テラーノベル
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最近、しょにだが話してこなくなった。
寂しい。
それは、アニキも一緒で。
俺たちの関係に勘づいて、 遠慮してるのだろうか。
それとも、偶然か。
そんな中だった。
俺らの耳に、噂が入った。 初兎の。
黒板に書かれていた。
大きくて、太い字でっ...。
”初兎は、同性愛者”
幸い、しょにだはまだ来ていなかった。
クラスメイトは、 クスクス笑いながら、初兎の机を見た。
初兎の机には、 紙をくしゃくしゃにしたものがあった。
ゴミ箱に入っていたはずの、 パンの袋や、お菓子の袋が、 空になって置かれていた。
俺らは、ドアの前で立ち暮れた。
ガラガラッ...
前方の扉から、来たのはっ...
初兎だった。
しょにだは、黙って席に座った。
冷淡な態度に、 絶望の顔を見せない初兎。
そんな姿に腹が立ったようで...
わかりやすく、初兎の足を蹴った。
ダンッ...
ゆっくり、窓へ歩く初兎。
黙ってられず、つい叫んでしまった。
ばれてたっ...
画像。 俺とアニキがキスしてるところ。
甲高い声で、高々と笑う。
まさに、その通りだった。
しょにだは、手を握り、拳を作った。
目から、一粒...一粒...と 滴が落ちていった。
教室を飛び出していった。
とうとう、みんな黙ってしまった。
不安でしかない、でもっ... 精一杯の勇気を振り絞ってみる。
俺は、机にバッグを置き、 教室を飛び出した。
大好きな人―初兎を、 探すため。
校内を飛び出した。
初兎は、いなかった。
屋上も、階段も、校庭も。
”諦めよう”
俺は、そう思ったが、 諦めない。
自分で、決めたから。 やり遂げるから。
待ってるかもしれないじゃん?
学校外へ。
心当たりのある、”さいころ”へ急いだ。
ガラガラッ...
白い髪。 百合のような、その髪はない。
カウンターには一人。
金髪の男の人がいた。
細くて、大きな瞳。
目から、溢れる滴。
袖で拭う初兎。
僕は、転校を繰り返してる。
何度も、何度も。13回くらいかな。
理由は、”同性愛者”だから。
俺は、怖いから。 ばれるたびに、転校するの。
その度に、髪切って。 髪染めて。
親もいないからさ、 家賃、学費、水道代... 全部、自分で払うの。
だから、バイトしてるの。
大阪、東京、北海道、沖縄っ...
国内中を駆け回った。
今回、生まれである大阪に戻ってきたの。 たこ焼き、食べたくてさ。
本場の味が、食べたくて。
でもっ...もう食べれない。 転校するから。
ゆっくり、言葉を吐いていった。
心なしか、 悲しそうだった。
大好きな、初兎を守りたい。
ギュッ...
温もりが、存在が、 安心させる。
液を流し込み、 慣れた手つきで回していく。
初兎の口の中で、 もぐもぐ動くたこ焼き。
あぁ...
俺って、幸せ者だなぁ。
コメント
5件
あれ?悠くんは?
え?青黒消えてる…………んな簡単に浮気すんなっっ アニキ泣いてまうてっモブは○してやる
青黒消えましたか!? 黒さんのこれからが気になります...!!