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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

午前5:00に目が覚めた。廊下からぺたぺたって音が鳴る。怖いなあ、どうしよう。

えむ

う………

こんなの耐えられないよ。怖すぎる。 司くんたちからもらったロケットペンダントを(夜であまり見えないけれど)じっと見て我慢した

えむ

はぁ……

安心したらまた何故か眠ってしまった。

看護師さん

あ、えむちゃん、大丈夫?

えむ

あ……えっと……看護師さん…

看護師さん

平気?ご飯食べれる?

えむ

うん……

食べ物が机の上に並ぶ。食べれそうにないのに、口の中に食べ物を詰める。

えむ

……

えむ

おぇっ、

日に日に体調が悪くなっていく。半年も生きれないかもなあ。

え……む…?

大変、司くんがお部屋に来てたみたい。吐いてるの見られちゃった。引かれちゃったかなあ。

えむ

あ……司くん……

平気か!

司くんがぎゅっと肩を掴む。わぁ、びっくり、今日の司くんは積極的だなぁ。

えむ

あ……今口拭くから待ってて!

……お前、死期が近いんじゃないか?

えむ

……え?

司くん、そんな事言わないでよ。忘れようとしてたのに。

えむ

そん……な…

そんなことあるだろ。医者と看護師が話してる話を……盗み聞きしてしまった。お前、半年も生きれないだろ。

えむ

……一日一日を大切にしなきゃね!

話を聞け!

司くんは肩を掴む力を強くした。

えむ

……寧々ちゃんと類くんには言わないで…

死にたくない、死にたい、死にたくない。死にたい。

言わない。絶対。だから俺だけにはなんでもうちあけてくれ。

司くんはニッコリ笑う。

えむ

…うん!

あたしは思わず涙が出てしまったけれど仕方ないよね。だって司くんなんだもん。

とりあえず……お前の体はよくはならないのか。

えむ

…まぁね!

外に行こうか。

えむ

…ふぇ?

あたし、行けないのに、

よし、今日はショーの服を持ってきたんだ!

えむ

ほんとだ…

あたしの服、ピンク色のほわほわしたお洋服、ショーの、服…

えむ

う゛…

泣いちゃった、こんな顔、司くんに見せたくないよお。

さあ、着て外に行こう!

えむ

うん!

あたしはゆっくりと着替える。司くんはお外で待っててくれる。歩けないので、車椅子なんだ。(うーん、歩きたい!)

え…む……

えむ

着替え終わったあたしをじっとみて、司くんは向こうを向いた。

……似合ってる。

えむ

えへへ。

司くんのほっぺは真っ赤になってる。分かりやすいなあ。

よし。じゃあいこう

えむ

うん。

えむ

げほっ、けほっ、

お外に行くと咳が止まらない。

平気か?

えむ

うん!平気!

…そうか、

司くんに心配させるわけには行かないの。あ、伝えなきゃな。

あたしはそろそろ消えちゃうから、司くんに似合う女の子を探してね。って

えむ

…司く…

えむ、

司くんは車椅子を止めた。動かないようにブレーキのようなものを動かして、あたしの前にたった。

えむ

これからショーしよう。

一人の少女と独りの青年の話だ。

えむ

司くんは何故だか寂しげな顔をした。

司くんが、踊って、歌って、あたしの手を引いて、抱っこして、お姫様みたいな気分、

時間はあっという間に過ぎた。

えむ

凄いね!

…えむ、俺はお前といることがとても嬉しいんだ。

俺と、ずっと一緒にいて欲しい。

ただ、ずっと一緒にいて欲しいなんて言葉だけで涙が出るなんてあたしも弱くなっちゃったね。

えむ

……うん、

あたしが返事をすると接吻された。

えむ

ん、

…ちゅ、……ん、

少し長いキス、何分も、何回も重ねて、合わせて、離して、くっつけて、離して、最後はふふって笑って、

えむ

幸せ、

俺もだ。

えむ

ふへへ、

あたしが安心して油断した時、気持ち悪さが口元まで一気に登ってきた

えむ

あ…あ゛ッ…!お゛ェ゛え゛ッ…!

えむ!

司くんは叫んだ。あたしは聞こえなかった。

えむ

、あ……

     !     !!

司くんの顔は険しくて、あたしを見て泣いていた。

看護師さん

    !    !!!

見慣れた看護師さんがあたしを抱き抱えている。目の前がぷつん、と暗くなった。

まだ、

しにたくない

午後8:00

看護師さん

……むちゃん、……むちゃん、

えむ

…あ……

看護師さん

えむちゃん……

そこにはあたしの手をぎゅうっと握っている看護師さんがいた。

えむ

あ…あ…

あれ?

えむ

あ……!ああ…!

話せない、

看護師さん

えむちゃん、無理しなくていいの。

看護師さん

えむちゃんは、平気だから……

えむ

…ぅ、ぅぁ、……

あの、って言おうとした。けど言えない。

えむ

……?

あたしが戸惑っている時、看護師さんが呟くように伝えてくれた。

看護師さん

えむちゃん……は、喉の調子がおかしくなっちゃって……今ちょっと話せないんだあ。

無理するようににっこりと笑った。あたしはその顔を知っている。嘘つきの顔だ。

えむ

あたしはもう話せないんだ。

日に日になにかが奪われる。

耐えられない。

看護師さん

とりあえずご飯、食べれる?

えむ

あたしはこくっと頷いた。

食べて、吐いての繰り返し。もちろん食べるよ。だって少しでも生きたいんだから。

看護師さん

……おやすみ、えむちゃん。

気づいてたら消灯時間まで看護師さんとお話しちゃった。ああ、あたしが来なければいいのに。

あたしは夢を見た。司くんと寧々ちゃんと類くんと、また、またショーができる夢、

なのに、いきなりそんな夢は終わりを迎えた。

あたしがショー中に倒れたんだ。

……使えないな。

寧々

ほんと。使えない。生きてる意味がない。

どんな気持ちで生きているんだい?生きているだけで迷惑なのに。

寧々

どうして生きてるの?

死ねば心配することもなくなる。

寧々

迷惑なの。

邪魔。

考えているだけで時間の無駄だ。

寧々

そうだ、

そうだ、

死んでくれ。

あたしの首には司くんのおてて、いつもならあたたかいのに、冷たい。司くんの目には…

あたしの服を着た屍だった。

儚ゐロケットペンダント

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