、降りれる、お、ろして、
司
平気か?
曲がる時の段は確かほかよりもスペースが広いな。ここで下ろそう。
司
はい。
えむ
これ、どうしてここに…
司
あのだな
えむ
あッ、
ドゴッ
司
は、やくあがってしまおう
えむ
え?えっ、あっ、ちょっ、
司
先程は殴ってしまってすまなかった。
司
ああしなきゃ黙らないと思ってな
えむ
司くん、今でもまだ間に合うよ、あたし、帰っても、
司
ダメだ。離れるなと言っただろ?分からないのか?
司
早く行くぞ
えむ
やっ、いたっ!
どさっ
えむ
ひゃっ!
司
もう、離れないでくれ。
司
絶対に、逃げれないように、
オレは震えた右手を左手で抑え、部屋の鍵を閉める。
えむ
えっ?
えむの目からハイライトが消えたように見えた。なんて顔だ。
司
なあ、そんな顔しないでくれ。
えむ
や、こな、いで、
えむの瞳からは涙がぼろぼろと零れている。
司
えむ、泣かないでくれ。
そう呟いてえむの涙を舐めた