あるところに、
ひとりの少女が居ました。
少女は自分の事が嫌いでした。
何故なら、誰からも尊敬されないと思っていたからです。
だから、いつも俯いていました。
自分を必要としてくれる存在が居たことにも気づかずに。
彼は少女の幼なじみでした。
彼の言葉は、本当は少女を想って放った言葉でした。
『お前が居なくなったら、俺は感情を失ってしまう。』
『だから、どうも思わなくなってしまう。』
…と。
…それでも、
彼の言葉は、少女に深い傷をつけてしまったのです。
…繊細な少女は、その言葉の真意を探そうとしました。
それでも、彼の言葉の真意は分かりませんでした。
そのうちに、少女は
『自分に原因がある』
と思い込みはじめました。
少女は、親しくしていた彼とも距離を置き、
少女ひとりで真っ暗な部屋の中に心を閉じ込めました。
心がなければ何も出来ません。
彼を避けて、
相談出来る相手も無くした少女は、
そのうち、もう何も思えなくなってきました。
突然、あの日以来避けられ続ける彼は
『自分がなにか言ってしまったかもしれない』
と思い込みはじめました。
ふたりは完全に
すれ違っていた
のです。
彼は密かに少女の事を想っていました。
幼い頃から好きでした。
その、愛すべき少女が自分を避けるということは、
彼にとっても、深い傷でした。
そんな時、少女が
癌
ということが分かりました。
末期でした。
少女も彼も、
生きる希望
を失いました。
そんな時、少女と彼は
今までの自分のしてきた事を悔やみ、
互いに仲を寄り戻しました。
それから彼の方から告白し、
少女も、彼も。
幸せ
のはずでした。
少女に残された時間は僅かだったのです。
少女は、ある日を境に歩けなくなり、
しばらくして寝たきりになりました。
医者が言いました
『あと1ヶ月です』
それから、少女は
深い眠りにつきました。
少女は、最期の最期に彼に言いました
彼は、その言葉は違うと言いました
その言葉は、
綺麗な少女と共に
高い空の虹を渡りました。
彼は、今日も
愛する少女を探し続けます。
例え、『ここ』に居なくても。
コメント
27件
ハート数が多かったのて、見させていただきました とても上手な文作りなので、読んでいてとても楽しかったです このストーリーの世界にとても入り込めました✨ 本当に面白い作品をありがとうございます😆
霧隠コンテストに参加してくれてありがとう!コメント遅くなってごめんね…。 前半はすれ違う2人のもどかしい距離を丁寧に描かれていて…後半は癌になってからの2人の少しずつ縮まっていく距離感が良く描かれていて…そして最後、「来世は幸せになろうね」と言う彼女に対して彼が言う言葉に…心を打たれたよ…! すごく素敵なストーリーだった!ありがとう!!
天才ここに現る((