匿名監察記録資料
第拾話
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いつも通り
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部屋にいても聞こえる声
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記録者の声
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その声を合図に
「記録開始」
実験が始まる
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匿名「ね、みどりくん」
深緑「なに?」
匿名「皆さ…黒のフードで顔がハッキリと見えないけどさ、見せてくれないの?」
深緑「……見たいなら別にいいけど、あんま見せたくないかなって思って」
匿名「…でも夢の中に出てきたみどりくんは普通だったじゃん」
深緑「……見せてあげるけど」
深緑「戦争ってのは残酷なんだよ」
その一言と同時に
緑色で綺麗な色で
そして少しボヤけたような 目が一瞬だけ見えた
見た時はそんな 顔したのか
俺は知らない
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匿名「っ…」
片目が包帯で巻かれていた
彼の右目が
匿名「どうしたの…?それ」
深緑「言ったでしょ、戦争ってのは残酷だって」
深緑「でも実際左目は無事でも少し視界がボヤけてる、博士に少しだけ治してもらったんだ」
匿名「なんで…いつやられたの ……?」
深緑「らっだぁっていうらだおくんが消えた瞬間に」
深緑「……痛みよりも悔しさが残ったかな…?」
匿名「ッ」
深緑「へ、まって、なんで泣くの…?」
匿名「だって…後頭部だよ…?頭なんだよ……?」
匿名「目なんだから……頭に突き刺さっててもおかしくなかったんでしょ……?」
匿名「ごめん…なんか」
深緑「いや、…」
深緑「これぐらい、博士に治してくれるよ?」
深緑「1度死なない限り…だから」
匿名「じゃあ…なんで今治してないの…?」
深緑「戦争ってわかるでしょ?」
匿名「……ねぇもしかして自分より他人を優先したってこと?!」
深緑「…分かってきてんじゃん?」
匿名「嬉しくないから、やめてよ、少しは自分を優先して……」
深緑「…分かった」
匿名「ね、他の皆も隠してる理由ってそーなの?」
匿名「レウさんとコンちゃんは違うけど……」
匿名「きょーさん…にもなにかあるの…?」
深緑「……きょーさんは両眼紛失した、レウさんは背中にデカい傷を負った、コンちゃんは2人がこうなっても冷静で居てくれたから片腕に刺されたけど治るのは早かったから大丈夫だった」
深緑「あと、コンちゃんのテレパシーもらだおくんが元に戻るまで使えるだけだから」
深緑「そんな能力がこの世に産まれてきたら、まだ一年も満たしてない体を壊され続けるだけだから……」
匿名「ッ……きょーさん…はどうやって見てるの?」
深緑「俺と同じで少し治して貰ってるだけ」
深緑「本当は俺らのことなんてもう見えない聞こえない程の重症だった、耳も切られて…」
匿名「……みどりくんはそれだけなの?ほんと?」
深緑「…なんで聞いてくるのかな……」
深緑「まぁ……ほんとうは…俺は目以外に腹も突き刺された脚にも、レウさんは首とか頭からの出血が凄くて大量出血で死ぬところだった」
深緑「でもコンちゃんはほんとに片腕だけ」
深緑「強国がここまで責められたのは初めてだよ、」
深緑「古代総統からずっと同盟国として今も続いてたこの研究所の国に裏切られて攻められてきたんだから」
深緑「予想外なことでしょ…?」
深緑「それに戦争の後にやられるってさ……」
深緑「怪我人のいる所までには行かせなかったから死人は出なかったけど重症者は沢山でた」
深緑「裏切られて数日経ってここに来た」
深緑「でもらだおくんがあと少し頑張れば元通りになれるんだよ」
深緑「それに戦えないって訳じゃないんだよ、だから心配しないで」
深緑「泣かないで」
匿名「ごめんね」
俺だって見たことないはずなのに
知るはずもないのに
何故か苦しいんだよ
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匿名監察記録資料
第拾話
終
コメント
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らだおぉ..... なんでこんな素晴らしいのが伸び無いんだ() ゆいさんのら運営シリーズがいっちゃん好きなんで見たら111は絶対押しますよハートッッ‼︎(੭˙꒳˙)੭