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ガイド🦈×センチネル🙂⑦
シャークんとスマイルは 初任務を終えて
その結果を評価された
スパイを生け捕りにした事も 高く評価されたが
その後捕まったスパイがどうなったかは 二人とも知らなかった
任務のためにスマイルも 訓練を受けることになった
いつも対戦相手は シャークんで
強くて一度も 勝てた事がなかった
シャークん
シャークん
対戦相手がシャークんしか いないのも仕方がなかった
この組織には シャークんとスマイル以外の
子供がいない
つまりシャークんはずっと
大人相手に訓練を してきたということだ
スマイル
シャークんとの訓練は スパルタだった
血反吐を吐いて倒れても 無理矢理起こされた
シャークん
そう言われて 何度も何度もぶたれた
シャークん
シャークん
スマイル
シャークん
シャークん
これが この組織のやり方――
スマイル
スマイル
スマイル
普段から訓練をしてある程度の 痛みに慣れているからこそ
シャークんはスマイルの ケアができた
訓練の時のシャークんは 一層怖くて
スマイルは抵抗が できなかった
スマイルは家族を殺して 自分を誘拐したこの組織が
子供にこんな過酷な 訓練をさせるこの組織が
信用できなかった
スマイル
スマイル
その時は……
無邪気に笑う シャークんだって――
スマイル
スマイル
まず課題はそこだった
組織では自由な時間は ほとんどなかった
勉強に訓練 任務に明け暮れ――
二人は着々と 実力と実績を身に着けた
齢が二桁になる頃――
組織は完璧に スマイルを信用し
能力者の教育係に任命した
スマイルは初めて 部下を得た
パーシャルの青年だった
年上である
話を聞けば――
彼もスマイルと同じく
家族を殺されて この組織に誘拐されたらしい
スマイルはそこから――
とある計画を思いついた
シャークんにも 部下が増え始め――
二人が十二歳になった頃
スマイルは部下のパーシャルから
シャークんの部下であるガイドと
ボンディングしたという 報告を受けた
その時に部下から
スマイルはシャークんと
ボンディングしないのかと 問われた
スマイル
知識としては知っていた
能力者とガイドは 濃密な身体的接触を行うと
パートナーを組む事ができる
パートナーを組むと
能力者はパートナー以外の ガイディングを受け付けなくなるし
ガイドもパートナー以外の能力者への ケアやガイディングが不可能になる
もしもパートナーとなったガイドが 不慮の事故で命を落とせば
能力者も必然的に ガイディングを受けられなくなり
暴走で命を落とすことになる
スマイル
そうでなくてもスマイルの ケアやガイディングは
元々シャークんしか行えない
何度かシャークんの部下である ガイドに試してもらったが
皆スマイルのガイドを拒絶した
スマイルにとって シャークんしかいないのなら
メリットはあるかも しれないが――
スマイル
シャークんのガイド能力は優秀だ
スマイルを制御できるその腕前は
大抵の能力者のガイドになれる
事実スマイルの部下の八割程は
シャークんのケアを 受けたことがある者だ
寧ろシャークんのケアを 受けられないという
能力者を聞いたことがない
スマイル
スマイル
だからスマイルはシャークんに その話をしたことがなかったし
シャークんから されたこともなければ
組織の人間からも ボンドになれという指示も来なかった
シャークんとスマイルが出会って 十五年の月日が経ち――
二人は二十一歳になった
シャークん
シャークん
スマイル
シャークん
シャークんにも部下が たくさんできた
高い戦闘力を誇る 最前線で戦う部下だ
スマイル率いる能力者部隊と
バディを組んでいるガイドも 多く存在する
シャークん
シャークん
スマイル
スマイルは本を閉じた
やっぱりスマイルは手合わせが したくなかっただけらしい
くすくすと笑いながら シャークんは椅子に座った
するとスマイルの部下が 飲み物を用意してくれた
パーシャルである彼らは こういった細かい点に気が利く
スマイル
