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とある物書きの挑戦譚　【第三期】

第18話 - お互いの気持ち

2022年09月16日

#ファンタジー

#一次創作

#異世界転生

#転生

#異世界

マーキス

さて、

マーキス

寸法が終わったことですし

マーキス

ぴったりのサイズのものをお持ちいたしますね。

ルドルフ

ありがとうございます。

マーキス

いえいえ

マーキス

シゼ、アレン

アレン

あ、はい。

シゼ

！、はい。

マーキス

ここから先は、お客さまに着替えてもらわなきゃ進められないから

マーキス

2人は隣の部屋に行ってて。

アレン

わかりました。

アレン

お嬢様、行きましょう。

シゼ

う、うん…。

アレン

お嬢様〜！見てください！

アレン

アークが作ったお菓子ですよ。

アレン

ほら、この紅茶クッキー懐かしくないですか？

シゼ

あ、うん…。

シゼ

（あの傷…結構深かったよね。）

シゼ

（セオドアの肌が…私のせいで）

シゼ

（どうしよう…。）

シゼ

（私…嫌われたくないのに！）

シゼ

（どうしよう、絶対に嫌われるよね）

シゼ

（私がうろちょろしたせいで、怪我して、騒ぎになったんだから。）

シゼ

（もう…自分嫌い！）

シゼ

（私の馬鹿！）

アレン

？、お嬢様？

アレン

大丈夫ですか？

シゼ

…。

シゼ

ごめん。

シゼ

…ちょっと、お手洗い行ってくる。

シゼ

（…だめだ）

シゼ

（はやくセオドアへの気持ちを諦めて、楽になりたいのに）

シゼ

（胸が苦しくてそれができない）

シゼ

（叶うはずない恋なのに）

シゼ

（自分は、好かれるどころか迷惑をかけてばっかりなのに）

シゼ

（ずっとセオドア様のことで頭がいっぱい…）

シゼ

（あーあ。）

シゼ

（はやく夜にならないかな…）

シゼ

（夢の中でならこの思いも隠さないでいいのに…）

セオドア

シゼ？

シゼ

！？

シゼ

セオドア様…？

セオドア

どうしてここにいるの？アレンさんは？

セオドア

ついさっきまで一緒に部屋で時間を潰すって言ってたよね？

シゼ

あ、えっと…

シゼ

ちょ、ちょっと探し物を…えへへ。

シゼ

セオドア様こそ、着替えはもう済んだのですか？

セオドア

うん、済んだ。

シゼ

えっ、めっちゃ早くない！？

シゼ

（あ、やばい素が出ちゃった）

セオドア

うん、10分で終わったよ。

セオドア

たぶん、僕が「ルドルフと同じのでいい」って言ったからだと思うんだけど…。

シゼ

あっ、そうなんですね…。

シゼ

（ファッションにはそんなに興味ないのかな？）

セオドア

にしても、探し物だなんて奇遇だね。

セオドア

僕も手帳を探してたんだ。

セオドア

よければ一緒に探してくれる？

シゼ

！

シゼ

あ、はい。

シゼ

もちろんです。

シゼ

（ふ、ふたりっきりだ…）

シゼ

（嬉しい…セオドアと、一緒に入れる）

シゼ

（…って）

シゼ

（よくないよくない！）

シゼ

（もうこの恋は終わったんだ！早く探して、アレンのところに帰らないと…！）

セオドア

うーん、ないな…。

セオドア

やっぱり、カバンの中かな。

シゼ

！

シゼ

一度全部出してみますか？

セオドア

そうだね。もう一回全部出してみる。

スッ

シゼ

！

（シゼがセオドアの手を見る）

シゼ

あっ。

セオドア

？、どうしたの？

シゼ

あの、

シゼ

その傷…大丈夫なんですか？

セオドア

！

シゼ

…私のせいで手を怪我されたんですよね？

シゼ

本当に、ごめんなさい。

セオドア

！

セオドア

…。

セオドア

シゼ…。

セオドア

