テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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容姿は心の綺麗さで決まる

第1話 - 容姿は心の綺麗さで決まる

2021年03月16日

#ファンタジー

#SF

#高校生

#受験生

#友情

wat/SuZu

モデル　RYUKO

皆さん、こんにちは！

モデル　RYUKO

今日は、港区から話題のパン屋さんの紹介をします！

のぞみ

RYUKOちゃん、今日もかわいいな・・・

のぞみ

私みたいに、前歯出てないし、髪もサラサラで、スタイルも良いし・・・

のぞみ

目も大きくて、肌も白くて綺麗。

モデル　RYUKO

早速、店主の方へお話をお聞きしましょう！

のぞみ

いいなあ、私も本当は、

のぞみ

こんな風に生まれたかったな。

私は祈った。

のぞみ

私も、綺麗になりたいな。

のぞみ

せめて、人並みでもいい。

のぞみ

今よりも、綺麗な姿に、なれますように・・・

私はずるい人間だ。

何の努力もせず、ただ綺麗になりたいと願うだけなのだから。

「あの事件」が起こってから３か月が過ぎた。

地球上には、「醜い姿」の人間ばかりになった。

反対に、「綺麗な姿」の人は少ない。

のぞみ

（モデルのRYUKOちゃんも、全然テレビに出なくなっちゃったのよね）

のぞみ

（・・・RYUKOちゃん、大丈夫なのかな？）

「あの事件」は、ある日突然起こった。

世界中で、全ての人間の姿が変わってしまうという出来事だった。

不思議なことに、誰一人として生まれたままの姿の者はいない。

元々容姿が美しかった人は醜くなり、反対に綺麗ではなかった人が、美しくなることが多かった。

過去に整形をしたことがある人は、ほとんどが醜い姿になってしまった。

どうして突然こんな事が起きたのか、原因も、何も特定できていない。

のぞみ

私は、偶然以前よりは綺麗になったけど・・・

のぞみ

でも、「完璧」では無いのよね。

のぞみ

そもそも、どうしてこんなことに・・・

つけっぱなしのテレビから、こんな話が聞こえた。

とある学者

今回の世界的大事件で、確実に分かっていることがあります

とある学者

それは、「心の美しい人は、容姿が綺麗」だということです

テレビのスタジオの観客席から、数人が「えー？」とか、「何それ？」と声を上げたようだ。

とある学者

あくまで過程の話ですが、善行をつんでいる90代の近くのお坊さんにこの前会いましたらね、なんと見た目が20代前半に変わっておりました

のぞみ

え？！

とある学者

そして、顔も整っていたのです。ご本人にお聞きすると、若い頃はもっと鼻が低くて目も小さかったから、若返ったのではないと思うと言っていたのです

のぞみ

とんでもないことになってるね・・・

のぞみ

本当に、地球は一体どうしちゃったの？

とある学者

その話だけでは私も、心の綺麗さが容姿と直結しているとは言い切れません。他にも、こういうことがありました

とある学者

私は研究のために、凶悪犯罪を起こした人間にたびたびインタビューをしているのですが、世界が変わってしまってから、とある受刑者に会いに行きました。

とある学者

その受刑者は、自分の美しさを利用し、複数の男性を毒殺。持っていた財産をすべて相続し、逮捕された人なのですが、

とある学者

あの大事件が起きてからは、とてもじゃないが見られる顔ではなくなっていました。

スタジオにいるアナウンサーが、その方の容姿を詳しく質問する。

とある学者

・・・まさに、人間ではない何か、です。

とある学者

まず、目がありません。鼻はついていましたが口はおでこにありました。

とある学者

耳も、その・・・顎に２つついていたのです。もう、その時は私の頭がおかしくなったのかと思って動転したのですが・・・姿が変わったのはその方だけではなかったと、刑務所の方からもお聞きしました

