華太は不注意で両手を怪我してしまった。本来は入院する筈だった。華太は過去に何度も入退院を繰り返してるので、特段、病院での生活も苦ではなかったし、兄貴の手を煩わせるのも悪いと思い、南雲の提案を一度は断った。しかし、恋人である南雲の兄貴が、どうしても華太の世話を焼きたいと言って聞き入れなかったのだ。
何とか氷室から、定期的に通院する事は勿論、極力手は使わない事、他の人に介抱して貰うの事を、条件に自宅療養の許可に、こぎ着けた。
そして、華太は二週間の間、南雲の兄貴の家に、お邪魔させて貰う事となった。
食事は病院帰りに済ませ、華太はリビングで寛いでいた。
そこに、いそいそと歯ブラシ片手に南雲がやってくる。
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
小峠華太
南雲からの提案を、華太はすぐさま断ったが、尚も南雲の兄貴は食い下がってきた。
南雲梗平
常日頃から、南雲は何かと華太の世話を焼きたがる。お風呂上がりの華太の髪を乾かすのも、南雲の仕事なのだ。 まあ、その延長線みたいなものか、と思いに至り、安直に華太は了承してしまう。
小峠華太
まさか、この選択が後に、自分の首を絞める事になるとは、華太は夢にも思わなかった。
南雲梗平
小峠華太
南雲は正座した状態で、ぽんぽんと自分の膝を叩く。
南雲梗平
小峠華太
華太は南雲に促されるまま、南雲の膝に頭を置く。
南雲梗平
南雲に言われるがまま、華太は開口する。南雲の視線が、華太の口の中に隈無く注がれる。
小峠華太
口の中を見られる事が、こんなにも羞恥を煽る行為だと思わなかった。 はたと、南雲が不埒な目的で、華太の歯磨きを買って出てきたことに考えが至る。
尤もらしい事を言って、この体勢にしたのも華太の逃走を防ぐためのもの。
小峠華太
口の中に入れられている、歯ブラシが邪魔をして、思うように喋れない。
南雲梗平
南雲は舌をつきだし、華太に真似るように促す。華太は抵抗しても無駄だと悟り、南雲の指示に従い、舌をつき出す。南雲は華太の恥ずかしがる姿を見るのを、楽しんでいるのだ。
小峠華太
華太から罵りを受けるも南雲は気にせず、よりよく口の中が見えるように、華太の口の中に指を入れ、内側から頬を引っ張る。
そして、歯ブラシを華太の歯にあてがうと、歯を磨き始める。先ずは奥歯から表面を磨き、表面が終われば、裏面を磨く。歯が磨かれるにつれ、歯磨き粉が華太の口の中で、泡立っていく。しゃこしゃこと口の中で鳴る音が、更に華太の羞恥心を刺激する。
先ほどまで、歯を磨いていた歯ブラシが突如、舌禍を滑る。 何とも言いがたい、ゾワゾワした感覚に、咄嗟に華太は口を閉じてしまう。
小峠華太
南雲梗平
再度、開口するように促され、渋々、口を開く。唾液と合わさった泡が、口内で糸を引く。南雲は、先ほどと同じように、今度は下の歯を磨いていく。
小峠華太
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
華太の歯磨きを心行くまで満喫した南雲から、やっと終了の合図がでる。 華太はがばっと体を起こし、パタタタと足音を立てながら、洗面台に駈けていく。
嗽を済ませ戻ってくるなり、華太は、ソファの上に置いてあったクッションを使って、南雲をぽかぽか叩く。
小峠華太
南雲梗平
小峠華太
南雲梗平
南雲は嗜めつつ、華太の腰を掴み、自分の膝の上に座らせる。
南雲梗平
小峠華太
結局、二週間の間、南雲による歯磨きは遂行されたのだった。 この件から、二度と手を怪我をすまいと、華太は心に固く決めたのだった。
おわり
あとがき 何年か前、親知らず抜きに歯医者行ったら「痛かったら手を上げて下さいね」と言われて、痛かったんで手を挙げたん。 そしたら「痛いですよね。もうしばらくの辛抱ですから頑張って下さい」と言われた。 あ、止めてくれるわけじなないんやな(治療なので当然といえば当然)。じゃあ、この手を挙げらした意味なんなんや? ただ痛いか知りたかっただけなのか、なんなのか、って事で、こんな、なぐかぶが出来た。
コメント
2件
もう最高です❤︎❤︎なぐかぶも萌えますよね〜‼️♡