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葡萄組が映画館でのキス?みたいなのをしようとした時から妄想が止まらんかった…
ーsharken sideー
俺は高校3年生にもなって、未だに1度も恋愛というものをしたことが無い。
きんとき
Broooock
Nakamu
きりやん
と皆は言うけれど、正直理解できない。
誰かを好きになるということがどういう事なのか、興味が無いわけではないけれど、何となく一歩を踏み出せずにいる。
そんなある日のこと。
忘れ物を取りにオレンジ色に染まる教室の扉を開いたら、たった1人で席に座り本を読むスマイルの姿があった。
スマイル
音で気がついたのかスマイルが振り返り不思議そうな顔をする。
茶色い髪が夕日に照らされてキラキラと輝いていた。
シャークん
スマイル
そう言いながらも栞を挟み本を閉じる。
きっと俺の事を気にしてくれたのだろう。
そういうちょっとした心遣いが出来る所好きだ。
好き?
いや違う。
この好きは恋愛の好きとは違う。
そういえば、スマイルには聞いた事無かったな。
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
スマイルは視線を少し上に向けて考える素振りを見せた。
スマイル
シャークん
スマイル
淡々と話すスマイルの意見は予想外なものだった。
らしいと言えばらしいけど。
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
スマイル
まさか話を掘り下げてくるとは思わなかった。
読みかけの本を鞄に仕舞い此方に近づいてくる。
シャークん
スマイル
スマイル
シャークん
スマイル
スマイル
シャークん
突然の提案に中々理解することが出来なかった。
何でもない様に、普段と変わらない声でスマイルは続ける。
スマイル
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
少し高い位置から俺を見下ろす目はやっぱりいつも通りで、断る方がおかしいのではないかという気がしてしまう。
シャークん
だからつい頷いてしまったんだ。
翌日、スマイルは何事も無かったかのように登校して来た。
スマイル
シャークん
Nakamu
スマイル
Nakamu
スマイル
Nakamu
きんとき
スマイル
きんとき
スマイル
綺麗な字で科学と書かれたノートを2人に渡すスマイルはぶっきらぼうだけど何だかんだで優しい。
きりやん
スマイル
きりやん
スマイル
きりやん
スマイル
きりやん
頭が良いからよく頼られるし。
Broooock
スマイル
Broooock
スマイル
Broooock
スマイル
Broooock
スマイル
案外ノリも良いから自然と皆集まってくるんだ。
そんなスマイルがモテないはずがない。
確かに近寄り難い雰囲気を纏ってはいるが、ミステリアスな男を好む女子も多いだろう。
その気になれば直ぐにでも彼女が出来るに違いない。
そうしないのはやはり興味が無いからなのか。
Nakamu
シャークん
気づけば頭の中はスマイルのことで一杯になっていて、ふとNakamuに声をかけられて我に返る。
Nakamu
きりやん
Nakamu
きんとき
きんときにまで指摘されてしまった。
何か言い訳を考えないと。
シャークん
Nakamu
きんとき
きりやん
きんとき
Nakamu
咄嗟に着いた嘘だったが受け入れて貰えたようだ。
俺が内心ほっとしていると、きんときが何かを思い出す。
きんとき
Nakamu
きりやん
きんとき
きりやん
きんとき
特に断る理由もないし、ゲームは好きだから行くと言おうとした。
しかし口から言葉が出るより早く、スマイルが会話に割り込む。
スマイル
きんとき
スマイル
シャークん
そんな予定知らない。
勝手に決められていた約束に混乱し何も返せずにいると、Broooockも話に入ってきた。
Broooock
スマイル
Broooock
きりやん
スマイル
Nakamu
スマイル
Nakamu
スマイル
Nakamu
きんとき
Nakamu
きんとき
Nakamu
俺だけが置いてけぼりをくらい、話がどんどん進んでいく。
そんな中、スマイルと目が合った。
俺の心情を知ってか知らずか薄く微笑む。
いつも見ているはずなのに、何だか今日は違って見えた。
一瞬胸がざわつく。
それに気が付かないふりをして、そっと目を逸らした。
放課後になり有無を言わさず学校から連れ出される。
隣を歩くスマイルは何を考えているのかよく分からない。
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
自分に馴染みの無い言葉につい動揺してしまう。
そんな俺にスマイルは呆れたような声を出した。
スマイル
シャークん
スマイル
スマイル
シャークん
友達同士で手を繋ぐ女子は見たことあるけど、男がしている所は見たことが無い。
そもそもつい昨日までただの友達だった奴をそう簡単に恋人として見るなんて出来ないよ。
何でスマイルはこんな平然としていられるのだろう。
なんて1人で考えていると。
スマイル
シャークん
気が付けば映画館に到着しフード売場の前に立っていた。
ニコニコと笑う店員さんと目が合う。
シャークん
スマイル
俺が財布を出すより早くスマイルが会計を済ませ、注文したものが乗ったトレイを持ち入場口へ向かった。
全ての動きがスマートでかっこいい。
それに比べて俺は動揺ばかりで情けないな。
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
話の逸らし方も自然だし、納得のいく理由で断られてお金も出しづらくなってしまった。
結局財布は鞄の中に入ったまま席に着く。
スマイル
シャークん
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
つまり俺を基準に考えて行動していると。
映画館を選んだのもきっとデートスポットだからでは無く、俺が周りの目を気にせず過ごせるからなのだろう。
なんだよそれ。
他人に興味無さそうにしてる癖に俺の事凄く解ってるじゃん。
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
映画が始まって直ぐ、小声で耳打ちされた言葉に胸がザワザワと騒ぎ出す。
俺、何を期待しているんだろう。
スマイル
スマイルの手が肘掛けを越えて俺の手を捕らえた。
俺より大きくて暖かい。
安心するのに動悸が激しくなる。
きっと映画のせいだ。
だってこのデートはただのごっこ遊びで、スマイルは昨日までただの友達だったんだから。
それなのに何で、チクリと胸が痛むんだろう。
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
いつの間にかスマイルの手を強く握っていたみたい。
慌てて離そうとしたけれど、逆に彼の方へ引き寄せられた。
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
視界の端でサメから逃げ延びた男と女が互いを確かめ合うようにキスを交わしていた。
同じような距離にスマイルの顔がある。
薄く綺麗な唇に、吸い寄せられていく。
シャークん
不意に劇場のライトが点灯し慌てて身を引く。
今、俺何をしようとした?
