突然、リサの声に慌てて目を覚ます。彼女はすでに魔法の詠唱を始めていた。
リサ
汝、精霊と共にあるもの、その力を授けたまえ。神の怒りを与える。サンダー!
その瞬間、僕の足の爪先に雷が落ちた。
アストレス
うわっ!
僕は反射的に飛び上がった。痛みはないけど、驚きのあまり声を上げてしまった。リサは満足げな表情を浮かべている。
リサ
やった!
成功したことに喜んでいるのか、それとも僕を驚かせたことに喜んでいるのか、リサの表情からは読み取れない。しかし、どちらにせよ――危なかった。
リサ
次は水の魔法です。行きますよ
アストレス
あの、心の準備が――
僕が慌てて口を挟むも、リサはお構いなしに詠唱を始めた。
リサ
水に価値を、精霊に力を、ウォーター!
空中に小さな水の玉がポンと現れる。続いてもう一つ、さらにもう一つ。やがて水晶玉ほどの大きさに膨らんだその水の玉が、勢いよく僕に向かって飛んできた。
アストレス
冷たい! うわっ、ぶぁあ!
水の冷たさが肌に触れた瞬間、思わず叫び声を上げた。リサは笑いながらも、明らかにコントロールが上達しているようだ。水の玉は、僕の顔、しかも一番大事なイケメンフェイスを狙っているのが見て取れる。
アストレス
ちょ、顔はやめ、やめてください。
リサの言葉に、僕はほっと胸を撫で下ろした。水の玉は止み、ようやく息を整える時間が与えられた。
アストレス
ふぅ……助かった
僕は縛られたまま、地面に膝をつく。額から流れる汗と水の冷たさが、体の疲労をいや増しに感じさせた。
リサ
でも、明日はもっと厳しくしますよ?
アストレス
……明日もあるのかよ
リサ
もちろんです。早起き、忘れないでくださいね
軽やかに言い放ち、踵を返して去っていった。
縛りつけた僕をおいて、彼女の背中を見送りながら、心の中で小さく溜め息をついた。これからの魔法訓練が、さらに過酷になる予感がしてならなかった。






