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一咲 花音(いっさ かのん)

はあ、はぁ……

ほいくえんに、まよわずついた。

一咲 花音(いっさ かのん)

えっと、しゃしんは…

一咲 花音(いっさ かのん)

きょうしつだ!

そうして、かおんはさくらぐみのきょうしつにはしったの

一咲 花音(いっさ かのん)

あ、あった!

せいふくのなかにあった、にまいのしゃしん。

かおんのだいすきな、なおととうつってる。

一咲 花音(いっさ かのん)

よかった。

しゃしんをむねにだきよせて、なみだがでたからめをこすっていた

しかし

一咲 花音(いっさ かのん)

……!

ゴゴゴゴゴゴゴ……と、いままでにきいたことのないおとがちかづいてくる

一咲 花音(いっさ かのん)

……

一咲 花音(いっさ かのん)

つなみ…

ほいくえんも ぐらぐらとゆれてきている。

探し物は、手に入ったようだね

一咲 花音(いっさ かのん)

!!

うしろには、さっきはなしかけてきたひとがいた

一咲 花音(いっさ かのん)

あなたは…だれなの?

わたしは

死神です。

一咲 花音(いっさ かのん)

しに、がみ……?

相手が死ぬ時や、死期が近い者に対してある時突然よってくる。一般的にはそう言われているよね。

しかし、それはあながち間違ってないんだ。一番最初に死神の絵を書いた人は、本当に見えていたんだろうね。

一咲 花音(いっさ かのん)

なにいってるかわからない…
かおがみえないし…

6歳には分からないよね、ごめんね。
死神は年齢関係なくつくものなんだ。

そして君には……なんといえばいいのだろうね

初めて顔を見た時、既に死相 が見えていたんだ。

一咲 花音(いっさ かのん)

しそう……?

そうだ。死ぬ前に顔に出ることがあると言われる。
正直最初は驚いた。見間違いかと思ったけど、ここに来て更に相が濃くなっているから間違いないんだ。

一咲 花音(いっさ かのん)

わたし、しぬの?

正直、さっき行った道へ戻れと言って死相を剥がすことも出来た。
でも、君の意思が強すぎたんだ。
それでも、その忘れ物1つで君は命を落とすことになるなんて…

一咲 花音(いっさ かのん)

しにがみさんはいろいろいってるけど、
わたしは わすれものをとりにいったこと、こうかいしてないよ?

そうか……それならいいんだ。

もう、じきに君は死ぬのだ。
体が元気なだけに、苦しいとは思うが……怖くない?

一咲 花音(いっさ かのん)

こわいこと……か。

一咲 花音(いっさ かのん)

かおんは……

一咲 花音(いっさ かのん)

かおんは、なおといっしょになれないのがこわい

一咲 花音(いっさ かのん)

ずっとそばにいたい、けっこんのやくそくもしたもん、おててつないだし、ちゅーだってしたし。

一咲 花音(いっさ かのん)

……ほんとうにしぬの?いやだ
いやだ……いやだ……

ついに、ほいくえんのにわに つなみが おしよせてくる

私と手を繋ぎましょう。迷わないように。

一咲 花音(いっさ かのん)

……ひっく、ひっく……

一咲 花音(いっさ かのん)

ねえ、しにがみさん

一咲 花音(いっさ かのん)

かおん、もししんでもずっと、なおのところにいたい。

しにがみは、こくりとすこしうなずき つなみのほうこうをみる

そして、 くろいくろいおおきななみが がらすをつきやぶってきた。

一咲 花音(いっさ かのん)

……!!!!!!

しにがみとてがはなれる。

からだがうごかせずいきができない、くるしい、そしてたてものがくずれて からだにおもいっきりおもいものがあたる

一咲 花音(いっさ かのん)

いきができない…いたい…くるしいよ…!!!!!!

くちのなかにどろみずがながれこんで あっぷあっぷとおぼれる

一咲 花音(いっさ かのん)

いや、だっ…
ガッ……
ゴブッ………

めのまわりがくらくなる。 どうじにからだのいたみもかんじなくなって、そして

きをうしなった

一咲 花音(いっさ かのん)

…………

一咲 花音(いっさ かのん)

………………

一咲 花音(いっさ かのん)

……はっ

おきるとそこは、くらくてつめたいところだった

一咲 花音(いっさ かのん)

わたしたすかったの?

