テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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第1話 - あ

2023年06月18日

#スカッと

田中俊樹

リツコ

ちょっとミサトさん！いつまで子供を預けてる気！？

ミサト

はい？なんのことですか？

リツコ

とぼけてんじゃないわよ！二歳のあんたの娘、人伝に頼んで

リツコ

昨日からずっとうちに預けてるじゃないのよ！！

リツコ

この老体で、子供の面倒見るのがどれだけ大変かわからないわけ！？

リツコ

しかも、ずっと連絡しても来なかったくせに

リツコ

いきなり子供を送り付けるとか、ふざけてるの！？

ミサト

あの、ちょっと待ってくださいお義母さん

ミサト

娘は四歳ですけど…

リツコ

え？

ミサト

お義母さんが「女の孫は要らない」って言って妊娠中の私を同居してた家から追い出したの、

ミサト

四年前だったじゃないですか！

ミサト

娘は一人っ子だし、それにずっと家にいますよ。今だって家でyoutube見てます

リツコ

youtubeに子育てさせるの！？本当にダメな母親だわ！！

ミサト

関係ないでしょう。とにかく、その子は私の子じゃないですから

リツコ

じゃあ、一体誰の子なのよ！

ミサト

知りませんよ。お義母さんは人伝にって仰ってましたけど、

ミサト

一体誰から預かって来たんですか？

リツコ

アスカちゃんからよ。シンジの子供を預かってほしいって

リツコ

ミサトさんから頼まれたって言われたのよ

ミサト

アスカさんって…夫のシンジの幼馴染で、

ミサト

昔やたらと私にライバル意識燃やして、マウント取ったり突っかかってきたりしてた人ですよね

ミサト

その人がどうして…

リツコ

あら、アスカちゃんをそんな風に言わないでちょうだい

リツコ

私はどこの馬の骨かもわからないあなたより、

リツコ

昔からよく知ってるアスカちゃんにお嫁に来てほしかったんだから

リツコ

本当、あの子の方がシンジに相応しかったのにねぇ…

ミサト

でも、夫が私を選んだんだから仕方ないじゃないですか

リツコ

まー、ああ言えばこう言う。本当に生意気な嫁だこと

リツコ

アスカちゃんなら素直なのにねぇ。ずっと連絡付かないけど。どうしたのかしら

リツコ

とにかく、この子をもうこれ以上預かることはできないから

リツコ

あんた達の新しい住所忘れたから、ライン公園に今置いて行ったからね

ミサト

ええっ！？小さい子を一人置いてきたんですか！？外は大雨ですよ！

リツコ

大丈夫よ。屋根ついてるところで雨宿りはさせたから。今車で帰ってるわｗ

ミサト

もう！放っておけませんから迎えにいきます！！

～一時間後～

ミサト

アスカさん、すみません

アスカ

あら、誰かと思えばシンジの嫁気取りのミサトさんじゃないｗ久しぶりｗｗ

ミサト

嫁気取りではなく、嫁です！

ミサト

草生やしてる場合じゃありません！今義母から、二歳の女の子を預かったんですよ！

ミサト

今家で、娘のレイと一緒に遊んでます

ミサト

この子は一体なんなんですか！？私の子だと言って義母に預けたそうですけど…

アスカ

ミサトさんの子だとは言ってないですよぉ

アスカ

シンジの子だって、本当のことを言いましたｗ

ミサト

なんですって？シンジの子！？

アスカ

そう。その子は、シンジと私の愛の結晶でーす！！

ミサト

はぁあああああ！？つまり、隠し子ってこと！？

アスカ

そういうことになるかな～

アスカ

ややこしいことになりたくなかったから、お義母さんには

アスカ

ミサトさんとシンジの間の子みたいに話したけどｗ

アスカ

本当は男の子を産んであげたかったんだけどねー

アスカ

そしたらお義母さんにも気に入られて、あんたにもマウント取れたのにｗ

ミサト

嘘よ。シンジが私を裏切っていたなんて…

アスカ

ほらよく見てよ。その子の顔、シンジに似てるでしょｗ

ミサト

