ya×jp学校パロ

始まった体育祭最初の競技は玉入れ。 初心を忘れないという意味で 取り入れた競技だ。

この競技は比較的平和なので女子の参加が多く、最初は応援団も盛り上げ重視で場を沸かせていた。

無事に玉入れが終了し、次は綱引き。 これはたっつんが参加すると 言っていた競技だ。

綱引きは力が必要になってくるので、 男子の参加が多い。

本気の勝負に、応援団も 気合いが入ってるようだ。

つい俺も応援団と一緒に 大声で応援してしまう。

ちなみにたっつんは1番後ろ。 団服である学ランを着ているので 一際目立っている。

さすがたっつん。 一気に団結させる力を持っている。

大きな銃声と共に始まった綱引き。

新学期が始まってから3ヶ月ほどで 素晴らしい団結力をみせ、 たっつん率いる赤組は見事勝利した。

2年3組の団結力は素晴らしく 仲も良い。これは優勝も見えるぞ。

借り物競争。 毎年ここでカップルが誕生したり 既に出来ているリア充が暴走したり 又は笑いが生まれたり。 競技の中では男女共に とても人気の競技となっている。

これは俺も結構楽しみなので、 始まるのを楽しみに待っていた。

競技の準備が完了し 借り物競技が始まった。

縁龍が出るのは中盤 たっつんは最後らしい。

ちなみに最初から『好きな人』などの お題は出にくく順調に進み 『自分のクラスの横団幕』や 『友達』などのノーマルな お題ばかりだった。

中盤にもなってくるとそのような お題もちらほらと現れてきて 毎年恒例のカップル誕生も。

みんなそれぞれの想いの伝え方で 会場は大きな盛り上がりを見せた。

そしてもう少しで縁龍の番。 縁龍は何のお題を引くんだろう。

……てか縁龍好きな人とかいんのかな？ …普通に気になるあ、気になるだけね？ ただの好奇心というか。

すっかり縁龍に惚れ込んでいる ファンの1年生も縁龍の登場を 心待ちにしているようだ。

縁龍がスタート地点に立つ。

職員のスタートの声と、 それと同時になる破裂音と共に、 縁龍含む第10走者が走り出した。

いくつもの紙が置かれている場所へ 到達しそれぞれがお題を引き始める。 縁龍も到着し、お題を引いた。 …何を引いたんだろうか。

お題を引いた縁龍。 他の生徒が次々にお題のものへと 走って行く中、何故か… 縁龍だけがその場で固まっていた。

もしかして縁龍、 マジで好きな人とか引いたのか？

最初はそう、思っていた。

赤色のもの1つ・黄色のもの1つ？ ……別に序盤でも出てくるような、 ごく普通のお題だ。

それじゃあ何故縁龍は固まっている？？

俺は目が良い訳ではないので はっきりとは分からないが、 明らかに縁龍の表情が戸惑い、 焦ったものになっている。

この学校に赤色のもの・黄色のものは 持ってこようと思えばいくつもある。

…何故持ってこない？…動き出さない？

いや…もしかして。

縁龍は、分からないから動き出せない？

今行くべき目的地。 つまり持ってくるべきものが 分からないのか？

…いや、でも。 縁龍に限ってそんなこと あるのだろうか。 成績トップな彼だぞ？

…いや、今はそんなこと 考えている暇はない。 どっちにしろ縁龍が戸惑って 動き出せていないのが事実。 縁龍の手助けをしなければ。 縁龍がいる方に向かって普段なら絶対に 出さないであろう大声を出して叫んだ。

赤色は横団幕に多く 含まれていたので自分のクラスの 横団幕を指さしながら指示した。

そして残るは黄色。 …今ある黄色のもの。 1番に目に入ったものを渡すべく 自分の服に手をかける。

考える暇もなく、自分が来ているクラス カラーの黄色で作成されたTシャツを 脱いでじゃぱぱの方へ向かって投げた。

俺の声に促されるまま 飛んできたクラスTシャツと 横団幕を持ち 縁龍はゴールへと走り出した。

我ながらの素晴らしいアシストもあり 出遅れた分を取り戻すかのように 素晴らしい走りを見せた縁龍は 2位でゴール。流石、足速いな。

………………。

縁龍の手助けの為つい無意識でTシャツ を脱いでいた為に上半身裸になっている ことに今気付いた。

自分で行くことでは無いが 肉体自体は普段から 鍛えているので見せて恥ずかしい ものでは無いはずだ。 そして急な露出に周りの女子の 視線が凄い。

………縁龍早く服返してくれないかな。

今は6月。 しっかりと暑い夏の季節なので 体温的なところは大丈夫だ。 でもやっぱり落ち着かないので 出来るだけ早く服を着たい。 …ところなのだが。 現実はそう上手くいかないらしい。

最後のたっつんの番が回ってきて、 たっつんが引いたものはまさかの 『仲良い先生』

嫌な予感がして見ているとたっつんは 案の定こちらに笑顔で向かってきて……

たっつんに引っ張られるままコースへ 連れてかれそのまま一緒にゴール。

まさかの展開に会場の盛り上がりは 凄いがなんだか複雑な気持ちだ。

そんなこんなでなんとか 無事全走者が走り終え 波乱の借り物競争は幕を閉じた。

さっさと服を着て改めて縁龍に 向き直ろうとしたのだが。

それだけ言って縁龍は 自分の席へと戻って行った。

……上手く縁龍に、逸らされた。

やっぱり。

…だとしたら もしかしたら俺の考えは 間違っていないのかもしれない。

だけどとりあえず 今は体育祭を全力で頑張ってもらおう。 ……話は後で。

まだ終わっていない競技は いくつもある。 最後まで全力で応援しよう。 そう意気込んで次の競技の 準備の手伝いに向かった。

怒涛の体育祭はまだ始まったばかりだ。