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ルユイア(過去)

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ルユイア(過去)

9 - 黒天使入団

♥

199

2023年10月25日

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黒い天使はただ座っている

イツまでここに居るのだろうか

空間に投げ込まれた時、訳もわからず抵抗したが…

母から大人しくしてくれ、と懇願され、自分が不味い状況にあると理解した

…この空間に入れられてから、食べ物を口に運んでいない

俺が神話上の生物でなければ、今頃餓死していたかもしれん

ゼルト

………

初めてこの空間に入った時、二つ程わかったことがある。

一つ。この空間は脆く、自分が少し動いただけで壊れてしまう可能性が高い。

それ故に、今までは、できる限り動かないようにしてきた

…二つ。この空間は、クナロスが作ったのだとわかる。

昔、毎日のようにクナロスの空間で、黒猫と遊んだ。だからわかった。

…黒猫とは、鬼ごっこ、模擬戦、花札、オセロに将棋。時々相談なんかも受けた

相談は、復讐だとか、尻尾の無い猫?といった内容だった。

…子供に聞く事なのか、それ?

自分の組織に入らないか、などと言われた事もある。

…その時は、家族が居るからと断った。

…母親と、何処かへ行った父親、そして黒猫の…ベルとか言った奴。

あいつらは元気だろうか。

ゼルト

………

ゼルト

………そういや、何ヶ月?か前…いや、昨日か1年前だっけか?

…時間感覚がおかしくなっている。

ゼルト

よーわからん連中がここに来てたな

頭が薔薇に寄生された人間と、頭に翼がある鷹。

見た時は驚いたが、最終的に「幻覚を見た」と言う結論になった。

ゼルト

…人が来るわけねぇもんな…

借りに来たとしても、何をするのだろうか

あの神々がしそうなコトは、処分、解放…くらいしか思いつかない

ゼルト

……

処分、開放。ゼルトにとっては、どちらも良い待遇では無い

処分は、自分の魂を抜かれ、地上の生き物に転生する。

つまり、死ぬと言うことだ。

開放は開放で、「何もしない」ことに慣れたゼルトが、外の世界に慣れることは難しい。

慣れたとしても、また他の神々から距離を置かれ、「そこに無い物」として扱われる

ゼルト

………

他よりも「違う」だけで淘汰されるのは、正直腹が立つ

昔、一人の邪神が神々に暴れ散らかしたらしい。

それが、俺達邪神の立場を危うくさせているのだろう

…その邪神が何をしたのかは知らんが、嫌なとばっちりだ

ゼルト

…俺らは何も関係ねぇのに。

だが、ここでイライラしても意味は無い。 時間が経てば、怒りも少しは収まった

そして、また考えずぼーっと過ごす。

ゼルト

…………

ゼルト

…………………

ゼルト

ぁ?

遠くに何かが見えた。幻覚だろうか

…こちらに近づいてきている

イービル

…やっぱり、ここは真っ黒だな…

ファルケ

あぁ。

目の前に来た。

イービル

ここら辺、居ないかな…

鷹の方はこちらをガン見している。

イービル

ファルケ、何処を見て……………

イービル

あ、居た!!

ゼルト

…………

こいつ、眼科に行かせたいな

イービル

な、なんかムッてしてないか?

イービル

き、気に障ったことをしてしまったのなら、謝る。

やけに喋る幻覚を無視する。

ファルケ

…………

鷹がこちらを警戒の目で見ている。

イービル

……そ、そうだ!ゼルトに、渡したい物があって…

ゼルト

ぁ?何で名前知ってんの?
それに、渡したい物って?

イービル

コレなんだが…

人間は、俺に十字架?を見せた。

…恐らく、クナロスが作った奴だろう

イービル

これを持てば、お前はここから出れる…そうだ。

ゼルト

は?

イービル

た、多分の話ではあるが…!!
こ、このままだと、お前、処分されるんだ…

イービル

だから、処分を逃れる為にも、持ってほしい…

ゼルト

ゼルト

ゼルト

あぁ、何だ。

ゼルト

言うことを聞いてくれりゃ、開放するって事か?

