テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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LINE１３０２

第1話 - あ

2023年11月09日

#スカッと

タナカトシキ

ラン

カナコさん、おつかれさまです

カナコ

ランちゃん

カナコ

おつかれさま

カナコ

どうかしたの？

ラン

あの、少しお願い、というか事前の許可、っていうのを取りたくて連絡したんです

カナコ

許可？

カナコ

え？何の？

ラン

明日、仕事のミーティングをしながら、タキ君とランチに行こう、って言おうと思うんです

ラン

彼女のカナコさんに、事前に知らせた方がいいかな、と思いました

カナコ

あ～そういうことね

カナコ

いいよ、全然

カナコ

行ってきて

ラン

本当に、ありがとうございます！

カナコ

そういう理由なら、私もオープンだから、あんまり構えなくていいよ

カナコ

ランちゃんは大学に通いながらうちのサロンのモデルもしてくれてるから

カナコ

本当に、いつも感謝しっぱなしだよ

カナコ

ありがとね

ラン

こちらこそ、いつも定期的にお仕事もらえて嬉しいです

ラン

いい経験になります

カナコ

よかった

ラン

それで...カナコさんには、特別に教えちゃうんですけど...

ラン

今、タキくんとSNSを使ったライブ配信をしよう、って考えてるんです

カナコ

へ～今どきな感じかしていいね！

ラン

そうですよね！

ラン

内容としては、現役美容師のタキ君が教える、ヘアアレンジのライブ動画を、

ラン

1時間ほどの尺で作る予定です

ラン

それで、私がモデルになるんですよ

カナコ

ライブ配信、って言うところが良いよね！

カナコ

リアルタイムでコメントもできるんだよね？

ラン

そうなんですよ！

ラン

ライブ動画は大学生とか、20代にすごい人気がありますし、

ラン

すごく需要があると思うんですよ

ラン

カナコさんの、タキ君が働く美容院の宣伝にもなると思います

カナコ

うん、絶対に良い宣伝になると思うよ！

カナコ

楽しみにしてるね！

ラン

はい！

ラン

良いものが作れるように、頑張りますね！

～1週間後～

ラン

カナコさん！

カナコ

ランちゃん

カナコ

企画中のライブ動画の方は、進み具合どう？

ラン

すごく、いい感じですよ！

カナコ

そっか！よかった～

カナコ

タキ、人にまかせっきりなところあるから、心配してたんだよね

カナコ

ランちゃんに任せっぱなしにしてないかな、って

カナコ

タキからは、その企画のこと全然話してくれないからさ

ラン

そうなんですね...

ラン

構成もして、リハーサルも一部撮ったんです

ラン

通しではまだ取っていないんですけど...

ラン

でも、まとまりは出てきましたよ

カナコ

リハーサルも大事だよね

ラン

計画的に、進められていますよ

ラン

それで、配信日の日程なんですけど...

ラン

カナコさんにもぜひ見てほしいな、と思って、先に伝えておこうと思って連絡したんです

ラン

今のところ、来週の土曜日の夜21時から、って決定してるんですけど

ラン

カナコさん、この時間って家にいますか？

カナコ

うん、いるよ

カナコ

その日はお昼で仕事が終わるから、家でゆっくり見れるかな

ラン

良かったです！

カナコ

ライブ配信は、どこでやるの？

ラン

私の家でやります

カナコ

え？ランちゃんの家で？

カナコ

そしたら、うちの美容院でやったらいいんじゃない？

カナコ

奥のスタッフの休憩スペースなら、

カナコ

カーテンで仕切れば撮影に必要なスペースは確保できると思うから

ラン

ご提案、ありがとうございます

ラン

でも、もう私の家でやる、って決定したので

ラン

大丈夫ですよ

カナコ

でも、ヘアセットに必要な道具とかも、結構そろってるし

カナコ

美容院でやった方が、色々都合がいいんじゃないかな？

ラン

もしかして、私の家で私とタキ君が2人きりになるのを心配しているんですか？

カナコ

いや、別にそういうわけじゃないんだけど...

ラン

なら、いいですよね？

ラン

別に、単に仕事するだけですし...

