警官
あのねぇ、無理なものは無理なんですよ
男性
お願いです!私を逮捕してください!
俺に向かって男はそう言ってきた
警官
なんだって、何かしたのですか?
男性
いえ、罪を犯しそうで怖いのです。とりあえず、話を聞いていただけませんか
警官
わかりました。外じゃ暑くて大変でしょう(色々と)中へどうぞ
男性
ありがとうございます
男性
私は、小さい頃から夏になるとイライラしてどうしようもなくなりました
男性
ある夏近所でアリを踏みつぶしたのです。そうすると、イライラが収まり、その夏はすがすがしい気分で過ごせました
警官
良い趣味とは言えませんが、別に問題があるわけではないでしょう
男性
次の年、同じようにイライラしてアリを殺しましたが、今度はイライラが収まりませんでした
男性
次に、カナブンを踏みつぶしたところ、イライラがすっと引き、その夏も清々しい気分で過ごせました
男は、翌年はカブトムシ、その翌年は...というように話を続けた。
男性
その頃にはどうしたらよいか分かってきたので、一昨年の夏は犬を殺し、その秋には猿を飼い始めました
男性
そして去年の夏、飼っていた猿を殺したのです
警官
本当だとしても罪に問えるわけではないので逮捕できるわけがありません
警官
バカなことを言ってないでうちに帰ったらどうですか?ご家族も待ってるでしょう?
男性
はい、去年の秋に結婚した妻が...
警官
こんな猛暑ですし、海にでも行かれたらどうです?
警官
私は仕事が残ってますので
男性
わかりました。また来ます