スタジオの空気も重い。

のぞみ

・・・そうなんだ、まだ、正式には分かっていないけれど、心と関係があるかもしれないんだ・・・

のぞみ

じゃあ、私は「少し性格がいい人」なのかな？

クラスで一番綺麗だった一之瀬さんも、

学年で一番カッコいいと言われた並木君も、

殆どの人間が「以前より醜くなって」いた。

のぞみ

（多分、私はラッキーだったんだ）

こういった緊急事態なので、学校でもマスクの常用は可能としている。

変わり果てた自分の姿に混乱し、マスクをしている者もいれば、

あの大事件が起きてから一度も学校に来ていないクラスメイトもいる。

担任　及川

はい、じゃあテストを返します

のぞみ

（うちの担任も、あまり変化無いんだよなぁ）

のぞみ

（少しだけ、若返ったくらいにしか見えない）

担任　及川

古橋のぞみ

のぞみ

はい

担任　及川

今回、点数良かったな。これからもこの調子で頑張れよ

のぞみ

わあ、自己最高得点です

高校に入ってから、はじめての満点を取れた。

大事件が起きてからの試験だったため、混乱した生徒たちの中にはテストを受けていない者や、実力を発揮できなかった者も多かったと言う。

そんな中で、いつも通りの成績をたたき出した私は、学年1位の成績となった。

のぞみ

（見た目も悪くないし、成績まで1位になっちゃった）

のぞみ

（他の皆には悪いけど・・・私の時代が来たのかな？）

化粧をしてみた。以前よりも肌質が良いから、なじみも良かった。

成績が良かったから、親も私に欲しいものを買ってくれた。

洋服やバック、ブランド物も含めて。

のぞみ

今、私最高に幸せ！！

のぞみ

欲しいもの何でも持ってる！

のぞみ

イヌスタでも、いいね沢山されてる！！

のぞみ

もしかして、人生で一番良い時期なんじゃないのかな、今この瞬間！！

でも、それは長くは続かなかった。

ある朝

のぞみ

・・・あれ？顔が前より、大きくなってない？

昨日、揚げ物を食べたからむくんだのだろうか？

のぞみ

きっと、数時間経てばむくみは治るよね

のぞみ

ホルモンバランスによるものかもしれないし、様子見よう

翌日

のぞみ

・・・え？

明らかに、私の顔は大きく丸くなっていた。

のぞみ

顎が、シュッとしてたのに、今の私は、

のぞみ

前と同じような顔じゃない・・・？！

のぞみ

ああっ！前歯まで出て来てる！！

のぞみ

どうしてなの？どうして戻りつつあるの？

のぞみ

昔の顔なんか、嫌！！

何が原因なのだろう

周りの人は、あの事件以来顔も姿も変わっていない

のぞみ

うう・・・どうしよう

のぞみ

今日は学校休もうかな・・・

母

こら！のぞみ、そろそろ学校の時間よ！

のぞみ

・・・今日は休む

母

ダメよ！大学に入るために内申良くしようって話したじゃない

母

病気以外の欠席はダメなのよ

のぞみ

ええ・・・そう言われても、今の私、顔が変だから学校行きたくないよ

母

あなたは変じゃないわ、いつもと変わらないわよ

のぞみ

そんなことない、変だよ！変わったよ前の顔に！

母

気のせいよ、早く学校行きなさい！

のぞみ

・・・そうかな？わかったよ、学校行くよ・・・

あれ？のぞみ顔変じゃね？

調子乗ってたから元に戻ったじゃない？フフフ・・・

のぞみ

（みんな、ひどい）

のぞみ

（私のことバカにしてるの・・・？）

のぞみ

（みんなだって、ひどい姿なのに）

のぞみ

（神様、お願い。綺麗な私に、戻してよ・・・）

数日後

のぞみ

（あれから、姿は変わらない。ずっと、丸い顔に、昔からの出っ歯。困ったなぁ…）

のぞみ

あれ？川に何かある？

段ボールが、川に浮いている。

のぞみ

流れは緩やかだけど、危なくない？中身何かな・・・

ブレザーと靴下を脱ぎ、膝の下くらいの深さの川に入った。

のぞみ

・・・ええ？！子犬？！

段ボールの中には、生まれたての子犬が一匹入っていた。

のぞみ

嘘でしょ、こんなことする人間がいる訳？！

いくら流れが緩やかだからと言って、このまま放置したら死んでしまう。

