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wt人外パロ

25 - 個の為に全を擲つ者達-離別

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2025年07月30日

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第二十五話 個の為に全を擲つ者達-離別

きりやんが神々しく輝き スマイルに手を伸ばす

スマイルはその手に 自分の手のひらを重ねて

杖に魔力を込め始めた

愚かなる者たちよ

神に宣言せよ、その罪と罰を――

Nakamu

俺らの罪は神の力を使って理を変えること!

きんとき

その罰は俺らの絆と理を変える方法を全部忘れること!

神は頷いた

――ではそれを罪と罰としよう

では罰を下すのは神か?

それとも己自身か?

スマイル

俺がその記憶を消そう

皆はスマイルを信じて力強く頷く

シャークん

それじゃぁ、また逢う日まで俺はこの魔法学校を離れるよ

シャークん

みんなが記憶を思い出さないように

シャークんは笑った

これは決して永遠の別れなどではない

Broooockを元気にするためなのだ

Nakamu

また、絶対に、いつか集まろうぜ!!

きんとき

必ず、また六人でワイテルズを復活させよう!

スマイルが杖を振りかざすと

Broooockを中心に 白い魔法陣が展開された

展開された魔法陣に きりやんが手を翳す

――――、――――

きりやんが聞きなれない言語で

呪文を唱えながら 魔法陣に神語を刻んでいく

するとスマイルの身体が パリパリと電気を帯び始め

次第に魔法陣が歪み 大きくブレはじめた

Nakamu

なんかヤバそっ……きんとき!!

Nakamu

スマイル側の方!
補正できる!?

きんとき

やる!
任せろよ!

Nakamu

俺はBroooock側を調整するから

Nakamu

シャークんはきりやん側やって!

シャークん

OKOK!

Nakamuとシャークんときんときは 手をつないで

その魔方陣に魔力を送る

三人に支えられた魔法陣は

ブレと歪みがおさまり 綺麗に神語が刻まれていく

すると三人の身体にも パリパリと電気が帯び始めた

シャークん

ちょぉっ……とキツいぞ、これは……!

送る魔力の回線から 得体の知れないものが逆流してきて

三人の身体を蝕む

内側から焼かれるような感覚が 体中に走って痛みが伴った

Nakamu

……っまだぁー!?

神語はまだ 魔法陣の半分しか刻まれていない

魔法陣から溢れ出る風が部屋中を荒らす

それでも三人は魔力を送り続けた

シャークん

ッぁぁぁあああ゙あ゙あ゙きついきついきついきつい!!

Nakamu

頑張れえええ!!

Nakamu

みんな頑張れ!頑張れ頑張れ!!

Nakamu

俺も頑張れぇーッッ!!

きんとき

んぎぎぎぎぎぃッ……!

次の瞬間――

パキンッ――!

スマイルの杖が音を立てて壊れた

スマイルは目を見開き――

その場に崩れ落ちそうに なったところを

手のひらを重ねていた きりやんに支えられた

耐えろ

頭に鐘が鳴るような声が響いた

スマイルが倒れた事で 魔法陣がより一層崩れたが

スマイルはきりやんの手を両手で握って きりやんに魔力を流し込み始めた

媒体を失ったのなら その代わりがあれば良い

スマイルはその代わりに きりやんを選んだ

それに気付いたきりやんは にやりと笑った

きりやん

その機転はNakamuの発想から――?

スマイル

Nakamuは――俺にはないものをくれた

きりやん

利用できるもんはしたほうが良いに決まってる

この神でもな

強力な魔方陣になった事で 三人への負担も軽くなり

悲鳴は聞こえてこなくなった

やがて魔法陣に神語が完璧に刻まれた

それを確認したスマイルは 魔法陣を縮小させ

Broooockに標準を合わせる

きりやん

さて、ここからが本番だ

きりやん

失敗するなよ?

スマイル

この、魔法陣は完璧か?

スマイル

他に忘れてる工程は――

きりやん

なんでこんな時にそんなに疑うんだよ!

きりやん

完璧だよ!!
俺が組み立てたんだから!!

Nakamu

早くしろってぇー!!

Nakamu

魔力尽きる!早く!!

きんとき

喧嘩してんじゃねぇぞコラーッ!!

シャークん

あ、もうマジで無理
俺抜けていい??

スマイルが大雑把に合わせた標準を きりやんが修正して固定する

きりやん

手ぇ放すぞスマイル!
耐えろよ!?

スマイル

任せろぉ!

きりやんはスマイルの手を離して 魔法陣に手をかざす

スマイル

正念場だ!

スマイル

Nakamu、シャークん、きんとき!

スマイル

きりやんが魔法をBroooockに注ぎ込むまで全力で魔法陣を固定しろ!!

Nakamu

だからっ!

Nakamu

魔力がもう尽き――っ!?

