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私は、妹が大嫌いだ。

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私は、妹が大嫌いだ。

2 - 私は、妹が大嫌いだ。後編

♥

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2019年11月06日

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晴菜

お姉ちゃん…?

晴菜

何持ってるの…?

晴菜

何で…カッターナイフを持ってるの…

私は気づけば机に置いてあったカッターを手に持っていた。

深花

…のせいで…

晴菜

…?

深花

…あんたのせいで!

深花

あんたが…産まれてきたせいで…っ

晴菜

お姉…ちゃん?

深花

…晴菜?私が両親から冷たくされてる事って知ってる?

晴菜

…えっと……

深花

知ってたんだ。

深花

気づいていたのに、何もしてくれなかったんだね。

晴菜

ごめんね…!

晴菜

私、どうしたらいいのか分からなくって…

深花

自分が良ければどうでもいい。

晴菜

え…?

深花

そう思ってるんでしょ?

晴菜

ちがっ────

深花

私が両親に冷たくされてる理由…分かる?

晴菜

……

首を横に振る

深花

(やっぱり分からないんだね。)

深花

…あんたが"可愛くて凄かった"からだよ。

晴菜

…私…が?

深花

晴菜が産まれてきてから、両親は私の事を耳すら傾けなくなった。

深花

話しかけても「晴菜晴菜」って…

深花

私がいないのと同じで、さ…。

深花

晴菜と同じことが出来ても、晴菜の事ばかり褒めて。

深花

見てくれたと思えば、お母さんは「お姉ちゃんなんだから」って言う。

深花

何でこんな風になっちゃったんだろうね…っ

深花

あんたさえ産まれてこなければ…

深花

(私は今…幸せだったかもしれないのに…)

晴菜

…どうしたの、お姉ちゃん…?

晴菜

こ、こないで…

晴菜

近づいてこないで…っ

深花

全部あんたのせいだ。

深花

…あんたのせいだ!

───サクッ

晴菜

きゃっ!!

晴菜

いっ……

私はカッターを晴菜に向かって振った。

カッターの刃は、晴菜の頬をかすり、そこから血が流れた…

深花

(…ウザイ憎い…腹が立つ…)

晴菜

ご、ごめんなさいっ……

深花

(あぁ…凄く苦しそう…痛そう…)

深花

(今の晴菜の気持ちは私が味わった気持ち…)

深花

(だからもっと苦しんで…)

深花

死ね…

晴菜

…や、やめて…っ

グサッ

グサッ…

グサッ…

晴菜

うっ…はっ…!

晴菜

もう…や、めてっ…

晴菜

お願…い…

晴菜

お願い…だか、ら…

晴菜は涙目で苦しみながら必死に願う姿を見て私は笑う。

幸せを充分に味わった後は 不幸を味わせる。

仕方ないよね。 人生は不幸の塊なんだから。

深花

あははっ…

深花

苦しめ…苦しめ!!

深花

もっと…もっと…っ!

晴菜

ガハッ…!

深花

…最後に言いたいことは?

晴菜

…っは…

晴菜

お姉…ちゃん…

晴菜

ぬいぐる、み…ありがと、う…。

晴菜

…ごめん、なさ…い…

深花

…っ

そう言って晴菜は動かなくなった。

深花

何で最後に、感謝と謝罪なのよ…。

深花

私が聞きたかったのは…っ、

深花

私に対する憎しみの感情なのに…

深花

血で真っ赤に染まったカッターを握りしめ、部屋を出た…

タッ,タッ…

深花

深花

お母さん…

お母さん

…何?

お母さん

今忙しいの。話しかけないで

お母さんは私に背を向けてそう言う。

深花

(やっぱり私の方にすら向いてくれないんだ…。)

深花

(お母さんは…なんで…)

深花

なんで、愛してくれなかったの…?

お母さん

!!

深花

私、頑張ったのに…

深花

晴菜より頑張ってきた方なのに…

深花

私の方へ振り向いてもくれないんだね…。

お母さん

だから、話しかけないでって言ってるでしょ────

お母さん

…え……

お母さん

み、深花…なんでそんなに真っ赤なの…

深花

お母さんはさ、

深花

…私より晴菜が大切なんでしょ…

深花

晴菜とずっと一緒にいたいよね?

お母さん

…あ、当たり前で、しょ…?

深花

(…そう言うと分かってた。)

深花

(なのになんでこんなに心が痛いんだろ…)

深花

そっか…

深花

なら、一緒にしてあげるよ。

深花

お母さん

か、カッターっ!?

お母さん

何をする気なの、深花!

深花

お母さん

こ、こないで!

お母さん

いやぁぁあああ!!

──ブスッ

ブチッ…

お母さん

ぁっ…深花……

刺し所が悪かったのか、1回刺しただけで動かなくなった。

深花

……

ガタッ

お父さん

ど、どうした!!

お母さんの悲鳴を聞いたお父さんが駆けつけてきた。

お父さんは私と血だらけで倒れているお母さんを見てその場で固まってしまった。

お父さん

…え、ぁっ…

お父さん

お母さん…?