ファルケ

…そう、だな。

ゼルト

じゃ、それは要らん。帰ってくれ

イービル

何故だ!?

会話している中、コイツらが幻覚で無いことは何となくわかった。

ゼルト

…言えんなぁ、部外者には。
さっさと帰ってくれ

イービル

え!?

ゼルト

お前らが、どうやってここに来れたかは知らんが…

ゼルト

ここから出て、またあの生活をするのは嫌なんでな

ファルケ

…あの生活…?

ゼルト

わからんのなら、お前らは完全に部外者だ

ゼルト

帰れ

ファルケ

元の生活をするのが、嫌なのか?

ゼルト

あぁ

イービル

し、シヴァさんが、悲しむぞ…!

ゼルト

ゼルト

ゼルト

ゼルト

ゼルト

あ、母親のことか…

イービル

…間があったな。もしかして、忘れかけたり…

ゼルト

母親の見た目と料理は覚えてんぞ

イービル

よ、良かった…料理は美味いのか?

ゼルト

…お前にいつか食わせてやるよ。

イービル

…!

ゼルト

命の保証は無いが

イービル

ファルケ

…話を戻すが

ゼルト

チッ…

ファルケ

ぜルト。何か勘違いしているようだな

ゼルト

あ?

イービル

ここから出て、元の生活をする…ってワケじゃないんだ。

ゼルト

…………

ゼルト

はぁ?神は排除と開放以外に考えんだろ

イービル

あぁいや、これは私達が考えたことでな…

ファルケ

入団してほしい

ゼルト

はぁ!?何に!?

ファルケ

我らの組織にだ。

ゼルト

うっわ変なのに巻き込まれちまった

イービル

ま、まぁまぁ、聞いてくれ。

イービル

こっちの組織に入れば、お前が嫌ってそうな…えっと、元の生活?をしなくていいぞ

ゼルト

信じるかそんなもん

イービル

え、えっとな……時々、シヴァ?に会いに行くこともできるし、私達の拠点で過ごす事も可能だ。

ゼルト

お前ら、美味い話には裏があるって言葉を知らねぇのか

ファルケ

イービル。こいつの脳を弄って、コトワザを忘れさせるのは可能か?

イービル

いやいやいやいや、そんなのやらないぞ!?

イービル

…え、えっと……美味い話、以外にも、苦い話があって…

ゼルト

へぇ?

イービル

その……仕事内容が、ちょっと………って感じで…

ゼルト

仕事?

ファルケ

他人を追い詰める仕事だ

ゼルト

具体的には?

ファルケ

…兄弟の片方を目の前で自害させたり、Aさん?の親友を遺体にしてAさんの家に置くとか

ゼルト

イービル

その…結構、精神にくる仕事?だそうで…

イービル

まだ人数が少なくて、活動はしてないが…

ゼルト

おもしろそうじゃん

イービル

ゼルト

それ、生き物の反応を見れるってことだろ?

ファルケ

うーむ………ま、まぁ、考え方に寄ってはそういう事になる…のか

ゼルト

十分美味い話だ

イービル

え…

ファルケ

イービル。脳を弄れ

イービル

だからやらないってば!?

ゼルト

なんか…おもしれーなお前ら

イービル

へ!?あ、ありがとう…?

ゼルト

信じるかどうかは別だがな

イービル

ぅ…

イービル

じゃ、じゃあ、えっと………

ゼルト

ぁ?

イービル

もし、私達の言うことが嘘だったら、首をハネて良いぞ

ファルケ

イービル!?

ゼルト

え良いの?

イービル

人外には、命をかけないとダメだと…

ゼルト

そりゃあな…口約束なんざ信用できん

イービル

…だから、もし私の言ったことが嘘なら…首、ハネていいぞ

ゼルト

人間の癖して度胸があるな?

イービル

…こうでもしないと、信用が…

ゼルト

………

ゼルト

ゼルト

あーはいはい、じゃーそれ貰いますかね

俺は、人間の持っている十字架を、目を動かして見つめる

イービル

…!