言われてみれば、確かに…

アスカ

シンジもやっぱりミサトさんだけじゃ満足できなかったのね！

アスカ

幼馴染の私との方が、相性がいいみたいｗ

ミサト

そんな…とにかくこの子を迎えに来てください！母親でしょ！！

アスカ

うーんそれがぁ…一人で育てるつもりだったけど、正直想像以上に大変なんだよねぇ

アスカ

それに、新しく好きな人もできちゃったし、邪魔になっちゃったｗ

アスカ

だから、あなたとシンジで育ててよ。子供一人も二人も同じでしょ

ミサト

そんな無責任な！！

アスカ

その子にはパパといっぱい遊ばせてあげたかったしｗじゃーねーｗｗ

ミサト

待ちなさい！アスカさん！！

～直後～

ミサト

アスカさんと連絡付きました

ミサト

この子、シンジとアスカさんの間に出来た隠し子だって言ってましたけど…

リツコ

あらぁ、もしかしてと思ったけどやっぱりそうだったのね

リツコ

ミサトさんだけじゃ満足できなかったのねｗｗ

ミサト

アスカさんと同じこと言ってる…

ミサト

というか、それだとシンジが不倫してるってことになるんですよ！

ミサト

わかってますか！？

リツコ

わかってるわよぉ。でも、不倫されるあなただって悪いじゃないｗ

リツコ

ブスだし気は利かないし、シンジもきっと結婚したこと後悔してるのよｗｗ

ミサト

なんですって！？

リツコ

正直嬉しいわｗアスカさんとの間に子供作ってくれてｗｗ

ミサト

それならお義母さんが育ててくださいよ！私は無理です！！

リツコ

あら、私は体力的に無理だって言ったじゃない

リツコ

シンジの嫁として認めてほしければ、シンジの子供くらい育てなさい

ミサト

なんで私が夫の隠し子なんか育てなきゃならないんですか！！

リツコ

まったく今の嫁は…。昔の嫁は、夫の不貞の子も可愛がって育てたものよｗｗ

ミサト

冗談じゃない！とにかく、シンジを会社から呼び戻して問い詰めます！！

リツコ

夫の仕事の邪魔をするだなんて…本当に気が利かない嫁だこと

～一時間後～

ミサト

というわけなの。シンジ、正直に話して

シンジ

そんな…ミサト、俺は君を裏切ることは決してしていない

シンジ

隠し子なんているわけない！信じてくれ！

ミサト

私だってあなたを信じたいけど…

シンジ

本当だ。アスカにどれだけアタックされても相手にしなかったの、君も見てただろう

シンジ

それに、アスカとは三年前から会ってもいない

シンジ

疑うなら、DNA鑑定をしたっていい

ミサト

…わかった。ひとまずはあなたを信じるわ

ミサト

あなたは嘘がつけるほど器用じゃないものｗ

シンジ

ありがとう。信じてくれて…

シンジ

でも、やっぱりＤＮＡ鑑定はしてみるよ

シンジ

その子が俺に似ているというのが引っかかるんだ。何か、嫌な予感がする

ミサト

いずれにしろ、可哀想な子だよね。実の親に捨てられたんだから…

シンジ

その子は今、どうしてる？

ミサト

レイと一緒に寝ちゃったわ。レイ、すごく喜んでお世話してたわよ

シンジ

そっか。妹を欲しがってたもんな…

～一週間後～

ミサト

お義母さん、あの子とシンジの血縁鑑定をしました

ミサト

結果、血縁が認められました

リツコ

やっぱりシンジの隠し子だったのね。前に言ったように、あなたが育てるのよ

ミサト

いいえ。認められたのは親子関係じゃありません

リツコ

へ？

ミサト

シンジとあの子は、異母兄妹だったんです！

リツコ

え、え！？ちょっと待って！！どういうこと！？

ミサト

アスカさんにも、お義父さんにも確かめました

ミサト

お義父さんとの親子関係も認められましたよ

リツコ

そ、そんな…噓でしょ、つまり…

ミサト

ええ。アスカさんとお義父さんとの間に出来た子だったんです

ミサト

夫に相手にされなかったアスカさんはお義父さんを誘惑して、

ミサト

お義父さんもそれに乗ったそうですよ

ミサト

アスカさん曰く、「お義父さんはシンジと一番遺伝子が近い男の人だもの！」

ミサト

「つまり、この子はシンジと同じ遺伝子が入った、シンジと私の子供ってこと！」

