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ドリぺん夫婦とさぶ郎の苦難

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ドリぺん夫婦とさぶ郎の苦難

2 - 第2話 日常と非日常 ver.ミンドリー

♥

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2024年04月05日

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作者

ドリぺん、いいですよねぇ!?!?!?!?!?!?

作者

なんかめっちゃいいねありがとうございます!!
ドリぺんを良いと思ってくれている方が私以外にもいるんだという事を確認できてめちゃくちゃHappyです!!!٩( ᐛ )و

作者

これはもう完全なる自己満、自給自足作品なのですが、それでも楽しんでくれたら嬉しいです。

作者

今回は第1話のミンドリー視点になります。

作者

作者

身長はこんな感じで想像してます

作者

それでは本編です。どうぞ

()→思ってる事 《》→無線

オイルリグが終息し、切符も切り終わった。

一旦チルになり、本署の入口のソファでくつろいでいるところに最近聞き慣れた元気な挨拶が聞こえてくる。

伊藤ぺいん

《感じないか…?黄金の風が吹くのを!!》

警察無線

《感じる〜!》
《感じな〜い》
《おはようございま〜す》
《ちょっと感じる〜》

ミンドリー

《おはよう〜》

ミンドリー

(ぺいんくん今日は早めだな)

彼の名前は伊藤ぺいん。 俺の同期で、最近よくさぶ郎と3人で一緒に行動することの多い一人だ。

俺とぺいんくんはさぶ郎のお父さんお母さんということになっている。

なっているというのはおかしいか。 つまり、ごっこというかそういうノリで楽しんでいるというのが正しいのかもしれない。

俺は最近、この3人の関係を気に入っている。と言うよりも一緒にいる時間が増えてぺいんくんと物理的にも精神的にも距離が近くなって舞い上がっている。

何故か? それは勿論。ぺいんくんが好きだからだ。友情的な意味でもあるが、それだけではない。

いつからとかは覚えていない。というか原因はぺいんくんにあるのだが。

ぺいんくんがさぶ郎と2人で行動するようになって、そこに俺とオルカも加わって、その時はほんとにただ同期であり友人だった。

それで適切な距離を保っていたのだが、そこで問題が生じた。問題という問題では無いのだが、

ぺいんくんは人見知りの割に、仲良くなった人物に対してはとても距離が近くなるのだ。

ミンドリー

(本人は気づいてないんだよね。それがタチ悪いんだよなぁ)

まあ、好きになった理由はそれだけでは無いのだが。

そんなことを考えていると、足音が近づいてきて扉が開く。

ガチャ

扉から出てきたのは俺のひとつの悩みの種であるその人だった。

伊藤ぺいん

ミンドリーおはよう〜

ミンドリー

ぺいんくんおはよう〜

ぺいんくんは俺だとわかるとパッと顔を明るくし挨拶してくる。

その後にいつものペアのさぶ郎も入ってくる。

さぶ郎

ミンドリーさ〜ん;;
お母さんが意地悪してくる〜;;

伊藤ぺいん

は!?意地悪なんてしてないよ!!

ミンドリー

え〜何されたのぉ?

さぶ郎

なんかオイルリグ誰かやったのか〜とか、フリーカ捕まえられたのか〜とか、さぶ郎全然捕まえられないのになんかすごい聞いてくるぅ;;

伊藤ぺいん

え!?いやそれはだって頑張ってるのかなと思って!てか普通に頑張ってて偉いって思ってたし!

さぶ郎

ほら〜なんか早口だし怒ってるよ〜;;

伊藤ぺいん

いや怒ってる訳じゃなくてただ焦っちゃって!

ミンドリー

も〜ぺいんくん怒らないであげてよぉ〜

伊藤ぺいん

いやだから怒ってないって言ってr

さぶ郎

ほら〜;;

伊藤ぺいん

ほら〜って笑

ミンドリー

ぺいんくん娘いじめちゃだめでしょ〜も〜

伊藤ぺいん

いやだから、

さぶ郎

おと〜さ〜ん;;

伊藤ぺいん

あ〜もう今日そういう感じだ!?おっけおっけなるほどね。そういう感じか今日おっけ!

さぶ郎

www

ミンドリー

www

いつも通りのくだらないやり取りをしていると、1件の大型犯罪の通知が入ってくる。

その通知を確認して、ぺいんくんは体を方向転換させて屋上に向かった。

伊藤ぺいん

《ぺいんヘリ出しまぁす!》

警察無線

《お願いしまぁす!》
《俺サーマル出します》
《船着車で行きまーす》
《地上行きま〜す》

いつものように無線が騒がしくなる。 また警察の忙しい対応が始まる。

さぶ郎

ミンドリーさん

ミンドリー

ん?どうした?

