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桃青

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桃青

8 - 桃青

♥

78

2021年06月17日

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あー…焦った挙句つい逃げて来ちまった… 次からどう顔合わせよ… 何あんな焦ってんだよ…馬鹿みてぇ…

はぁー…
今頃青は鼻子ちゃんと帰ってるかな

暗くなる気持ちをどうにかしたい、と 桃は顔を上げる だが目いっぱいに広がる空は 今にも雨が降りそうだ

どうするかなぁ…

家に帰ったって1人だしなぁ… 1人って、こんな寂しいもんだっけか…? 人肌恋しいってやつ?

いっそこのデカい空になれたらなぁ…

もう一度桃は空を見上げた

ポツッ…ポツッ…

…雨、降ってきたのか

ザァー……

雨を防ぐものはカバンしか無い だが桃はカバンを持つことをしなかった

自分を包むように降る優しい雨に 桃は微笑んだ

ス、と手のひらを上に向ければその雫を 受け止めるようにその手を前へ出した

…俺が…

ふ、と桃は上を見上げる

俺が…もし、女の子だったとしたら…?

優しく降る雨は まるで空が泣いたあとの涙みたいで

またそれは、桃の気持ちを現したようで…

…なぁ…青…俺…、

桃は広げた手のひらを上へ上げると ギュッ、と握り締めた

お前の事好きになっちゃったみたいだ…

もし、出来るのであれば 綺麗に、儚く、涙を流す彼を 僕の手で抱きしめさせて欲しい…

―――――…

もし叶うなのであれば 可愛くて、愛しくて、仕方ない彼を 俺にください…

―――――…

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