ラン

ライブ動画なので、別に何もやましいことはしないので

ラン

大人のカナコさんなら、許してくれるかな、って思ったんですよ

カナコ

うん...仕事だもんね

カナコ

分かった、ライブ配信、頑張って

ラン

ありがとうございます！

ラン

さすが、大人の対応できるカナコさんです

ラン

仕事するだけなのに、他の女の家にいくことを許さない彼女なんて、うっとおしいですもんね

ラン

タキ君も、そういうのは嫌いなので

ラン

カナコさんが分かってくれる人で、本当によかったです

カナコ

うん、そうだね

ラン

そういうことなので、ライブ配信、ぜひ楽しみにしててくださいね

ラン

成功させてみせるので

カナコ

うん、楽しみにしてるね

～ライブ配信の22時～

カナコ

タキ？

カナコ

ライブ配信、どうだった？

タキ

今、終わったよ

タキ

それで、今から帰るところ

カナコ

よかったね、無事に終わって

カナコ

コメントもすごい好評だったし、美容院の宣伝になるよ、きっと

タキ

うん、そうなるといいよね

カナコ

本当に、おつかれさま

タキ

うん、ありがとう

～翌日～

ラン

カナコさん

ラン

あの、大事なお話があるんです

カナコ

そんなかしこまらなくていいのに...

カナコ

どうしたの？

ラン

あの、実は、昨日のライブ配信の後で、一部コメントの中に、

ラン

私達が付き合ってるんじゃないか、っていうコメントがあったんです

カナコ

え？

カナコ

それで...？

ラン

それで、それに便乗して「美男美女だよね」とか「お似合いだよね」とか...

ラン

そんなコメントばっかりが並んでて...

ラン

タキ君に、このことを否定した方がいいよね、って相談したんですけど、

ラン

「俺、カナコさんみたいな年上の人と付き合うのは飽きてきたから、別れようと思う」

ラン

って言われたんですよね

カナコ

は？

カナコ

ちょっと待ってよ...

カナコ

話が一気に進みすぎてて、全然呑み込めないんですけど...

ラン

まあ、簡単に言うと...

ラン

タキ君の気持ちはもうカナコさんにはなくて、私の方にある、ってことです

ラン

それで、私もタキ君のことが好きなので、合意のもとで付き合うことになりました

カナコ

付き合うことになりました、って...

カナコ

そんないきなり言われても、彼女の私の合意は取れてないでしょ！？

カナコ

いきなり付き合うなんて、決めないでよ

ラン

でも、タキ君の気持ちはもう変わらないので、話すだけ無駄だと思いますよ

ラン

なので、カナコさんも自分の年齢に相応の人とお付き合いした方がいいと思います

カナコ

何それ...

カナコ

私がアラサーで、おばさんだからタキと付き合えない、って言いたいの？

ラン

せっかくオブラートに包んでいってあげたのに...

ラン

わざわざ、自分でそんな直球な言葉で言い直すんですね

ラン

まあ、そういうことになります

カナコ

それは...いくらなんでもないんじゃないの？

ラン

でも、タキ君に連絡取ろうとしても、連絡できないと思いますよ

ラン

私と約束して、もう連絡しない、って約束したので

カナコ

意味わかんない...

カナコ

もう、知らないよ、2人のことなんて

~3日後～

タキ

ねえ、カナコ

タキ

今度の日曜日の3時くらいなんだけど、空いてる？

カナコ

なんで？

カナコ

っていうか、よく連絡してきたよね

タキ

え？何が？

タキ

だって、ランからカナコは仕事で忙しいから連絡しない方がいい、って言われて...

カナコ

は？

カナコ

そんなこと、私言ってないんだけど...

タキ

え？待って...

タキ

ちょっと意味が分かんない...

タキ

ちょっと、また後でかけ直すよ！

タキ

今、少し呼ばれちゃったから

カナコ

うん、分かった

～土曜日の夜～

ラン

カナコさん

ラン

明日、またタイキ君とインスタライブでヘアセットのコツのライブ配信をやるんです

ラン

カナコさんも良かったら、ぜひ見に来てくださいね

カナコ

ライブ配信があるのはタキから聞いてるから、もう知ってるよ

ラン

そうだったんですね！

ラン

じゃあ、来てくれますよね！

ラン

今回のライブ配信では、私たちがカップル、ってことも公言しようと思うんですよ

カナコ

ランちゃんは、まだタキと付き合ってる、って認識でいるみたいなんだね

ラン

はい？

ラン

どういうことですか？

カナコ

この前のライブ配信で、コメント欄が少し荒れてたでしょ？

カナコ

「タキ君は年上のおばさん彼女がいるらしい」って...