スマイル
シャークん
スマイル
スマイル
シャークん
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
スマイル
スマイル
スマイルが誘拐されたことは なにも一度や二度ではない
もう数十回と経験していた
その度にシャークんに 助け出された回数も多いが
自力で脱出した経験も多い
それは訓練を受けてきた 成果だろう
スマイル
スマイル
スマイル
センチネルであるスマイルは 組織の中でも重宝されていた
基本的に特別な シェルターにいなければ
能力者はガイドなしでは 外で生きられない
しかしシャークんという ガイドがいるスマイルは
その能力を思う存分に 発揮できた
普段でも能力のせいで 情報が無意識に入ってくるため
スマイルは情報の宝庫になっている
シャークん
スマイルは机に置いていた紙を 手に取った
シャークん
シャークん
シャークん
スマイル
スマイル
シャークん
シャークん
スマイル
シャークん
シャークん
スマイル
スマイル
スマイル
シャークん
スマイル
スマイル
シャークん
スマイル
印刷された二人分の写真を スマイルはシャークんに渡した
シャークん
シャークん
シャークん
スマイル
シャークん
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
シャークん
シャークん
スマイル
スマイルはことんと机に 注射器が入った箱を置いた
シャークん
シャークんの言葉に スマイルは顔を上げた
スマイル
シャークん
スマイル
この十五年間で何度もあった
シャークんが戦闘不能になった際
スマイルは高確率で暴走した
暴走した時―― 精神崩壊を防ぐために
スマイルは麻酔を 持たされている
自分で自分の意識を 失うためだ
意識ごと眠らせてしまえば
シャークんが目覚めるまで 時間を稼ぐことができる
シャークんさえ死ななければ スマイルは生きられるということだ
リスクは最低限に 抑えなければならない
だがスマイルは―― もう知っていた
スマイル
スマイル
組織のことは今でも憎い
スマイルが幼い頃に思いついた計画は 今もずっと続いている
しかしあの頃のように
シャークんを殺す選択肢は もうスマイルにはできなかった
部下になった能力者たちと 約束をした
組織に怨みがあると
いつの日か絶対にこの組織を ぶっ潰してやろうと
だから自分についてこいと
そう言ってスマイルは部下たちを 組織に従わせるのではなく
自分に従わせる事に成功した
言うなればスマイルの部下は スマイルの親衛隊でもある
いざと言う時は皆 スマイルに着いてくる所存だろう
もちろん長く組織で過ごす関係で ガイドもいる彼らには
ガイドを置いていく覚悟ができるか どうかは本人たち次第である
それはスマイル自身に ふりかかった問題でもあった
組織の中で唯一
スマイルが信じることのできる存在
それがシャークんだった
長年の任務で 絆された結果だろう
幼い頃から 一緒にいた幼馴染
シャークんは組織の人間の 命令に従順だったが
任務の時はいつも スマイルの声に耳を傾けてくれた
組織から何度 殺せと任務を課されても
シャークんは最終的に
スマイルの殺すなという言葉を 聞いてくれた
最初こそ 捨て置かれたが――
誘拐された事が トラウマだったのか
危険を顧みず
誘拐されたスマイルを 何度も救ってくれた
命の恩人――
スマイル
スマイル
スマイル
スマイル
組織の人間で
組織に従順で
スマイルの仇と言っても 過言ではない
でも――
もしもシャークんが死ねば
スマイルはきっと 後を追うだろう
スマイルにとって シャークんとは
唯一無二であり 存在意義だった
きっかけがないとは言え――
それが未だに 組織を潰せない理由でもあった
二人でこの組織から 逃げ出せれば――
何度そんなことを 考えただろう
しかしシャークんにとって組織は 家族であり帰る家だ
二人にとって組織の価値は あまりに違い過ぎた
しかし部下たちとの約束がある
スマイルはきたるその日――
自分が死ぬ覚悟も しなければいけないと思っていた