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結愛
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春の風は、どこか他人事みたいに優しかった
教室の窓側。 蒼真は頬杖をつきながら、 ぼんやりと校庭を見下ろしていた。
笑い声、ボールの音、誰かを呼ぶ声ーー
そのどれもが、 薄い膜を隔てた向こう側の 出来事のように感じられる。
関わらない。
踏み込まない。
失わない為に。
それが、蒼真の選んだやり方だった。
??
背後から声がかかる。
振り返らなくてもわかる、 数少ない“例外”の一人。
蒼真
蓮
蓮は隣の席に腰を下ろし、机に肘をついた
蓮
蒼真
蓮
間髪入れず返されて、蒼真は小さく息を吐く
蒼真
蓮はそれ以上踏み込まなかった。
ただ
蓮
とだけ言って、軽く肩をすくめる
その距離感が 蒼真にとったらちょうど良かった。
ーーそのはずだったーー
放課後
いつものように一人で帰ろうとした 蒼真の視界に、見慣れない背中が映る。
校門の外。
夕焼けに溶けるように立つ少女。
風に揺れる髪と、どこか場違いなほど 穏やかだな立ち姿。
ーー知らないはずなのに、妙に引っかかる。
足が止まった。
少女が、ふっ と振り返る。
目が会った瞬間、不思議と逸らせ無かった
??
初対面のはずの言葉に、 蒼真は眉をひそめる
蒼真
結月
結月
蒼真
結月
結月
軽く笑うその様子は、 警戒心というものをどこかに 置いてきたみたいだった。
距離が近い
初対面のはずなのに、 妙に自然に懐に入ってくる
蒼真
結月
迷いのない即答
結月
蒼真
結月
結月
蒼真
結月は1歩近づく
蒼真は、反射的に半歩下がった
その距離に、彼女は一瞬だけ目を細める
結月
蒼真
結月
結月
図星だった
蒼真は舌打ちを飲み込み、 視線を逸らす
結月
蒼真
結月
その問いは、妙に静かに胸に刺さった
蒼真
結月
蒼真
結月
結月
あまりにも当然みたいに言う
蒼真は、僅かに苛立ちを覚えた
蒼真
結月
蒼真
結月
けらけらと笑う。
その笑顔は、どこかーー
どこか儚かった
その時
ふと、違和感が走る
風が吹いた
木々が揺れる
人が通り過ぎる
ーーなのに。
結月の影が
ほんの一瞬だけ
遅れた気がした。
蒼真
結月
蒼真
見間違いか
そう片付けるには、 妙に引っかかる。
蒼真の“違和感に気づく感覚”が、
小さく警鐘を鳴らしていた
結月
蒼真
結月
結月
蒼真
結月
即答
蒼真はもう一度だけ、彼女を見る
夕焼けに染まるその姿は、
やけに輪郭が曖昧でーー
まるで
この世界にしっかりと
根付いていないみたいだった
蒼真
結月
その日から。
蒼真の日常は
たしかに変わり始めていた
気付かないふりをしていた “何か” が
ゆっくりと輪郭を持ち始める
そしてーー
彼はまだ知らない
この出逢いが
限られた時間の中で
紡がれるものだということを。
ただ1つ確かなのは
あの時感じた違和感はーー
決して
気のせいではなかった。