午前5:00に目が覚めた。廊下からぺたぺたって音が鳴る。怖いなあ、どうしよう。
えむ
こんなの耐えられないよ。怖すぎる。 司くんたちからもらったロケットペンダントを(夜であまり見えないけれど)じっと見て我慢した
えむ
安心したらまた何故か眠ってしまった。
看護師さん
えむ
看護師さん
えむ
食べ物が机の上に並ぶ。食べれそうにないのに、口の中に食べ物を詰める。
えむ
えむ
日に日に体調が悪くなっていく。半年も生きれないかもなあ。
司
大変、司くんがお部屋に来てたみたい。吐いてるの見られちゃった。引かれちゃったかなあ。
えむ
司
司くんがぎゅっと肩を掴む。わぁ、びっくり、今日の司くんは積極的だなぁ。
えむ
司
えむ
司くん、そんな事言わないでよ。忘れようとしてたのに。
えむ
司
えむ
司
司くんは肩を掴む力を強くした。
えむ
死にたくない、死にたい、死にたくない。死にたい。
司
司くんはニッコリ笑う。
えむ
あたしは思わず涙が出てしまったけれど仕方ないよね。だって司くんなんだもん。
司
えむ
司
えむ
あたし、行けないのに、
司
えむ
あたしの服、ピンク色のほわほわしたお洋服、ショーの、服…
えむ
泣いちゃった、こんな顔、司くんに見せたくないよお。
司
えむ
あたしはゆっくりと着替える。司くんはお外で待っててくれる。歩けないので、車椅子なんだ。(うーん、歩きたい!)
司
えむ
着替え終わったあたしをじっとみて、司くんは向こうを向いた。
司
えむ
司くんのほっぺは真っ赤になってる。分かりやすいなあ。
司
えむ
えむ
お外に行くと咳が止まらない。
司
えむ
司
司くんに心配させるわけには行かないの。あ、伝えなきゃな。
あたしはそろそろ消えちゃうから、司くんに似合う女の子を探してね。って
えむ
司
司くんは車椅子を止めた。動かないようにブレーキのようなものを動かして、あたしの前にたった。
えむ
司
司
えむ
司くんは何故だか寂しげな顔をした。
司くんが、踊って、歌って、あたしの手を引いて、抱っこして、お姫様みたいな気分、
時間はあっという間に過ぎた。
えむ
司
司
ただ、ずっと一緒にいて欲しいなんて言葉だけで涙が出るなんてあたしも弱くなっちゃったね。
えむ
あたしが返事をすると接吻された。
えむ
司
少し長いキス、何分も、何回も重ねて、合わせて、離して、くっつけて、離して、最後はふふって笑って、
えむ
司
えむ
あたしが安心して油断した時、気持ち悪さが口元まで一気に登ってきた
えむ
司
司くんは叫んだ。あたしは聞こえなかった。
えむ
司
司くんの顔は険しくて、あたしを見て泣いていた。
看護師さん
見慣れた看護師さんがあたしを抱き抱えている。目の前がぷつん、と暗くなった。
まだ、
しにたくない
午後8:00
看護師さん
えむ
看護師さん
そこにはあたしの手をぎゅうっと握っている看護師さんがいた。
えむ
あれ?
えむ
話せない、
看護師さん
看護師さん
えむ
あの、って言おうとした。けど言えない。
えむ
あたしが戸惑っている時、看護師さんが呟くように伝えてくれた。
看護師さん
無理するようににっこりと笑った。あたしはその顔を知っている。嘘つきの顔だ。
えむ
あたしはもう話せないんだ。
日に日になにかが奪われる。
耐えられない。
看護師さん
えむ
あたしはこくっと頷いた。
食べて、吐いての繰り返し。もちろん食べるよ。だって少しでも生きたいんだから。
看護師さん
気づいてたら消灯時間まで看護師さんとお話しちゃった。ああ、あたしが来なければいいのに。
あたしは夢を見た。司くんと寧々ちゃんと類くんと、また、またショーができる夢、
なのに、いきなりそんな夢は終わりを迎えた。
あたしがショー中に倒れたんだ。
司
寧々
類
寧々
司
寧々
類
司
寧々
類
司
あたしの首には司くんのおてて、いつもならあたたかいのに、冷たい。司くんの目には…
あたしの服を着た屍だった。