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天才すぎる
れい
れい
れい
れい
れい
れい
れい
れい
俺は生まれた時からスラムにいた。
親は………よく覚えていない。 多分、いた。
3歳になってひとりになった。
いくら小さくてもこの歳で 生きていけるほど 甘い場所じゃないのはわかっていた。
同じ年の奴らは、 次々餓死していった。
運良く生き延びても、 奴隷商に捕まって売られていった。
俺は、生きた。
店の品物を盗って、 貴族の財布を盗って………
死にたくなかったから、生きた。
だけど、俺は夜が嫌いだった。
暗く冷たく変わる世界の中で、 なけなしの毛布を被って眠る夜が 怖かった。
………ひとりは、いやだ。
ゾム
ある日、しくじった。
店の物を盗ろうとして、 店主のハゲ親父に見つかった。
よりによって………
奴隷商
奴隷商
奴隷商
あの親父、奴隷商と繋がっとるって 噂、ホンマやったんか。
クソッ………どうすれば………
??
ゾム
こっちや、こっち。
そう言って見えない誰かは、 俺を声で誘う。
辿り着いたのは、ジンジャ?とかいう 場所だった。
ゾム
んなもんおるわけないのにな、と 潜った門の先に、さっきの声の主が 姿を見せた。
薄く笑いを浮かべて、境内に続く 木でできた階段に座っている。
ゾム
??
ゾム
ぶはっと吹き出したそいつは、 俺の方を見てゴメンというポーズを とる。
??
堪忍な、と薄く涙を溜めた そいつの目はピンクに光り、 ムッとする俺を映した。
『 』
ゾム
『 』
当時の名前を教えると、『 』は そう言って嬉しそうに境内に 入っていった。
俺と同じくらいの背丈だったから、 同い年くらいかと思ったけど、 『 』がいきなり振り返ったと 思ったら、
『 』
って言ってきたから……なんか、まぁ 気にしてるらしい(何かは言わんで) ちなみに俺はその時7歳。
奥の部屋に通され、驚いた。
ゾム
俺は、このスラムでここまでの量の 食べ物を見たことがなかった。
ここに住む奴らは、常日頃 食べるものに困っている。
故に、大量の食料なんぞ あるわけがなかった。
『 』
『 』
『 』
ちょっと待て。 簡単そうに言っているがスラム出身で 身元を隠すのはかなり困難だ。
いくら日雇いとはいえ、いつもの ボロきれみたいな服装では一発で バレてしまう。
闇組織?と繋がりがあるのも謎だ。
ゾム
ゾム
『 』
考え込むような顔をして、 少し経ってから顔を上げる。
『 』
きっぱり、そう言い切った。
ゾム
『 』
ゾム
この世界で他人の心配なんか してる場合ではないだろうに。
利益もないのに、恩を売る意味が 俺には分からなかった。
『 』
ゾム
一拍おいて理由があるといった 『 』に俺は一体どんな要求が 飛んでくるのだろうと身構える。
しかし………
『 』
ゾム
『 』の言った言葉は、またもや 俺の体の力を抜かせたのだった。
『 』
『 』
『 』
『 』
『 』
『 』
なるほど、あの大量の食料は 長年スラムにいる賜物らしい。
この街では、ひとりでいればいるほど "生き残る術"を手に入れる。
今11歳で………ひとりになったのが 4歳か。
つまり、ひとりでいたのが7年。
その7年を幸運だけで 生き延びれるほど、このスラムは 甘くない。
『 』
『 』
ゾム
『 』
『 』
『 』
ゾム
ゾム
でも、言ってしまえば『 』の 言葉は真実だ。
どれだけ取り繕っても、 辛く、苦しい。
『 』
ゾム
『 』
ゾム
『 』
『 』
『 』
ゾム
『 』
『 』
『 』
『 』
じっと俺を見つめる『 』。
そんなに、家族が欲しいのか?
