凪斗(ナギト)
紅野
凪斗(ナギト)
紅野
ガラガラッ
凪斗(ナギト)
華清(カセイ)
凪斗(ナギト)
兄さんは眉をひそめていた
華清(カセイ)
凪斗(ナギト)
バチンッ!!
凪斗(ナギト)
華清(カセイ)
華清(カセイ)
凪斗(ナギト)
兄さんの必死そうな顔を見ると 何も言えなかった
華清(カセイ)
凪斗(ナギト)
華清(カセイ)
凪斗(ナギト)
こんな兄さんは 初めて見た
私を叩いたことも あんなに強く 怒鳴ったことも これが初めてだった
怒りながら 苦しそうに涙を流す姿は 初めてだったんだ…
ポロポロッと流れ落ちる涙は 私を安心させてくれた
愛されていることが この世に存在していい ことが分かるから、
プツンッ
慊人
凪斗(ナギト)
慊人の呪いは解かれた
凪斗(ナギト)
華清(カセイ)
紅野
紅野は 気を使って外で 待っていてくれたらしい
凪斗(ナギト)
凪斗(ナギト)
バタッ
華清(カセイ)
昔むかし あるところに その人は いました
ずっとずっと前から 一人でいました
山を降りれば 多くの人が暮らし 居てることを知っていました
けれど 一人でいました
1000の力をもち 1000の命をもち 1000の記憶を持つ自分は 人と違っていることを知っていました
その人は 人を恐れていました
傷つくことを 恐れていました
多くの力を持ちながら 多くの人と違う自分を恐れていました
そんなある日 1匹の猫が訪ねてきました
突然の来訪者に 酷く困惑していると
猫は恭しく頭を下げ、
猫
猫
猫
猫
猫
それから猫は その言葉通り
傍を離れませんでした
片時も離れませんでした
神様は それが とてもとても嬉しくて、
ふと思いつきました
そうだ。人と違うもの達なら 私と仲良く なれるかもしれない
私と同じ思いを 知るものとなら、
楽しい宴を開けるかもしれない
神様は招待状を沢山沢山 書きました
沢山沢山 送りました
すると 十二匹のもの達が神様の元へと やってきました
それから十三匹と神様は月の輝く 晩の度 宴を開きました
歌い踊り 神様も初めて声を上げて 笑いました
人とは違うもの達の宴を 月も静かに 見守りました
けれど ある晩 猫が倒れてしまいました
それは寿命というもので どうにも 出来ないものでした
皆みんな泣きました
皆みんな気づいていました
いつか 皆 死んでしまう
︎︎
︎︎
神様は1つ まじない事を唱えると 円をくるりと盃に描き
それを死にかけた猫に ひと舐めさせ、 皆に向かって言いました
︎︎
︎︎
︎︎
︎︎
︎︎
︎︎
︎︎
︎︎
皆は大きく頷くと ネズミが最初に ひと舐めし 次に牛 虎 兎と順番に 契りの盃を分け合いました
最後に猪が舐め終わる頃 猫が息も 耐えなく 泣き出していました
猫
猫
猫
それは 思いがけない言葉でした
神様や皆にとって 拒絶の言葉でした
皆みんな悲しくなって、 猫をなじり さとしました
それでも猫は言いました
猫
猫
猫
猫
猫
猫
猫は最後にしっぽを振ると パタリと 死んでいきました
皆は猫に裏切られた気持ちで いっぱいでした
それでも 神様だけは最後まで猫を 思いました
それから しばらくすると次々に 皆 死んでいきました
最後に龍も死んでいき....
神様は また1人になってしまいました
そうして ついに 神様も死にゆく 日が来ました
けれど 怖くは ありませんでした
皆と交わした約束が 支えになって いたからです
また 宴を開こう
いつまでも 変わることなく
例え 今は寂しく苦しくとも....
あの約束の向こうで 皆が待ってる
今は遠い 昔の話
誰もが忘れた。最初の記憶
最初の約束
慊人
慊人
慊人は言葉が届くように 空に向かって 言葉を発した
慊人
慊人
紅野
ピッ…ピッ…
華清(カセイ)
私の脈は どんどん弱くなってる
華清(カセイ)
紅野
2人は慌てた様子だった
慊人
「さようなら」
慊人
慊人
慊人は今にも 泣きそうなぐらい 顔を歪めていた
由希
君が最後
だね、
ネズミは 俺の前にいて 声のする方へ 走っていった
遠い遠い約束を、
守ってくれて ありがとう
由希
ありがとう
誰もが忘れた 最初の記憶
最初の約束
さようなら
プツンッ
「さよなら」
華清(カセイ)
皆は静かに涙を流していた 私は安らかに 眠りについた
はとり
由希
由希
はとり
はとりは少し 心配なのか 暗い顔をしていた
燈路
利津
急に大声を出すから 杞紗は驚いていた
利津
燈路
利津
その様子を 俺は苦笑いしながら見ていた
撥春
撥春
燈路
由希
これは誰かの お陰だと思う
由希
由希
撥春
リンの視線が痛かった
由希
綾女
綾女
凄い面倒臭い奴に絡まれた
綾女
綾女
利津
由希
意味が分からなかったけど いつも通りで 安心した
夾
綾女
夾
綾女
夾は冷めきった目をして 兄さんを見つめていた
皆さん。 宜しいでしょうか?
慊人さんの準備が 整いましたので、
慊人
はとり
慊人の姿を見ると 言葉を失った
利津
慊人
慊人
慊人は何時になく真剣で 優しい顔だった
慊人
慊人
華清様!!お待ちくださいッ!!
バァンッ
由希
華清(カセイ)
最後の力を 振り絞ったような 歪んだ字だった
夾
前まで凪斗の所に行くのは 禁止されて いたから紫呉は 今そこにいるのだろう
華清(カセイ)
華清(カセイ)
華清(カセイ)
君達を恨まずには 居られないんだ
守りたい人が居ました
大切な人でした
俺のヒーローで 沢山の人を救った人でした
自分の愛し方を知らない人でした
他人の愛し方を 痛い程 分かってる人でした...
余り泣かない人でした...
善意に囲まれているのに 悪意に慣れている人でした
人の幸せを 本気で願える人でした
そうして1人で 消えていきました
俺が...大好きな人でした...
だから もう眠らせてあげたいんです。
あの人が好きだった、
夜の中で ずっと。
さようなら
お休みなさい...
いい夢を_。
コメント
4件
感動して涙腺崩壊しました🥲 とても良かったです😖
とても良かったです!終わっちゃうのは、勿体ないけどとても感動しました!!