さぶ郎

大変そうですね。でもガンバってください。

俺は驚いて少し体を硬直させる。

その言葉の意味が何を指しているのか、俺には分からないが、だいたい予想はつく。

今のじゃ分からないと思うが、ぺいんくんは無自覚に俺を好いてくれているのかもしれないという仮説があるのだ。恋愛とまでは行かないが、友情の少し先ではあると俺は踏んでいる。

そう、俺は自分の気持ちに気づいた時にこの感情は蓋しておかなければと、諦めていたのだが、希望が見え始めているのだ。

さぶ郎は、勘だけでなく察しもいい。 言葉に出来なくても、なんとなく肌で感じ取っているのだ。

今の発言がもし、そのことならば…

ミンドリー

……ふふっ
さぶ郎も大変だなぁ

さぶ郎

……はぁ…
ウン…。大変。

少女は溜息をつき、呆れた表情をしている。

このふたりは、たまにどっちがお母さんなのか分からなくなるのだ。それが微笑ましいのだが。笑

ミンドリー

よし、俺は客船向かうけど、さぶ郎はどうする?

さぶ郎

んー…
ぺいんさんに乗せてもらう。

ミンドリー

うん。じゃあまた後でな

さぶ郎

ウン。

そこで分かれ、さぶ郎は屋上方面に、俺は船で行くため、駐車場に向かう。

さぶ郎

《ぺいんさんまだ居る〜?》

伊藤ぺいん

《ん?まだ屋上いるよどうした?》

さぶ郎

《乗せて〜》

伊藤ぺいん

《おっけ待ってるから上おいでー》

このふたりはいつも一緒だなと微笑ましく思いながら、さぶ郎に諭されたことを思い出し、それが可笑しくて笑ってしまう。

ミンドリー

…よし、今日もやるか。
頑張ろ。

俺は色んな意味を込めてそう呟いた。

ミンドリー

はいじゃあ
60分おくるよぉ

客船犯罪者

はぁ〜いじゃあまた〜

ミンドリー

はーい

客船も終息し、捕まえた最後の一人を検挙しプリズンに送ったのを確認して一息つく。

通知を開き新しい大型や犯罪が起こってないかを確認する。

ミンドリー

(特にこれといってなさそうか。じゃあ一旦チルかな)

俺は牢屋から出て本署の脇の日陰の当たる階段の所に向かうと、さっきも見た姿が目に入り、声をかける。

ミンドリー

ぺいんくんお疲れ〜

俺に気づいたのかぺいんくんもこっちを向いて声をかけてくれる。

伊藤ぺいん

ミンドリーもお疲れ〜

伊藤ぺいん

結局何人検挙出来たんだっけ?

ミンドリー

うーんと4人かな。俺が切符切ったのは2人。

伊藤ぺいん

あーなるほど

伊藤ぺいん

いやーでもヘリアタックはできたけど落とせなかったのがなぁ…もっとヘリ上手くなりて〜…

ミンドリー

いやでもアタック出来るだけで十分上手いよ。自信持ちな。

伊藤ぺいん

……ほんと?

ミンドリー

うん

伊藤ぺいん

…へへっ(照)

ミンドリー

w

伊藤ぺいん

あ、そういえばミンドリーに聞きたいことあったんだけど良い?

ミンドリー

うんいいよ。なに?

伊藤ぺいん

えっとこれなんだけど、

そう言ってぺいんくんはスマホを取り出し俺に見えるように近づいてくれる。

…ほら、距離が近い。

俺は自分の気持ちに蓋をしようと決めていたのにぺいんくんはそんな俺の苦悩も知らず、こうやって距離を詰めてくるのだ。

だから、俺は「だったら俺もちょっとは欲を出してもいいだろう」「俺だけ誰にも相談できないまま苦しむのはフェアじゃない」と思い、最近は俺からも距離を詰めている。

まあ、これでぺいんくんが少しでも俺を意識してくれたらそれはそれで嬉しいのだが、1番の目的はただ俺が近寄りたいからだ。

俺はぺいんくんが近づいてきた以上に体を寄せ、肩をくっつける。

ミンドリー

(まあ、ここまで近寄らなくても見えてるんだけどね。)

俺はスマホの何を聞きたいのか待っていると沈黙が訪れ、疑問に思い、ぺいんくんの様子を伺う。

伊藤ぺいん

……

ミンドリー

…?ぺいんくんどうかした?

伊藤ぺいん

え!?あ、いや!ちょっと考え事して、て

彼はハッとし、俺の方に顔を向けて返事をする。

と、さすがに俺が近ずきすぎたか、これまでにないくらいまで顔が近くなってしまう。

ミンドリー

(…っ)

伊藤ぺいん

ぇあ…ご、ごめん……!

