清一
とくに異常はないな。
愛理
そうね。静かすぎるくらい。
二人は寺の周辺を捜索していた。
清一
やっぱり何かあるとすれば中かな?
愛理
入ってみましょうか。
清一
そうしよう。
二人は寺の正門から中に入った。
清一
ん?誰かいるぞ?
愛理
あ、ホントね。すみませ~ん。
???
はい?
それは老人だった。
愛理
地元の方ですか?
住職
まぁそうだねぇ。一応ここの住職をやっておるわい。
愛理
あ、住職さんでしたか。それは失礼しました。
住職
なーに、この格好をしておるから仕方あるまいて。何せ先程買い物から帰ってきたものでな。
清一
そうでしたか。
住職
それで、お二人さんは?
清一
私たちは霊伐隊のものです。この町で起きている事件について捜査しておりまして。
住職
ほう。
愛理
ここ最近で何か変わったことなどありませんでしたか?
住職
ん~〜。特にないねぇ。
この時清一は、住職の首元に大きな傷があることに気がついた。
清一
あの、つかぬことをお伺いしますが、その首元の傷はどうなさったんですか?
住職
ああこれかね?これは昨日、花瓶を運んでいたときに転んでしまってね。その時に割れた破片が当たったんじゃよ。
しかし、どう見ても刃物で斬られたような傷である。
愛理
痛くはないんですか?
住職
大丈夫じゃよ。こうして話もできておるし、普段の生活に支障が出るようなものではないね。
住職はにこりと笑った。
???
住職、本当に行かれるんですか?まだあいつがいるかも知れませんよ?
???
あれだけは渡してはならんのじゃ。
清一
!?
愛理
!?
突然清一と愛理の後ろから声が聞こえた。
振り向くと、そこには修行僧であろう少年と、今まで二人が話していた住職と全く同じ姿の老人がいた。
清一
…え?
愛理
…どういうこと?
少年
あ!!やっぱりまだいるじゃないですか!!
住職
何じゃと?
住職
へぇ。もう戻ってきたんだ。もっと痛めつければよかったなぁ~。
清一
!!
愛理
!?
突然住職の口調が変わった。
少年
あ!!そこのお二方!危険です!そいつ、悪霊ですよ!!
住職
今更気づいても遅い!!
ドン!!
清一
うわ!
愛理
きゃあ!
突然目の前が暗闇に包まれた。