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ヒラリヒラリと舞い遊ぶように
姿見せたアゲハ蝶
夏の夜の真ん中
月の下
喜びとしてのイエロー
憂いを帯びたブルーに
夜の果てに似ている漆黒の羽
♩
旅人に尋ねてみた
どこまで行くのかと
いつになれば終えるのかと
旅人は答えた
「終わりなどはないさ」
「終わらせることはできるけど」
そうじゃあ
お気をつけてと
見送ったのはずっと前で
ここを未だに還らない
彼が僕自身だと気づいたのは
今更になってだった
あなたに逢えたそれだけで良かった
世界が光に満ちた
夢で逢えただけで良かったのに
愛されたいと願ってしまった
世界が表情を変えた
夜の果てでは空と海が交じる
♩
詩人がたったひとひらの言の葉に込めた
意味をついに知ることはない
そうそれは友にできるのならあなたに
届けばいいと思う
もしこれが戯曲なら
なんてひどいストーリーだろう
進むことも戻ることもできずに
ただひとり舞台に立っているだけなのだから
あなたが望むならこの身など
いつでも差し出していい
降り注ぐ
火の粉なの盾になろう
ただそこに一握り残った
僕の想いを
すくい上げて心の隅において
♩
あなたに逢えた
それだけでよかった
世界に光が満ちた
夢で逢えるだけでよかったのに
愛されたいと願ってしまった
世界が表情を変えた
夜の果てでは空と海が交じる
荒野に咲いたアゲハ蝶
揺らぐその景色の向こう
近づくことはできないオアシス
冷たい水をください
できたら愛してください
僕の肩で羽を休めておくれ
終。