違うから。

シゼ

？

シゼ

えっ…？

セオドア

この傷、シゼを守ることでついた傷じゃないから。

シゼ

！

シゼ

そ、そうなんですか？

シゼ

じゃあ、一体どこでそんな傷を？

セオドア

…。

セオドア

それは…言えない。

シゼ

！

シゼ

ご、ごめんなさい。

セオドア

いや謝らなくていいから…。

セオドア

その…なんというか、これは…

シゼ

？…

セオドア

これは…その。

セオドア

……えっと。

セオドア

…。

セオドア

…猫ちゃん。

シゼ

？

シゼ

猫ちゃん？

セオドア

城に入ってきた猫ちゃんと遊んでて。

セオドア

まっしろでふわふわで可愛かったから

セオドア

つい抱っこしたくなって

セオドア

そーって近づいて触ったら、ひっかかれて…それでできた傷。

シゼ

！…

セオドア

っ、

セオドア

あー！

セオドア

恥ずかしい！、やっぱり忘れて！

（セオドアが顔を真っ赤にして顔をそらす）

シゼ

…。

シゼ

（えっ、）

シゼ

(((((か、かわいい…！！)))))

シゼ

（えっ？なにその理由、めちゃくちゃ可愛くない！？）

シゼ

（え？なに？セオドアって野良猫と遊んだりするの！？）

シゼ

（えー…かわいい…。）

シゼ

（あとセオドア、猫のこと猫ちゃんって呼んでるんだ…ギャップやば。）

シゼ

…ふふっ。

セオドア

！

セオドア

シゼ…笑ってる？

シゼ

！、あっ

シゼ

い、いえ違います。

セオドア

嘘だ。

セオドア

さっきふふって笑ったじゃん。

シゼ

い、いいえ…くしゃみですよ。

シゼ

笑ってなんかいません。

セオドア

…。

セオドア

…まぁ、いいけど。…笑われても。

シゼ

！

シゼ

（あれ？セオドア拗ねてる？）

セオドア

今日のシゼ、ずっとしょんぼりしてたから。

セオドア

僕と話す時もずっと目を逸らしてて

セオドア

元気なさそうだったから、僕心配してたんだ。

シゼ

！

シゼ

セオドア様…。

シゼ

（この人、ずっと私の心配をしてくれたんだ…）

シゼ

（拗ねないどころか笑う私を見て安心するなんて、なんて寛大な人だろう）

セオドア

今は大丈夫？

シゼ

あ、はい。

シゼ

平気ですよ！

シゼ

元気いっぱいです。

セオドア

そっか、よかった。

ルドルフ

おーいセオドアー。

セオドア

！

ルドルフ

どこにいんのー？

ルドルフ

探してた手帳、見つかったぞー。

（遠くでルドルフの声がする）

セオドア

！

シゼ

！

セオドア

よかった…あったんだ。

シゼ

そうみたいですね。

セオドア

うん。

セオドア

手伝わせちゃってごめんねシゼ。

シゼ

いえいえ。

アレン

お嬢様〜？

アレン

お茶が冷めてしまいますよ〜。

遠くでアレンの声がする

シゼ

！

シゼ

（いけない、戻らないと。）

シゼ

それでは、セオドア様

シゼ

用事が終わったらまた話しましょうね。

セオドア

うん

セオドア

…。

セオドア

（シゼ、ずっと自分のせいで俺が傷ついたんじゃないかって思ってたのかな？）

セオドア

（恥ずかしかったけど、もっとはやく言えばよかった…）

セオドア

（あと、シゼは優しいな。）

セオドア

（攫われそうになって怖かったことより、俺のことを考えてくれるなんて）

セオドア

（お世話係の方がシゼにべったりなのもきっと彼女の人柄がいいからだ。）

セオドア

…。

セオドア

（シゼともっと話したいな）

セオドア

（シゼなら、自分なんかでもあたたかく受け入れてくれる気がする）

第18話　おわり

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