未練

未練 ｰ未練

桃赤

明日なんて本当に来るのだろうか、

毎晩

そう思って

腕を赤く

醜く

化粧をしていく

毎朝

ちゃんと朝は来るのに

夜になると

何故か明日の朝が来ない様な

そんな感覚に陥る

あぁそうか

俺が

明日を望んでないんだ

それならいっその事

今迄俺を嫌っていた人達へ

俺自身も嫌いだが

最期くらいはと

ブロックを解除し

グループLINEに

文章を送る

もう二度と逢うことはないでしょうが 皆さんお元気で。 せいぜいそのつまらない世界で 残りの人生を楽しんでください。 俺は天国か来世で幸せに暮らすので。

マンションの屋上に立ち

夜風に当たる

暫く外に出ていなかった所為か

冷たい風も

心地よく感じる

先程からスマホの通知が五月蝿い

嫌味を込めた文章に

怒っているのか

通知を切り

フェンスを乗り越える

15階程の高さから

下を眺めると

本能からか

少し恐怖を感じる

足だけ宙に投げ出し

縁に腰を下ろす

その後

深呼吸をし

手の震えを止める

俺は

どれだけ恵まれないのか

最期に元彼と会うなんて

数cm

身を乗り出す

もう

落ちる寸前で

目を合わせる

泣きそうな顔

なんでこんなに必死なんだろう

もう彼女もいるでしょ？

嫌だなぁ

そんな事

そんな顔されたら

未練ができちゃうじゃん

成仏できなかったら

責任取れよ

未練 ｰ未練

なんか没

赤くんが送った文章

俺の遺書の最後の文と 同じだったりします