リクエスト作品集

ないこ攻め アニキ受け 視点は悠佑 捏造過多 花吐き病の症状に関しては元ネタと違う部分も多々あります。ご注意ください。 地雷さんばいばい。

甘ったるい匂いが鼻腔を撫ぜる。 胃と喉の辺りに違和感が募る。 もう何度目になるか分からないこれは未だ慣れない。 いや、慣れたくなどないのだが。

手を口元に持っていき、込み上がってくるそれを何とか抑えようとする。 だが時すでに遅し。 口からは汚い嗚咽とともに出てくるものが出てきた。 本来体からは出てこないはずのそれ、鮮やかな黄色をしたチューリップが。

吐き気が治まるまで約十分を有し、やっと動けるまでになったのがつい五分前。 なんとか吐き出してしまった花を袋に詰めため息をつく。

周りにはいくつもの同じような袋が転がっており、生活する空間を圧迫している。 花を吐いたのが初めてでないことを物語っているこの部屋は普段誰も入れない動画の収録兼編集部屋である。

こんな異常、活動者としてあってはいけないことである。 病院に行くのは少し躊躇われたため、まずはネットで調べることにしてみた。

出てきたのは何とも怪しい『花吐き病』という言葉だった。 だがこれ以外該当するものがなかったのも確かで、俺は恐る恐るそのページを開いた。

嘔吐中枢花被性疾患（おうとちゅうすうかひせいしっかん）―通称、花吐き病 片思いをこじらせると苦しくなって場所を問わず花を吐いてしまうため、社会生活が困難になる厄介な病気。 完治する方法は想い人に想われること、つまり両想いにならなければならない。（byピクシブ百科事典）

それでも否定せず認めようと思ったのにはある心当たりがあるからだ。

こんなん、どの世界線の恋愛物語にだってないだろう。

試す前から諦めるのは自分でもどうかと思うがさすがに今回に関してはどれだけ自信家でも無理があると思う。 これは完全に自分のエゴだが当たって砕けるのも嫌だ。

だが早急に何とかしないとそれこそ人目も憚らず出てくるこの病気が皆にバレてしまう。 そうすれば優しすぎるあいつは気を使ってどうにかしようとするのであろう。

さらに、調べていると拗らせすぎると花弁が喉に詰まり窒息死する、だとか人体で花が生成されるため負担がかかり衰弱死するなど、本当かどうかわからない、だが可能性もある文が目についてしまった。 如何せん症例が少ないため真実以前に情報が少なすぎる。

まだ何とかなるかもしれない、そんな皆無に等しい希望に縋りながら俺は『いつも通り』を演じながらメンバーと約束していた食事のために家を出た。