ゼルト

…俺、動けねぇから…その十字架を俺の手に触らせてくれ

イービル

う、動けない…?

ゼルト

少し動いただけで…多分、空間もお前らも消し飛ぶぞ

イービル

わ、わかった…

人間は、恐る恐る俺の手に十字架を当てた

ゼルト

ほい

今の今まで、銅像のように動かなかったゼルトの手が、神速で十字架を掴んだ

イービル

わぁああぁぁあ!?

ゼルト

お?ビビってんのか?

多分、今の俺の顔はニヤついているのだろう

イービルは恥ずかしさで頬を赤らめながら言った

イービル

きゅ、急に動くからだろ…!!

ゼルト

ヒャハハハハッ!

人間に、手刀を頭に落とされた

ゼルト

ッテェ!?

イービル

あ、すまない…

俺が顔を上げると、人間のニヤついた顔が見えた

ファルケ

…その様子なら、十字架はちゃんと働いてる…ってことか?

ゼルト

おう!よくわからんが、足がスゲー痛い!

イービル

じゃ、弱体化…?

ファルケ

いや、多分痺れているだけだ

ファルケ

能力の調子はどうだ?

ゼルト

知らん!!!
でも、今動けてるし弱体化したんじゃねぇの?

ファルケ

そ、そうか…

イービル

とりあえず…シヴァさんのとこ、連れて行くか

ゼルト

ファルケ

そうだな。一度シヴァ自身の眼で診てもらわねば

ゼルト

ぇー

イービル

嫌なのか…?

ゼルト

料理が…

ファルケ

よし、行くぞ。

ゼルト

話聞いてたんかお前!?

ファルケ

イービル。ゼルトの右腕を持ってくれ

イービル

わかった。

ゼルト

お前らァ!?

喚くぜルトを、イービルとファルケの二人がかりで連行した

ゼルト

…………眩しい

ずっと真っ黒な空間に居た身としては、外の光が眩しく、少し痛かった。

イービル

大丈夫か?

ファルケ

まぁ、ゆっくり慣れてもらおう

イービル

そうだな!

ゼルトが光に慣れるまで待っていると、ぜルトの後ろから声をかけられた

シヴァ

おかえりなさいっ!

イービル

シヴァ…!

ゼルト

……母さん?

シヴァ

本当に…息子を、ありがとうございます…

イービル

こ、こちらこそ、だ。
入団させてくれたし…

シヴァ

うーん…………

シヴァ

あの。もっとお礼がしたいので、私の料理でも

イービル

りょ、料理…?

ゼルト

ダメだ。死人が出る

シヴァ

死人!?

…そこからは、皆と暫く話した

シヴァとは何を話せば良いのかわからなかったが、幸いにもシヴァから話題を振ってくれた

シヴァ

体調は崩してませんでしたか?

ゼルト

うん

シヴァ

ご飯は食べれましたか?

ゼルト

先ずご飯が来てなかった

シヴァ

料理作りましょうか!?

ゼルト

食欲無いから良いよ…

シヴァ

そう言わずに…

ゼルト

ゼルト

踊りは…あ、辞めてたっけ…

シヴァ

…そ、そうですね。
記憶は?大丈夫…?

ゼルト

少し抜けてる所はあるが…多分、大丈夫だと思う

…こんな感じで、暫く話した。

イービル

…さてと。ぜルト達。私達もやることが…

ゼルト

やること?

ファルケ

ぜルトには、拠点のことを教える必要がある。

シヴァ

では、そろそろ解散…ですかね。

シヴァ

私も、創造神に話があるので…

イービル

ぜルトのことは任せてくれ。

シヴァ

…はい。変なことをしたら、直ぐに消しますからね

イービル

こ、怖い!!!

シヴァ

シヴァ

冗談です♪

そんなこんなで、三人は別れ… ゼルトは、正式にルユイアへと入ることになった。

…ぜルトが、行方不明になるまでは

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