てをみても、あれだけからだをうちつけたのにいたみがなにもない

一咲 花音(いっさ かのん)

……ここはどこ?

きたようだね。

一咲 花音(いっさ かのん)

あ!しにがみさん

きづくとめのまえにしにがみがいた。

一咲 花音(いっさ かのん)

わたし、しんだの?

うん。亡くなった。

苦しかっただろうし、痛かっただろうけど、よく頑張ったね……

こんなに小さな体で。

一咲 花音(いっさ かのん)

うん……

今更ながら、名前の確認してもいいかな?

一咲 花音 いっさき かおん さん
で間違いないかな?

一咲 花音(いっさ かのん)

うん。わたしのなまえ

呼び方は……

一咲 花音(いっさ かのん)

かおんちゃんでいいよ

わかった。かおんちゃんね

かおんちゃん、ひとつきいてほしいことがあって。難しいと思うから聞いてるふりをするだけでも良い。

かおんちゃん、私たち死神は、今までこの世界に生まれ、そして亡くなった方々に一人一人答え合わせをしているんだ。

一咲 花音(いっさ かのん)

こたえあわせ?

そう。

かおんちゃんが生きてきた世界。こちらでは娑婆と呼ぶんだけど、娑婆は本当に様々な事柄が重なってできているんだ。

娑婆で崇める神や仏もあながち嘘ではない、実際に似たようなものは存在しているので。

娑婆で存在している概念の中に、
〝アカシックレコード〟
というものがあるのですが
それは「宇宙の全ての出来事や情報が記録されたもの」
をいうんだ。

実はアカシックレコードは存在していて、我々管轄が作り上げた概念なんだ。娑婆にこちらの方々を人間として配属し、出来る限り娑婆に知れ渡らせる為記憶の一部をインプットして娑婆に送り出したんだ。
それには勿論、花音さんの情報も全て入っている。

一咲 花音(いっさ かのん)

あかしっくれこーど…
そこにわたしのぜんぶが?!

そう。
つまりこの世の全てはアカシックレコードに記されている。
しかし、アカシックレコードは本来あるべき道理。基本はこれに記録されたこと通りに物事が進む。
しかし、たまにそこから外れる者がいる。

そう、一番分かりやすいのが寿命かな。
例えば自殺や、思いがけぬ事故。
あと数年したら寿命で数年後死んだはずなのにとか。
でも、自殺は本人の先立った意思。
当然外れることとなり、その人は死んだ後この娑婆で寿命まで待たないといけない。

一咲 花音(いっさ かのん)

てことは……わたしは……?

うん、はっきり言って、君の人生はアカシックレコードに反している。
本来はそういう人間の魂には修行をさせないといけないけど
かおんさんの場合は幼かったし、自殺でもない。少し特殊なんです。

一咲 花音(いっさ かのん)

とくしゅ…

それに……今の君の魂。
熱く燃えているんだ。
ネガティブではなく、前向きで……

まだ、いま、やりたいことはなにかある?

一咲 花音(いっさ かのん)

やりたいこと……?

一咲 花音(いっさ かのん)

しんだらできないんじゃないの?

確かにもう君の体はなくなってしまった。でも、こんなに私に体がはっきりみえるということは、娑婆での未練があるとしか思えないんだ。

なおくん、といったかな?
その子のことは今も好き?

一咲 花音(いっさ かのん)

なおだいすき。

一咲 花音(いっさ かのん)

いまどこにいるの?

おそらく彼は今先生や生徒、親たちと一緒に避難所で休んでいると思う。

避難所、高校の体育館わかる?

一咲 花音(いっさ かのん)

うん!わかる

じゃあ、その体育館までの道を想像してみて。

私たちは肉体こそないけど、電気や素粒子によって移動ができるんだ。

一咲 花音(いっさ かのん)

わかった!

娘が、幼い頃亡き別れした初恋相手だった話

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