魔力が足りないと 嘆いていたNakamu達の中に

奥底から湧き上がるような 魔力が溢れ出てきた

シャークん

な、なんだこれ……

きんとき

スマイルもしかして俺らに魔力をくれてる!?

大量の魔力を与えられた三人の眼が輝く

溢れ出るその力を全力で開放した

全員

うおおおおおおおお――――ッッ!!!!

輝きを増した魔法陣は 部屋全体を光で埋め尽くし

視界は真っ白に染まった

――光が見える

赤色の光が弱々しくそこにいる

神々しく輝く黄色の光が 赤色の光の傍にやってきた

 

Broooockー、またね

黄色の光は音もなく 消え去った

次に赤色の光の傍にやってきたのは

炎のように揺らめく紫色の光だった

 

ちゃんと痕跡残しとくから
迷うなよ、Broooock

紫色の光は風に吹かれたように 消え去った

次に赤色の光の傍にやってきたのは

普通の青色の光だった

 

今度はちゃんと外で遊ぼうな、Broooock

青色の光は小さくなって 見えなくなった

次に赤色の光の傍にやってきたのは

歪に刺々しく輝く緑色の光だった

 

話してくれてありがとな、Broooock
待ってるよ

緑色の光はぱっと力強く輝くと もうそこには何もなかった

大きく力強い輝きを放つ水色の光が

赤色の光に寄り添った

 

おやすみ――Broooock

水色の光はふっと 消え去った

一番最初に目を開けたのは Nakamuだった

Nakamu

ゲホッゲホッ!

倒れていた体を起こして

Nakamuは顔を上げる

そこには神々しく光を放つ きりやんが佇んでいた

罪が犯された―― 罰を――

頭に鐘のような声が響く

Nakamu

っ、スマイル!!

Nakamuがスマイルに視線を移すと

スマイルはその場に倒れていた

Nakamu

スマイル!?

Nakamu

意識がない……魔族は寝ないんじゃねぇの!?

Nakamu

まさか死――

Nakamuがそう叫んだ瞬間――

Nakamuは自分がどうして ここにいるのかわからなくなった

Nakamu

…………あれ?

Nakamu

え――

Nakamuが最後に見たものは

神々しく輝きを放つ神の姿だった

Broooockの部屋で倒れていた Nakamuとシャークんと きんときの姿が消えた

きりやんは視線を上げると

何もない空中を見据える

きりやん

――スマイル

スマイル

もうあまり魔力が残ってない

スマイル

器を動かす力もない

スマイル

三人から記憶は消した

スマイル

話すのもこれが最後だ

スマイル

きりやんの記憶から消すぞ

きりやん

うん

きりやん

俺のはワイテルズの記憶だけでいいから

スマイル

わかった

きりやん

……死ぬなよ、スマイル

スマイル

……じゃぁな、カミサマ――

ただの魔力の塊となったスマイルは きりやんから記憶を奪った

スマイルは残り少ない魔力で Broooockの部屋に時間凍結魔法をかけて

部屋全体を異空間へと転送した

これで彼が外部から 攻撃されたりする心配はない

これらの魔法は Broooockの目覚めと共に解ける魔法だ

それからスマイルは 自分の記憶からもそれを取り出し

Broooockの中へとすべて注ぎ込んだ

スマイル

(これで――神の目は欺けた)

Broooockが目覚めた時――

彼は仲間たちの記憶を視るだろう

そして、全てを知った彼は――

絶対に、全員を集めるために 動いてくれる事だろう

Broooockの部屋の 中央にいたきりやんは

ぐるりと部屋を見渡すと

その場から消え去った

もう魔力の残りも少なくなって

存在さえ掻き消えようと していたスマイルは

眠っているBroooockから 少しだけ魔力を抜き取ると

器に戻って身体を動かして ふらふらと立ち上がった

スマイル

(間に合った――)

スマイル

(本当に消滅寸前だったぞ)

スマイル

(なんで俺こんなに魔力を消耗してたんだ……?)

記憶がなくなったスマイルは 壁を支えにしながら立ち上がると

眠っているBroooockに視線を落とす

スマイル

(……Broooockを、守らないと)

スマイル

(そうか、Broooockを守るために魔法をつかって消耗した――のか?)

スマイル

(それでもこんな魔法に消滅寸前まで……)

Broooockの病室は亜空間にあるし ここは時間凍結魔法がかかっている

しかしそれだけの魔法だけでこんなに 消滅寸前まで消耗するものだろうか?

スマイル

(わからない)

スマイル

(とにかくBroooockはここにいれば安全だ――)

そうしてスマイルが顔を上げたとき 彼の頬に何かが伝った

スマイルはそっと それを手に取って確認する

そこにはみずが付着していた

 

――魔法には無限の可能性があるんだよ!

 

――願いを叶えてよ

スマイル

…………わすれたくなかった――

スマイルは一人 震える手で自分を抱きしめた

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