カナコ

そのコメントから、炎上、とまでは行かないけど...

カナコ

少し大変なことになったじゃん

ラン

それは、覚えてますよ

ラン

だから、私カナコさんにタキ君に迷惑になるから、別れた方がいい、って言ったんですよ

カナコ

それが、どうにもおかしいな、って思ったんだよね

カナコ

それで、優しい同僚の子が教えてくれたの

カナコ

あの発言はランちゃんが裏垢からやった、って

ラン

え？

ラン

何言ってるんですか！？

ラン

そんなこと、私がするわけないじゃないですか

カナコ

同僚の子がね、ランちゃんが電話で誰かとその話をしてるの、聞いちゃったんだって

カナコ

それで、この前タキに連絡してくれたみたい

カナコ

私と、タキが仲悪くしてるのを見てたからさ

ラン

だって、仲悪くしてたんですよね？

カナコ

それは、誰のせいなの？

カナコ

私はタキとランちゃんが付き合う、ってあなたから聞かされたけど、

カナコ

付き合う、っていうのは私をタキから遠ざけるための口実だったんでしょ？

ラン

なんで、そんなことまで...

カナコ

全部、知ってるよ

カナコ

それで、タキが私に連絡するのを防ぎたいから、

カナコ

タキには私が忙しいから連絡はしないでほしい、って言ってたんでしょ？

カナコ

よくもそんな大胆なこと、できたよね

ラン

だって...

ラン

納得がいかないじゃないですか！

ラン

どうして、タキ君は歳の離れたおばさんのカナコさんと付き合いたいのか...

ラン

意味がわかりません

カナコ

歳の差なんて、私たち気にしたことなかったし

カナコ

私たちの関係を崩したかったみたいだけど、失敗だったみたいだね

カナコ

それで、明日のライブ配信には、私が代わりに出ることになったから

ラン

え！？なんでですか！？

ラン

どうして、そんないきなり...

カナコ

タキの方から言ってくれたの

ラン

え？タキ君から！？

カナコ

この前、電話してね...

カナコ

ランちゃんが裏でコソコソしていること、全部同僚の子から聞いたんだって

カナコ

それで、この日曜日のライブ配信は、代わりに私が出ることになった

ラン

そんなこと、私聞いてないですよ！

カナコ

今、言ったから

カナコ

なので、そういうことでよろしくね

カナコ

あと、もううちの美容院のサロンモデルとしても、今後は仕事渡せないから

カナコ

それも、理解しておいてね

ラン

そこまでしなくても、良いじゃないですか！

ラン

私、カナコさんの美容院だけでサロンモデルしてるんです

ラン

ここで辞めたら、将来のモデルの夢も...なくなっちゃうかもしれないんですよ？

カナコ

でも、そのチャンスを潰したのは自分でしょ？

カナコ

私のせいにはしないでほしいな

ラン

そんな、大人げないですよ

ラン

ちょっと自分が負けたからって、そんな切り方するなんて

カナコ

でも、ランちゃんをモデルとして雇うのはやめよう、って言いだしたのはタキだから

ラン

タキ君がそんなこと、言うはずがないです！

カナコ

それが、言ってたんだよね

カナコ

私のことをこれ以上不安にはさせたくないから、って

カナコ

そういうことだから、今までありがとね

カナコ

おつかれさま

ラン

ちょっと待ってください！

ラン

私にも、話す時間をくださいよ！

～後日談～

カナコ

その後、ランちゃんからの連絡は来ましたが、無視を貫いているうちに、

カナコ

連絡は途絶えました

カナコ

私たちがランちゃんのモデルとしての唯一のスポンサーだったらしく、

カナコ

今はたまにSNSで来ていた仕事も、ほとんどゼロに近いようです

カナコ

一方で、私とタキは仲直りをして順調に付き合いを続けているところです

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タナカトシキ

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