深花

……

お父さん

深花…お前…

お父さんは慌てて携帯を取り警察に電話をした。

お父さん

す、すみません!

お父さん

お、お母さんが…、!

お父さん

お母さんが、血だらけで倒れてて…っ

お父さん

お父さん

…えっと…じゅ、住所は…

深花

(…どうせお父さんも私より晴菜の方が大切で)

深花

(ずっと一緒にいたいんだろうな。)

深花

なら、一緒にしてあげるよ…。

お父さん

は、早く!急いでくれ!

深花

(電話に夢中だなぁ…なら、後ろから…っ!)

ブスッ…

お父さん

うぉっ……

お父さん

ぁ…うっ…

お父さん

深花……

深花

…お父さん。どうして私が何をしても褒めてくれなかったの…?

お父さん

……

深花

……

深花

…向こうで幸せにね。

携帯

携帯

…もしもし!

携帯

どうされましたか!

携帯

聞こえますか!?

携帯

もしも────

プツン…

深花

……

深花

(これで何もかもなくなった。)

深花

…あはは……

深花

あははっ…

深花

あははは!!

不幸で閉じ込められた箱が開いたような開放感があった。

深花

あはっ…

スーッ────

深花

(あ、あれ……?)

深花

な、なんで涙が…

深花

…なんで…なんで止まらないの…っ

深花

なんでっ…

「深花、偉いわ!」 「凄いじゃないの!」

「深花また今度皆で遊びに出掛けるか!」

深花

…ぁ、ぁっ…

晴菜が産まれる前に言われた言葉を思い出す…。

深花

(本当はもっと褒めて欲しくて…)

深花

(でも、晴菜が産まれてから私は褒めて貰えなくなって…。)

深花

私はただ…晴菜に嫉妬していただけなのかな…っ

深花

私はっ、家族でもっと仲良くいたかった…

深花

なのにそれは無理だった…

深花

それは、全部 晴菜が悪い、って思ってたけど…

深花

本当は…私が出来る子じゃないからいけなかったんだ…

深花

全部…私のせいなのに…

深花

…ごめんなさい…っ…

深花

ごめん…なさ…いっ…

段々パトカーのサイレンの音が外から聞こえてくる。

私は、震えた手でカッターを握りしめ、

勢いよく自分に向かって振り下ろした…。

グサッ…

深花

うはっ…ぁ…

深花

うっ…

深花

はぁ…っ…はぁ…

深花

お母さ、ん…お父さん…晴菜っ…

深花

本当に…っ、ごめん…な、さいっ…

深花

出来ない、子で…ごめんな、さい……

深花

………

気づけば目の前は真っ暗になっていた…。

…ガタッ

???

───おい!ここに人が倒れているぞ!

???

…大丈夫か!?

???

おい!大丈夫か!

???

……か!

???

………

遠くで誰かが叫んでいる…。

その声は段々遠くなり、 聞こえなくなっていった…。

???

……

???

…か

???

深花…

深花

深花

だれ……

深花

(誰かが私の名前を読んでる…)

深花

(なんだか、聞き覚えのある暖かい声…)

???

深花…

深花

…!?

深花

お、お母さん……

目の前には、死んだはずの3人が立っていた…。

お母さん

深花…ごめんなさいね…

お母さん

深花に対しての態度を冷たくしてしまって…

深花

…なんでっ…なんでここに…

深花

ここは、どこなの…

深花

私死んだはずじゃ────

深花

(死んだ?…あ…私、家族を…)

深花

あぁっ…お母さん、お父さん、晴菜っ…ごめんなさい…っ

深花

私っ、家族を刺してしまった…

お母さん

…深花…もういいのよ

お母さん

ここまで悲しませてしまってごめんなさいね…

お母さん

全部私達が悪いの…。

お父さん

…深花、本当にすまなかった…

深花

…っ

晴菜

晴菜

お姉ちゃん…っ!

晴菜は、涙目になりながら私に抱きついてきた。

深花

…!晴菜…っ?

晴菜

…私のせいで…っ、お姉ちゃんを苦しめてしまって…

晴菜

ごめんなさい…っ

晴菜

私がもっとちゃんとしてれば良かったのに…。

深花

………

深花

ううん…晴菜のせいじゃないよ…

深花

悪いのはね、全部 私だから。

深花

私が…全部、悪いの…っ

深花

ごめんなさい…。

深花

…ごめんな…さいっ…

お母さん

…深花……。

お母さん

…これからはずっと一緒にいましょ

お母さん

もう、苦しめたりしないわ。

深花

え、…で、でも…

深花

………

深花

…ありがと、う……

私は家族が嫌いだ。

なのに、今は一緒にいたいと思った。

今まであったことは、 全て私が悪いんだ。

なのに、 全て晴菜や両親のせいにしていた…

私は心の底から何度も謝った。

家族に包まれて、 暖かくて、心地が良い…。

…これからは、

ずっと、一緒だよ

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コメント

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これ全員生き残ったのかな?良き話でした!!

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