ぼくのいえに居候しませんか？

店内入口には、俺を見て騒ぐ女性客が溜まってきた。

渋谷で''ストリートスナップ''に誘われて撮ってもらった写真がSNSで何故か大バズりし、俺の働くショップ名と俺の名前を公開され、今に至る

ありがたい機会だと思ったが、SNSをキッカケに来店した客で実際に服を買ってくれる人はほんのひと握りだった

欠かせない用事

今日は彼氏と付き合って1年記念日だ

1年記念日のプレゼントはうちの店のアクセサリーにした

いつかおそろいにしたいってあいつが言っていたネックレス

奏介とはマッチングアプリで出会い、会社をクビになったところを俺が拾ってから関係が発展していった

早く仕事を見つけて家計の支えになるとか言っていたけど…

未だに仕事は見つけられていないようだ

ガチャ

玄関には知らないスニーカーが1足置いてあった

俺は奏介がいるであろう寝室のドアを勢いよく開けた

ガチャ！

扉を開けると、異常に焦っている奏介とその隣には知らない男がベッドで横になっていた

ベッドの下には服と下着が脱ぎ捨てられていた

男は慌ててスマホを取り出し、画面を俺に見せてきた

画面には奏介とのやり取りが出されており

確かにそこには「ずっと一人で寂しいんだよねー笑」という文が奏介から送られてきていた

男は慌てた様子で服を着ながら家を出ていった

こうして俺は服やらなんやらをできる限り詰めた

服、下着、金、鞄

記念日のネックレス

何も考えずにとにかく詰め込んだ

そうして俺は家を出た

ｶﾗﾝｶﾗﾝ

ここはゲイバー

このナナとは昔から仲良くしてもらっており、悩んだ時はいつもここに来ていた

・・・

あれから2往復した

こうして、俺のビジホ生活が始まる