金魚すくいって楽しいの？

とっても楽しいよ

どのくらい？

世界で一番楽しいよ

ラムネってどんな味？

とってもおいしいよ

どのくらい？

世界一おいしいよ

ただその会話だけが心にポツリと残る

私達は双子 蘭と凛 それはまだ私達が幼い頃のお話

私達にとっては初めての夏祭り 心が踊っていた 楽しいかもわからないのに 楽しいと心が自覚している

私達は親を亡くして二人暮らし あの時教えてくれなぁ 夏祭りは楽しいよって おかあさんはラムネが大好きで お父さんは金魚すくいが大好きなんだって 教えてくれたの！

私はラムネが飲んでみたくって 凛は金魚すくいが楽しみだったらしい 私達の心は踊っていた

暖かかったな あの時に戻れたらな

色々とゲームを楽しんだ 楽しい時間はすぐに過ぎていった 最後に

それぞれ別れて行動した

私は一匹の金魚を袋に入れてもらって 蘭がいるラムネ屋さんまで行った

目をキラキラと輝かせて喜ぶ凛をみて 私まで嬉しくなっちゃった

ｼｭﾎﾟｯ

蓋を開けるなり炭酸が溢れだした しゅわしゅわとなりながら消えていく 私達はそれを見てるだけで幸せになった

しゅわしゅわ 凛の口の中で炭酸が踊ってる

とっても嬉しかったの 凛がこんな笑顔見せてくれるのが嬉しかったから

大きな声で嬉しそうにはしゃぐ凛 やったことない金魚すくい けど楽しいと思ってしまう

凛の笑顔だけで私はもう喉など乾いてない お腹も空いてない 幸せな時間を味わうことができた 凛がこんなに笑ってくれるなんて予想もしれなかった 私もにっこり微笑む

私はラムネを握った 冷たい夏にはちょうどいい 甘くてしゅわしゅわで冷たくて 私はラムネが飲みたくて仕方なかった

しゅわしゅわで埋め尽くされた 美味しくて言葉にならなかった 私の舌で炭酸が踊る 私は驚いた顔で凛を見る 凛もにっこりと笑った

ﾋｭｰｰｰｰ

ﾊﾞﾝｯ!

笑顔で私の手を取る凛

凛と私 そして一匹の金魚 凛はラムネを飲みながら 私は凛の代わりに金魚を持ちながら 金魚はとっても活発に泳ぎながら 花火を見る

ｷｷｰ

ﾄﾞﾝｯ

ﾊﾞﾀｯ

ピチピチピチピチ 金魚が暴れる

あの時救急車を呼んでいればな 幼かった俺は何も出来なかった そして今に至る

俺は成長した 大きくなって今でも後悔し続ける

俺は蓮と目を合わせるなり 泣いてしまった

もちろん名前も年齢も違う けど彼女の生まれ変わりとわかる決定的な証拠が 二つあった

ラムネです

もうすぐ夏祭りが近頃あそこでやる 彼女を誘えば...俺はラムネを飲もうと決めた

あれ、もう一人、 この子にも決定的な証拠が 二つあった

金魚すくいです

そしてその二人は俺の席の隣へと来た

そうして俺は夏祭りに行くことになった

当日になってみんなと夏祭りにいった

一匹の金魚を袋に入れてもらって

ｼｭﾎﾟｯ

前のお姉ちゃん達のを見て学んだ俺は ラムネの蓋を開けた

やはりラムネからはたくさんの炭酸が溢れだし しゅわしゅわと音をたてながら 踊ってる そしてそのまま消えていく

苦しくなった あの子達を思い出す あの子達の生まれ変わりがきっと目の前にいるこの子達 出会えた奇跡 けど胸が苦しくて 無性に涙が出てきた

帰り道

ｷｷｰ

ﾄﾞﾝｯ

ﾊﾞﾀｯ

ピチピチピチピチ 金魚が暴れる

このラムネの美味しさと 金魚すくいの楽しさを

今度はこの子達が

伝えてくれますように