のぞみ

私が、面倒見てあげるよ

帰宅後

母

犬なんか拾って、どうやって飼うの？

のぞみ

私の部屋で、私が育てる

母

まだ小さいじゃない。しょっちゅうミルクを与えなきゃいけないわよ。・・・あなたは大学に入学するために勉強しなきゃいけないでしょ？そんな時間あるの？

のぞみ

両立してみせる。お母さんには迷惑かけないよ

母

簡単に言うけどね、生き物を飼うって責任が伴うのよ？

のぞみ

・・・わかってるつもり

母

ちゃんと、しつけできる？

のぞみ

うん。トイレトレーニングもするし、言うこときくように指導する

のぞみ

だから、飼わせて。お願い

母

・・・仕方ないわね。餌代は、あなたのバイト代から出すのなら、認めます

のぞみ

うん、それでいいよ。うち、カツカツだもんね。

のぞみ

良かった。お母さん、ありがとう

更に翌日

のぞみ

（昨日は、子犬にミルクあげたりして寝不足だった）

のぞみ

（でも、自分で決めたことだから後悔はしない）

のぞみ

（私は、正しいことをしているはず。自分の気持ちに素直に、動いてるはず）

昨日から突然忙しくなったからか、今日は、あまり容姿が気にならなかった。

顔が丸いとか、歯が出ているとか、今はどうでもいい。

のぞみ

行ってきます！

母

気を付けてね。お母さんも、あなたが出発してからパートへ行くわ。確か、今日は終わるの17時よ。のぞみは、帰ったらすぐに犬の面倒見るのよ？

のぞみ

うん！14時半には帰って来るから、それまでお願い！

母

はいはい

子犬は気持ちよさそうに、すやすやと眠っている。

母

可愛いわね、この犬

母

あの子が、小さかった頃みたい。眠ってばっかりで、お腹がすくと、声を上げて。

母

親からしたら、子供がどんな姿に変わっても同じよ。

母

ただ、愛しくて可愛いの

のぞみ

みんな、おはよう！

いつも通り挨拶をする。返事はないが・・・

のぞみ

（これでいい）

のぞみ

（さ、1時間目から体育だ。準備しとこう）

その時、クラスメイトの一人が声をかけて来た。

あなたに悪口を言う人がいて、ごめんね。

あの場で止められたら良かったのに、止める勇気が無くてごめんね、と。

のぞみ

そんなこと、思ってくれてたんだ・・・

のぞみ

教えてくれて、ありがとう

のぞみ

私も、あなたのこと勘違いしてた。ごめんね

その子は、昨日よりも美しい顔立ちに見えた。

のぞみ

あ、そろそろ移動しないと体育の授業間に合わないね。

のぞみ

一緒に、体育館行こう

以前は、全然話さなかった子だった。

何がきっかけで話すようになるか、わからないものだな・・・。

のぞみ

・・・私、昨日犬を保護したんだ。川の中に捨てられていた犬なの

私は、彼女に昨日あった出来事を話した。

すると、昔犬を飼っていた時に使っていたリードやトイレ、餌のお皿などが家に残っているから、譲ってくれると言う。

のぞみ

ありがとう

のぞみ

今日、一度家に帰ってからすぐに寄らせてもらうね

翌日

のぞみ

あ、あれ？

のぞみ

私、綺麗になってる！

顔を洗って、化粧水をつけていたら気が付いた。

顔は丸くないし出ていた歯も、直っていた。

のぞみ

（そっか）

のぞみ

（心の綺麗さが、容姿に直結する・・・）

のぞみ

（だからあの子も、綺麗になっていっているんだ）

私に謝ってくれて、さらに犬の用品をくれたから。

のぞみ

善意の塊だもんね、あの子

つい笑った。今までクラスメイトなのに話さなかったからわからなかったが、とても親切で頼りになる子だった。

のぞみ

・・・あ、そういえば私、笑ったの久しぶりかも

この世界は、大きく変わってしまった。

綺麗な人は醜くなり、そして醜い人は美しくなったりもした。

そんな状況でも、私達はこれからも生きなければならないのだ。

のぞみ

あ、そろそろミルクの時間だ

母

ちょっとのぞみ、手伝って！

のぞみ

今行く！

おしまい

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