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その日、家に帰ると、スマホの通知音が鳴った。

ロック画面には、見知らぬメッセージアプリの通知。

『今日のスカート、紺色だったね。似合ってたよ』

一瞬、心臓が止まりそうになった。

名前も表示されていない。アイコンも何も無い。

誰が送ってきたのかもわからない。

でも、その内容には見覚えがあった。

_今日、私が履いていたスカートの色。

誰にも話していないし、写真も撮っていない。

恐る恐るメッセージを開こうとした瞬間、スマホの画面がふっと切り替わった。

いつもなら指紋認証でロックがかかるはずの画面。

何故か、何もせずに中身が開かれた。

……ロック、解除されてる?

橙 。

……嘘、でしょ……

冷や汗がにじむ。

何かのバグ? それとも、自分の操作ミス?

橙 。

まさか……

胸に浮かんだひとつの名前。

__赤くん。

でも、そんなはずない。

彼がそんなことをする理由も、手段も、あるわけが_

『今、怖がってる?でも大丈夫。俺は見方だから』

再び、画面の浮かんだメッセージ。

震える指でスマホを落としそうになった。

どうして、私の気持ちまでわかるの……?

もう"偶然"や、"優しさ"じゃ、説明がつかない。

私の知らないところで、何かが始まっている。

私の知らない私が、誰かに、すべて握られている。

あなたが壊れるまで、恋してあげる

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