テラーノベル
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医院長が姿を消してから、 病棟はずっと、どこか噛み合っていなかった
恋愛ナース
幻恋ナース
そんな声が交わされる中 1人のナースが前に立たされた
約恋ナース
明るくハキハキとした声
恋愛ナース
失恋ナース
小さな拍手が起こり 病棟全体が少しだけ明るくなる
ただ1人 初恋ナースだけが動けずにいた
初恋ナース
約恋ナースの姿を見た瞬間 胸の奥がかすかにざわついた
恋愛ナース
初恋ナース
そう言って少しだけ目線をずらす 拍手に加わったのは一拍遅れてからだった
約恋ナース
約恋ナースは周囲を見回しながら言う
約恋ナース
約恋ナース
ーーーーー約束
初恋ナース
初恋ナースの呟きはすぐに空気に溶ける
約恋ナース
約恋ナースがふと初恋ナースの顔を見る
約恋ナース
そう言って反射的に手を伸ばした
指先が触れるその直後 初恋ナースの動きがピタリと止まる
初恋ナース
一瞬で空気が張り詰めた
約恋ナース
少しの沈黙の後初恋ナースが静かに言った
初恋ナース
約恋ナース
初恋ナース
約恋ナース
それ以上何も言わなかった
その沈黙の中で初恋ナースゆっくり瞬きをした
ーーー触らないで
そう口にしたはずなのに 胸の奥で別の声と重なる
「…ナースさん」
少し掠れた声 いつも遠慮がちだった声
「大丈夫です」 「俺、もう慣れてるんで…」
痛いはずなのに 苦しいはずなのに いつもそう言って笑ってた
そしてふと別の言葉が重なる
「ここ、出れたら一緒にご飯行きませんか?」
ーーーーでもその約束が果たされることはなかった
''あの人''がいなくなった日から この片目は何も映さなくなった
初恋ナース
初恋ナースはふと義眼の方にそっと指先を触れる
冷たくて何も返さない感触
それでも—— あの人の声だけが、 今も確かに、ここに残っていた。
「…大丈夫ですよ」
その言葉は、 誰かを安心させるためのものじゃない。
果たせなかった約束に、 静かに返した、 たった一度の返事だった。
コメント
2件
すごい意味深…!!😧😧 約恋なーすさんお仕事頑張れー!!😚😚