桃
…
あー…焦った挙句つい逃げて来ちまった… 次からどう顔合わせよ… 何あんな焦ってんだよ…馬鹿みてぇ…
桃
はぁー…
今頃青は鼻子ちゃんと帰ってるかな
今頃青は鼻子ちゃんと帰ってるかな
暗くなる気持ちをどうにかしたい、と 桃は顔を上げる だが目いっぱいに広がる空は 今にも雨が降りそうだ
桃
どうするかなぁ…
家に帰ったって1人だしなぁ… 1人って、こんな寂しいもんだっけか…? 人肌恋しいってやつ?
桃
いっそこのデカい空になれたらなぁ…
もう一度桃は空を見上げた
ポツッ…ポツッ…
桃
…雨、降ってきたのか
ザァー……
雨を防ぐものはカバンしか無い だが桃はカバンを持つことをしなかった
自分を包むように降る優しい雨に 桃は微笑んだ
ス、と手のひらを上に向ければその雫を 受け止めるようにその手を前へ出した
桃
…俺が…
ふ、と桃は上を見上げる
桃
俺が…もし、女の子だったとしたら…?
優しく降る雨は まるで空が泣いたあとの涙みたいで
またそれは、桃の気持ちを現したようで…
桃
…なぁ…青…俺…、
桃は広げた手のひらを上へ上げると ギュッ、と握り締めた
お前の事好きになっちゃったみたいだ…
もし、出来るのであれば 綺麗に、儚く、涙を流す彼を 僕の手で抱きしめさせて欲しい…
青
―――――…
もし叶うなのであれば 可愛くて、愛しくて、仕方ない彼を 俺にください…
桃
―――――…