ぺいんくんもこの距離の異常さに気づいたのか、すぐに顔を背け、謝ってくる。

俺もさすがに顔を背ける。

ミンドリー

(さすがに近すぎたか…)

今まで以上の顔の近さだったもので、俺は嬉しさと恥ずかしさで顔に少し熱が集まり、反省する。

ミンドリー

(あんまり近すぎると嫌われる可能性もあるからな…)

自分で勝手にそう考えたのに、胸の当たりがズキっと痛くなる。

全く、たまに自分が自分勝手すぎて嫌になる。

ミンドリー

(ぺいんくんは…)

ぺいんくんの反応がないため様子を伺う。

俺は、目を疑った。

もし、俺の見間違いでなければ、ぺいんくんの顔が少し赤くなっている。

これは、怒りか、それとも…

俺の中の、何かが、溢れた気がした。 蓋が、消えてなくなるような…

俺はぺいんくんに触れていた右の方の腕を彼の背中に回し彼の右腰に手を添える。

するとぺいんくんは体を硬直させる。

何が起こっているのか分からないという感じか。

続けて、腰に添えた手に少しばかり力を込めて、ほんの少し俺の方に引き寄せる。

ミンドリー

(これで、ぺいんくんが拒絶しなければ、俺の仮説は…)

そう考えているとぺいんくんがこちらの様子を伺うようにゆっくりと顔を向ける。

その表情から察するに、拒絶はなく、混乱と焦りのみ。 その中に混じる、小さな別の感情。

これは。

俺の中の、しまい込むための蓋が消え去る感覚がする。

嬉しくなってしまい、ついつい口角が上がる。

するとからかわれたと思ったのか、ぺいんくんはカッと顔が赤くなり、表情も変わる。

これは、怒りと焦りと恥ずかしさと言ったところか。まずい。楽しくなってきた。

伊藤ぺいん

お前まじで…!

ミンドリー

ん?

ぺいんくんが怒ろうとするのを遮り、いつものようにふっと微笑み、最大限の優しい声色で問う。

ミンドリー

どうした?

すると彼はわなわなと体を震わせ、俺を制止しようとしてくる。

伊藤ぺいん

だ、だから…!

俺は続きを言わせまいと更に手に力を入れて引き寄せ、ついでに顔も先程と同じくらい近づける。

ミンドリー

なに?

伊藤ぺいん

…っ

そうするとぺいんくんは怯み、声を出せなくなる。怒りよりも恥と焦りと困惑が勝ったようだ。

ダメじゃないかぺいんくん。 逃げようとするなんて。

あー…まずい。

タガが、外れそうだ。

何も言わず動揺して固まったまま動かなくなってしまったぺいんくんが可愛すぎて、俺は更に顔を近づける。

ゆっくり、釣り糸を引くように。かかった獲物は逃さないように。

ほら、早く突き飛ばさないと、ぺいんくん。俺の見た夢が正夢になってしまう。 まあ、逃がす気は毛頭ないが。

あと、数cm。

ピロン

俺を夢から現実に引き戻すかのように、1件の犯罪通知が鳴る。

伊藤ぺいん

…!

ミンドリー

ん?

ミンドリー

(あ、)

つい、いつもの癖で顔を背けポケットのスマホを出して通知を確認してしまった。

その一瞬の隙をぺいんくんは見逃さなかった。

すかさず俺から距離を取り、バカでかい声をあげる。

伊藤ぺいん

ごめんミンドリー!!何聞こうとしたか忘れたわ!!!また思い出したら声掛けるな!!

伊藤ぺいん

あと店舗強盗起こったみたいだからそれ対応行ってくる!!!!じゃ!!!

ミンドリー

え、

俺が止めようとしたのを察知したのか、そう言って光の速さで駐車場方面へ走っていってしまった。

ミンドリー

(はっや…)

ミンドリー

(……まあ、良い収穫ではあったか。)

俺の仮説は正しかった。ぺいんくんは無自覚なのだ。そう。何も問題は無い。俺がじわじわ自覚させればいい。

……というか、さぶ郎のあの反応、もしかしたらそれも気づいての「大変」だったのかもしれない。

ミンドリー

っふ……

もし本当にそうだとしたら更に可笑しくて笑ってしまう。

ミンドリー

(それにしても、)

惜しかった。

もし、あの時通知が来ていなかったら、

もし、あの通知に俺が気づいていなかったら、

もし、俺がもっと早くそうしていたら、

あるいは……

俺は左手で唇をさすり、感情のまま口角を上げる。

ミンドリー

………残念。

そう一言残し、俺はその場を後にした。

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