俺じゃなくても、別の誰かで よかったんじゃないか。
そんな考えが脳裏を掠める。
でも、
ゾム
なんとなくで人を助けるような 甘い奴かと思えば、心が無いような 言動もさらりとする。
そんな『 』を気に入ったのも 事実で、俺は「ひとりが嫌だ」という ことも………また事実だった。
『 』
俺の思考を知る由もなく『 』は 輝かんばかりの笑顔を此方に向けた。
『 』の仕事を手伝う、 といってもそれは俺がいつも やっている事と大して 変わらなかった。
スラムの至る所に設置されている 煙を排気するダクトに潜み、 物を盗る。
変わったことは、それに『 』の オペレーションが付いたことだ。
『 』の言っていた "仕事の手伝い"というのは 『 』が少し苦手とする 盗み実行係を請け負うという ものだった。
『 』
とかなんとか言ってたけど……… まぁとにかく俺はそれほど前と 変わらない生活ルーティーンを している。(盗みをルーティーンと していることは置いておいて)
『 』と初めて会った時に 思ったことだが、『 』は かなり気さくで話しやすかった。
俺と『 』は形が違えど、 "ひとり"を拒んだ。
ゾム
『 』
ゾム
恩人から、友人へ。
ゾム
『 』
ゾム
『 』
ゾム
『 』
ゾム
友人から、仲間へ。
ゾム
『 』
ゾム
『 』
仲間から、………家族へ。
全て、上手くいっていた。
あの日までは。
身体が揺さぶられる感覚に、 意識が現実に引き戻される。
『 』
ゾム
ゾム
『 』
ゾム
スラムでは、ホームレスの 火の不始末によるボヤはよくあること だったのだが、その住んでいた ジンジャは山の上にあるため煙が 届くことはほとんどなかった。
なのに、こんなに煙が充満している なんておかしい。
『 』
なるほど、街全体が燃えているのか。
なら不自然ではないな、なんて 冷静な考えを当時の俺が できるわけがなかった。
ゾム
『 』
降りた先のスラム街は、 まさに地獄だった。
誰かの叫び声、泣き声、 救済を求める声………。
その悲鳴たちは燃え盛る街を背景に 阿鼻叫喚を作り出していた。
ゾム
進もうにも、どこもかしこも 逃げまどう人々で溢れかえっている。
『 』
ゾム
『 』
ゾム
人の波に呑まれないように必死に体を 前に進める。
王都への抜け道へ繋がる入り口が 見えた。
ゾム
モブ
太った男が自身の体を重そうに 引きずりながら逃げる人ごみを 押し除け進んでいた。
モブ
モブ
………スラムで太っている奴など おかしいとは思ったが、なるほど、 余興半分に見に来たら逃げ遅れた 王都の貴族か。
面倒くさいな………。
ゾム
『 』
ゾム
『 』の声に振り返ると、 もう男の影が俺を覆った後だった。
『 』
ゾム
ゾム
『 』
ゾム
『 』
ゾム
『 』
俺は男にぶつかられた衝撃で 足を思いっきり打撲した。
わかりやすく、肌が紫と青に 変色している。
ゾム
『 』
ゾム
お互いに自分のせいだと言い張り、 決着のつかない謝罪が始まる。
なにか話を逸らそうと、 ぽつりと言った。
ゾム
『 』
ゾム
『 』
ゾム
ゾム
『 』
ゾム
ゾム
『 』
『 』
そう言うと、『 』は建物の影に 消えた。
そして、二度と帰ってこなかった。
おかしいなと感じたのは、陽が完全に 沈み切った後だった。
『 』が行ってくると言ったのは 夕暮れ時だった。
いくらなんでも、遅すぎる。
感じた異様さに 居ても立っても居られなくなり、俺は 言いつけを破って街に入った。
少し動くようになった足を引きずり、 壁を伝いながら『 』の姿を 探す。
すると、どこかで聞き覚えのある声が 聞こえてきた。
奴隷商
ゾム
どうやら、自分を追いかけてきた 2人で行動しているようだ。
舌打ちをしながら、声を殺す。
奴隷商
奴隷商
奴隷商
奴隷商
ピンクの目をした……11歳の 背の低い男子?
まって、まって。いやだ。
『 』のことを話している ようにしか聞こえない。
落札?オークションで?
誰かが『 』を買った? 『 』を奴隷にするために?
いや、そんなこと、あるわけない。
だって、『 』は僕に、 「待っといて」って言ったんやから。
「待っといて」ってことは、 "帰ってくる"ってことやろ?
だから、『 』が 捕まったなんて…………
そんなこと、あるわけないねん。
次の日になっても、『 』は 帰ってこなかった。
次の年になっても、『 』は 姿を見せなかった。
情報を手に入れるために暗殺業を 始めても、『 』の話は 聞けなかった。
僕の、せいだ。
僕があの時「お腹が空いた」なんて 言ったから。
「行ってくる」と言った『 』を 止めなかったから。
依頼先でグルッペンにスカウトされて 我々軍に入って、だんだん薄れてゆく 記憶。
『 』との、思い出。
今、生きているのかもわからない。
もう、名前も思い出せない。
ゾム
ひとりは、いやだ。
ゾム
ロボロ
目を開けると、 そこは白い医務室だった。
ロボロが丸椅子から軽く 身を乗り出す。
ゾム
ロボロ
ロボロ
ゾム
ロボロ
ゾム
ロボロ
ゾム
ロボロ
ゾム
ロボロ
ロボロが俺を真っ直ぐ見つめてくる。
ロボロ
ロボロ
ゾム
ロボロ
ロボロが自らの雑面に手を掛ける。
ロボロ
雑面が外された顔は、 少し茶色がかった髪と、ピンクに 輝く大きな目………
ゾム
記憶が揺さぶられる。
ゾム
ロボロ
ゾム
目頭が急速に熱くなる。
ゾム
ゾム
ゾム、……いや、希は、ベッドの上で 子供のように泣きじゃくっている。
ごめん、ごめんな。 ひとりにしてもうて。
ここで待っといてなって、 言うたのにな。
ロボロ
ロボロ
ゾム
ゾム
ロボロ
ロボロ
ロボロ
ゾム
ロボロ
頭を撫でると、希はふるふると 首を振った。
ゾム
ロボロ
ロボロ
ゾム
ロボロ
「家族」とは、難しい。
そんなものはフィクションだ、と 言う者もいれば、世界で一番 尊いものだと言う者もいる。
ゾム
ゾム
ロボロ
ロボロ
「家族やもん」
この2人にとっては、"家族"は 「ひとりにならない大切なもの」。
孤独な寒い夜が2人を襲うことは、 もう無い。
END.
れい
れい
れい
れい
れい
れい
れい
れい
「この話は削除されました」
れい
れい
れい
れい
追記:今フォロワー様50人突破記念で
企画を皆さんに応募しています!
なんでもいいですので、
よろしければ応募、
お願いいたします!
例)質問コーナー、お題話など
れい
れい