【第九章】花骸

すぐ来るはずなのに…

遅くないですか

ガチャ

私、生まれてからずっと

縛られて生きてきた

何をするにも縛られていた

ピアノを練習している時には必ず、 横に怖い顔をして怒鳴る母親がいた

学校のテストがあった日には必ず、 点数を聞くために母親が迎えに きているのが廊下の窓から見えた

友達と遊びに行こうとすると 部屋のドアを外側から固定された

機嫌を損ねると暴力を振るわれた その日のご飯もなかった

小学校高学年くらいの頃、 虐待疑惑がかけられ、家庭訪問 終わったあと、死ぬほど殴られた

私は身体も心も弱かった

親自身も、 重い精神疾患を患っていたから

私に対する束縛もみんな見て見ぬふり だった

私のことを「病気」「障害」 「虫」と言ってた

神経麻痺で動かなくなったと思っていた左手の神経に、異常が無かった

つまり原因は精神的なものだった

後から知ったが、病名は 「転換性障害」だった

でも母親は甘えだと思ったらしい

またいっぱい殴られた

特に何もなくてもわけのわからない 叫び声を上げながら爪が食い込むかと 思うぐらいの強さで引っ掴んできた

気が済むまで殴る蹴るを繰り返された

その目は健常者じゃなかった

その日中に暴力の雨がやまなかったこともあった

心臓疾患をもつ弟に泣きながら 止められて、ようやく助かった

殴られた後は毎回泣きながら謝られる

謝るくらいなら殴らないでほしい

でも病院に連れて行ってくれるのも ご飯食べさせてくれるのも 歩けなくなると迎えに来てくれるのも

全部、あいつ。

あいつは私をいじめることでストレスを発散している

私はあいつがいなきゃ生きていけない

逃げられない

こんな日々があと何日

何年

何十年…？

嫌だ

逃げたくて、逃げられなくて

あんな奴がいなければ幸せなのに

あんな奴に助けられて生きてる現状が

吐くほど嫌なのに

なんで普通に笑えるんだろう

もう怖いよ

…

気付けば溜まった8つの物語

第八章と名付けられたソレが完結した

HAPPY END

私は、とても長い時間 酷く冷めた目で物語世界を眺めていた

ただのそのへんに 転がってるHAPPY END

何の価値もない

親に縛られることも

暴力に支配されることも

時間に追われることも

病気に食い殺されることも

誰にも、勿論シナリオにも、

台本にも、みんなの望みにも

何にも縛られないまま

いつか、私は

私の望んだ物語を作りたい。

DAY : ２０２２ ７／8 彼女の小さな呟きに耳を傾けろ

うるせえよ

ガシッ！

バン！！

「 」

彼女の小さな呟きに

耳を傾けろ

𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