あの夏が飽和する/カンザキイオリ
※キャラクターは全てオリジナル
主人公 名前:間宮裕貴/ユウ ダメ人間
ヒロイン 名前:田中夏希/ナツ 人殺し
コンコン…
ユウ
ユウ
ガチャッ…
ナツ
ユウ
君はそう言っていた
ナツ
梅雨時ずぶ濡れのまんま
部屋の前で泣いていた
ユウ
ナツ
夏が始まったばかりというのに
君はひどく震えていた
ユウ
ユウ
あの夏の日の記憶だ。
ユウ
ナツ
✧• ─────────── •✧
ナツ
ナツ
ユウ
ナツ
ナツ
ユウ
✧• ─────────── •✧
ナツ
ユウ
ナツ
ナツ
ユウ
そんな君に僕は言った
ユウ
ナツ
ユウ
ユウ
ナツ
ユウ
ユウ
ナツ
ナツ
あの写真も
あの日記も
ナツ
小さな
ナツ
ユウ
"君"と "僕"の
"旅だ"!
そして僕らは逃げ出した
狭い狭いこの世界から
家族もクラスの奴らも
全部投げ出して
"君"と2人で
ユウ
ナツ
ユウ
ナツ
ユウ
ユウ
君は何も悪くないよ。
ユウ
ナツ
ユウ
ナツ
ナツ
ユウ
結局僕ら
誰にも愛されたことなど
無かったんだ。
ユウ
ナツ
ナツ
ユウ
ナツ
そんな嫌な共通点で
僕らは簡単に信じあってきた
ユウ
ナツ
ナツ
ユウ
君の手を握った時
微かな震えも既に無くなっていて。
誰にも縛られないで
ナツ
ユウ
二人線路の上を歩いた。
ザーッ…
ユウ
ナツ
ユウ
ナツ
ユウ
ナツ
ナツ
ユウ
ナツ
ガシャン!!
ナツ
金を盗んで
店員
ユウ
ナツ
タッ!
店員
ナツ
ユウ
二人で逃げて
どこにでも行ける気がしたんだ。
今更怖いものは
僕らにはなかったんだ。
ユウ
ナツ
額の汗も
ユウ
ナツ
ナツ
落ちたメガネも
ナツ
あぶれ者の
小さな
逃避行の
"旅だ"!
ユウ
ユウ
"主人公"なら
ユウ
ユウ
ユウ
ナツ
だって"現実"を見ろよ?
ナツ
ナツ
ナツ
ナツ
"自分は何も悪くねぇ"と
ナツ
ナツ
ユウ
ナツ
あてもなく彷徨う蝉の群れに
ユウ
ナツ
ナツ
ユウ
水もなくなり揺れ出す視界に
警察
店員
警察
ナツ
ユウ
ナツ
迫り来る鬼たちの怒号に
バカみたいにはしゃぎあい
警察
ユウ
ナツ
ユウ
ナツ
ふと君はナイフを手に取った
スチャ…
ナツ
ナツ
ユウ
ナツ
ユウ
もういいよ。
ナツ
ユウ
いいよ!
ザシュッ!!
ユウ
"そして君は首を切った"。
ユウ
まるで何かの映画のワンシーンだ。
ユウ
警察
白昼夢を見ている気がした。
警察
ナツ
ユウ
気づけば僕は捕まって
ユウ
ユウ
君がどこにも見つからなくって
ナツ
ユウ
警察
ユウ
君だけがどこにもいなくって。
そして時は過ぎていった
警察
ユウ
ただ暑い暑い日が過ぎていった。
裕貴の母
ユウ
裕貴の父
ユウ
家族も
クラスメイト
クラスメイト
ユウ
ワイワイガヤガヤ
クラスの奴らもいるのに
ユウ
ナツ
ユウ
何故か"君"だけがどこにもいない
ユウ
店員
店員
裕貴の母
ユウ
ユウ
今でも
"歌ってる"
ユウ
"君に言いたいことがあるんだ"
ユウ
9月の終わりにくしゃみして
ユウ
ナツ
6月の匂いを繰り返す
ナツ
ユウ
ナツ
君の笑顔は
ナツ
ナツ
君の無邪気さは
ユウ
ユウ
僕の頭の中を飽和している
ユウ
君は何も悪くないから…
ナツ
ナツ
ユウ
ナツ
✧• ─────────── •✧
ユウ
"ユウ"。 …なぁ?
ユウ
ユウ
…またね、
"ナツ"。
お疲れ様でした。
ちょっとしたあとがきです。
【ユウ】と【ナツ】は、2人だけがお互いをそう言い合っています。
なんとなく、2人は昔からの仲だといいなぁと思い、親しげな呼び方にしてみました。
この作品で、感動して下さったり、涙を流してくださった方がいればとても嬉しいです。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!