ミサト

等と狂ったことを言ってました

ミサト

一人で育てるのに行き詰って、実の父親であるお義父さんに預けたけど、

ミサト

流石にお義母さんに不倫はバレたくなくて嘘をついたらしいですねー

ミサト

つまりあの子は、夫にとっては腹違いの妹

ミサト

娘にとっては年下だけど『叔母さん』ってことになりますね

リツコ

ひぃいいいいいいいいいい！！嘘よ、嘘よぉおおおおおおおおおお！！

ミサト

そりゃショックですよねぇ。お気に入りだったアスカさんに、裏切られていたんですから…

ミサト

ま、無責任に子供を捨てて逃げるような女のどこが良かったのか、わかりませんけど

リツコ

何よ何よ！アスカちゃんのことだから何か事情があると思ってた信じてたのに！！

ミサト

正直、お義母さんがアスカさんに入れ込んでた理由がわからないんですよね

ミサト

私への嫁いびりの手段だという以外には…

ミサト

それにしても、お義父さんもお義母さんだけじゃ満足できなかったんですねｗ

ミサト

不倫される方にも問題があるんじゃないですか？

リツコ

何で裏切られた私にそんな酷いこと言うのよ！！

ミサト

やだなぁ。お義母さんが私に言ったことですよ

リツコ

私をあんたなんかと一緒にしないで！！

ミサト

そうそう。あの子のことですけど、アスカさんが引き取るのを拒否したために、

ミサト

お義父さんが連れて帰ってくれましたよ

ミサト

親としての責任をしっかり取るべきですよねー。多分もうすぐ帰って来ます

リツコ

いやぁああああああ！！冗談じゃない！！夫の不倫の子がうちに来るだなんて！！

リツコ

それじゃ私はどうすればいいのよ！？

ミサト

可愛がって育てたらいいじゃないですか

リツコ

できるわけないじゃない！！

ミサト

でもお義母さん仰ってましたよね

ミサト

昔の嫁は、夫の不貞の子も可愛がって育てたって

ミサト

お義母さんが言ったんだから、是非お手本を見せてくださいね！

リツコ

無理に決まってるじゃない、ふざけないで！！

リツコ

年齢的にも子供なんて育てられないわ！！

リツコ

あなたが育てなさいよ！！一週間も面倒見てくれたんでしょ！！

ミサト

夫曰く、「妹を見捨てたくはないけど、親父の不貞の子の『パパ』にはなれそうにない」

ミサト

そうですよ。あなた達でなんとかしてください

リツコ

待ってよ！私、不倫の被害者なのよ！！

リツコ

気の毒だと思わないわけ！？

ミサト

思いますよ。散々してくれた嫁いびりがなければね！！

リツコ

そんな、私嫁いびりなんて…

ミサト

妊娠中の私を足蹴にして追い出したこともこき使ったことも、

ミサト

お気に入りの服を捨てられたことも散々罵られたことも、忘れてませんよ

ミサト

だから今まで、夫共々あなたと絶縁状態だったんですよ。そしてこれからも

ミサト

それでは、これから頑張ってくださいねー

リツコ

待ちなさい！ねぇ、助けて！！

～後日談～

ミサト

その後、義母は義父が連れ帰ってきた子供に耐えられず、すぐに離婚して家を出ました

ミサト

ですがこの歳での離婚ということで、生活には困窮しているのだそうです

ミサト

うちに同居を要請しても来ましたが、義母との同居に良い思い出のない私達は断りました

ミサト

アスカさんは新しい男と交際していましたが、そこに子供を連れた義父の凸と

ミサト

義母による双方への慰謝料請求がありました

ミサト

隠し子の存在がバレたアスカさんは男に振られ、義父を逆恨みして罵りながら

ミサト

どこかへ逃亡し、義父は子供を抱えて途方に暮れたのだそうです

ミサト

見かねた私達は、娘が寂しがっているのもあって、結局子供を引き取ることにしました

ミサト

今では家族四人で仲良く暮らしています

ミサト

夫は最初こそ、腹違いの妹に『パパ』と呼ばれて複雑そうでしたが、

ミサト

今ではニコニコで二人の娘のパパをやっています

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