スマイル
シャークん
スマイル
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
正直スマイルの事が気になって気になって、映画どころではなかった。
そんなこと本人には言えないけれど。
帰ろうかと遠ざかっていく手の温もりが寂しくて仕方がない。
当たり前のように残ったポップコーンを持ってくれるスマイルの背を追う自分が、一体誰なのか分からなくなってくる。
これではまるで、スマイルのことが好きみたいじゃないか。
シャークん
途端に熱が顔に集まる。
そんなはずない。
そんなはずないのに、そうであって欲しいと願う自分もいる。
スマイル
シャークん
恋愛ってこんなに苦しいものなの?
Nakamu
スマイル
Broooock
スマイル
Nakamu
Broooock
あれから何日か経過し、俺達は映画館以外にも2人で出掛けるようになった。
外では恋人の様に振る舞うのに、学校ではいつも通り。
そんなスマイルに俺は振り回されていた。
きりやん
きんとき
シャークん
きりやん
シャークん
きんとき
そんなこと言われても、眠れなかったのだから仕方がないだろう。
どうにもこうにもスマイルの事が頭から離れない。
シャークん
きんとき
シャークん
きりやん
シャークん
きりやん
きんとき
シャークん
きりやん
シャークん
きんとき
きりやん
シャークん
思わず立ち上がり大声を出してしまった。
口を押えてももう遅い。
スマイルがこっちを見ている。
逃げ出したいくらい恥ずかしい。
きんとき
きりやん
シャークん
きりやん
俺、やっぱり変だ。
苦しい思いもすると聞いた時、困惑したと同時に嬉しくもあった。
もう認めざるを得ない。
スマイル
シャークん
スマイル
突然小声で声をかけられ飛び上がりそうになるのを必死に抑える。
これはつまり、デートの誘いか?
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
意味深に笑い席へ戻ってしまったスマイルを目で追う。
あいつは俺のことどう思っているのかな。
恋愛に興味無いと言っていたけど、もし俺の気持ちに気づいたら。
この関係もお終い?
息が詰まる。
そんなの嫌だ。
この気持ちは隠さないと。
あまり眠ることも出来ないまま、言われた場所でスマイルを待つ。
普段は全く気にならないのに目の下の隈が恨めしい。
きっと彼は綺麗な子が好みだろう。
お洒落で可愛くて気遣いの出来る料理上手な女の子。
少なくとも約束の30分も早く来てしまうような余裕の無い男ではないはずだ。
スマイル
シャークん
時間ぴったりに到着したスマイルはよく見る私服を着ていて、あぁやっぱりいつも通りだなと勝手に落ち込む。
でも目的地も教えられず10分程歩いた所で俺の胸は一気に弾んだ。
我ながら忙しいと思うが仕方ない。
だって辿り着いた場所がスマイルの家だったんだから。
スマイルの両親は海外に居り、彼は一人暮らしをしている。
つまり二人きり。
スマイル
シャークん
俺は今までのデートとは比にならないくらい緊張していた。
スマイル
シャークん
スマイル
俺と違って落ち着いているスマイルは、同級生とは思えないくらい大人びていてかっこいい。
この気持ちを伝えたら、どんな反応をするだろうか。
迷惑かな、嫌われるかな。
今の関係を続けていたいのに、満足出来ない自分もいる。
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
どうしてそんなに俺のこと見てくれるの?
絶対に有り得ないのに期待しちゃうじゃん。
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
スマイル
シャークん
俺が気づくより先に、スマイルの手が頬を撫でた。
その指は濡れていて、自覚したら益々涙が溢れ出してきて。
シャークん
スマイル
途端にスマイルの香りに包まれた。
その優しさが余計に俺を苦しめる。
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
スマイルの胸を押しても、それより強い力で引き寄せられる。
こんなはずじゃ無かった。
あの日、どうして俺はスマイルからの申し出を断らなかったんだろう。
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
低くて安心する声。
頭を撫でる優しい手。
全身で俺を包み込んでくれるスマイル。
シャークん
言うつもりなんて無かったのに、その言葉はいとも容易く零れ落ちた。
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
スマイル
シャークん
俺の頭を撫でていた手が肩まで降りて来て、スマイルの胸に埋めていた顔を上げたら紫色の狼みたいな瞳に捉えられた。
スマイル
シャークん
スマイル
スマイル
スマイル
スマイル
ゆっくり体を倒されて、抵抗する間もなくベッドに縫い付けられて。
さっきとは違う涙が頬を伝った。
スマイル
シャークん
スマイル
スマイル
俺達の唇が重なる。
初めての恋は学生にしては大人で、案外強引で、幸せなものだった。
END