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#スピンオフ
井川奎
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#超特急 最年少
聖次
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花凜
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コメント
1件
読ませていただきました。 湊くんの「いつも莉央の後ろ」という視線の描き方がとても丁寧で、片思いの切なさがじんわり伝わってきました。特に「好きな人いる?」の問いかけで心臓が跳ねる感覚や、冗談で流されてしまうもどかしさに、胸がぎゅっとなりました。それでも、莉央が湊を意識し始めるというラストの一文に、この先の展開がすごく気になります。続き、楽しみにしていますね🌷
朝の教室は、いつも少しだけ騒がしい。
まだ先生が来ていない教室では、昨日のテレビの話や、宿題をやったかどうかの話で、あちこちから声が聞こえていた。
俺は自分の席に座りながら、窓の外を見ていた。
正確には、窓の外を見ているふりをしていた。
本当は、教室の入り口を見ていた。
そして――
おはよー!
その声が聞こえた瞬間、自然と顔がそちらを向いた。
水瀬莉央。
肩まで伸びた髪が揺れて、いつものように笑っている。
それだけで、朝から少しだけ気分がよくなる。
単純だと思う。
自分でもそう思う。
でも、好きな人が笑っているだけで嬉しくなるのだから、仕方がない。
莉央は友達と話しながら、俺の席の近くを通り過ぎた。
そして、一瞬だけ俺の方を見る。
莉央
湊
朝から、心臓が少しだけ速くなる。
たった一言。
それだけなのに。
莉央
湊
莉央
莉央は笑った。
俺も笑った。
いつも通りの会話。
何も特別じゃない。
俺にとっては、特別だけど。
莉央が自分の席に戻っていく。
その背中を、俺は無意識に目で追っていた。
いつもそうだった。
俺はいつも、莉央の後ろにいる。
登校するときも。
教室で話すときも。
帰るときも。
いつだって、莉央の後ろ。
まるで、彼女の背中を追いかけることが、俺の日常になっているみたいに。
昼休み。
俺は友達と弁当を食べていた。
すると、少し離れたところから莉央の声が聞こえた。
莉央
湊
莉央
一瞬、箸が止まった。
湊
莉央
湊
莉央
湊
莉央
莉央は少しむっとした顔をした。
でも、すぐに笑う。
莉央
湊
莉央
湊
莉央
その言葉に、また心臓が跳ねた。
……やめてくれ。
そういう言い方。
期待してしまうから。
俺が黙っていると、莉央は不思議そうに首をかしげた。
莉央
湊
莉央
莉央はそう言って、自分の席に戻っていった。
俺はその背中を見つめながら、少しだけ笑った。
湊だからいいんじゃん
その言葉を、何度も頭の中で繰り返していた。
もしかしたら。
もしかしたら、今日は何か特別な話をされるのかもしれない。
そんな期待をしていた。
だけど。
放課後。
俺はその期待を、すぐに後悔することになる。
放課後。
俺と莉央は、並んで学校を出た。
最初はいつも通りの話をしていた。
今日の授業がどうだったとか。
先生が面白かったとか。
そんな、どうでもいい話。
でも、駅へ向かう道の途中。
莉央が急に黙った。
莉央
湊
莉央
足が止まりそうになった。
湊
莉央
湊
莉央
莉央は前を向いたまま歩いている。
俺はその横顔を見た。
そして、少しだけ息を吸った。
湊
莉央
莉央がこちらを振り返った。
その顔は、本当に驚いていた。
湊
莉央
湊
莉央
湊
莉央
聞かないでほしかった。
でも、聞いてほしかった。
そんな矛盾した気持ちが胸の中にあった。
湊
俺は莉央を見た。
本当は、今すぐ言いたかった。
ずっと好きだった。
毎朝、君を探している。
君が笑うだけで嬉しい。
君の一言で一日中幸せになれる。
そんなことを、全部。
でも、言えなかった。
まだ、言う勇気がなかった。
湊
莉央
湊
莉央
湊
莉央
莉央は少し考えてから、楽しそうに笑った。
莉央
湊
莉央
湊
莉央は足を止めた。
俺も止まる。
莉央
莉央は、俺の顔をじっと見た。
その目に、少しだけ真剣な色が浮かんでいた。
莉央
心臓が、嫌なくらい大きく鳴った。
まさか。
気づいたのか?
俺は、莉央の言葉を待った。
でも。
莉央
湊
莉央
湊
莉央
湊
莉央
湊
莉央は少し考えた。
そして、突然。
莉央
――時間が止まった。
冗談だ。
きっと、冗談。
そう思った。
でも。
莉央は笑っていなかった。
俺を見つめたまま、返事を待っている。
湊
言えない。
言えるわけがない。
今ここで『そうだ』と言ったら。
この関係は、きっと終わる。
俺は目をそらした。
その瞬間。
莉央が小さく笑った。
莉央
湊
莉央
その言葉に、胸の奥が痛くなった。
莉央
莉央はそこで言葉を止めた。
そして、俺の前を歩き始める。
俺はその背中を見つめた。
いつもと同じ。
いつものように、莉央の後ろを歩く。
でも、その日だけは。
いつもより、彼女の背中が遠く感じた。
そして、俺はまだ知らなかった。
この日を境に。
莉央が少しずつ、俺のことを意識し始めることを。
ただ、その理由は――
俺が彼女から離れようとしたからだった...