TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

修羅魏 聖葵

…あれ…俺……

聖葵の部屋に向かっている最中 すぐ近くで聖葵の声が聞こえた

式神 榎戸

あれ、起きちゃった?

修羅魏 聖葵

…俺……寝てた…?

式神 榎戸

うん、寝てた

修羅魏 聖葵

頭が冴えてきて自分の今の状況を理解したのか、聖葵は僕の背中の上で動きだした

修羅魏 聖葵

降りる…から……止まれ…

式神 榎戸

えー、どーしようかな?

修羅魏 聖葵

もし生徒に見られたら……!

式神 榎戸

えー?恥ずかしいの?

修羅魏 聖葵

ちが…いや、違わないけど……
とにかく下ろせ!
自分で歩くから……

式神 榎戸

…無理でしょ

修羅魏 聖葵

え?

耳元で、聖葵が戸惑いの声を上げた

そんな聖葵のことなんて気にせず、僕は言葉を続ける

式神 榎戸

歩けないでしょ、今は

修羅魏 聖葵

…………どういうことだよ

声を絞り出すように聖葵は答えた

聖葵は、なにか隠す時や嘘をつく時 少しだけ、微かに、声が震える 昔からの癖だ

式神 榎戸

呪いのこと…聞いたの、歩香から

式神 榎戸

呪いが…聖葵の体蝕んでるって
その代わりに、眠気が襲ってくるんでしょ?

修羅魏 聖葵

それは……

式神 榎戸

死ぬんでしょ?

修羅魏 聖葵

……

後ろから、言いかけていた言葉を飲み込んだ代わりに、吐息が聞こえた

式神 榎戸

ねぇ、死ぬんでしょ?
最終的には、このまま呪いのこと
放置してたらさ、死ぬんでしょ?

修羅魏 聖葵

……

式神 榎戸

それに…保健室にいた時思った
聖葵、前は起きたらすぐ行動する人だったのに、起きてもしばらく動かなかった

式神 榎戸

……本当は、呪いのせいで寝たあとって、動くの辛いんじゃないの…?

修羅魏 聖葵

……

しばらく沈黙が続いた

修羅魏 聖葵

そうだよ

修羅魏 聖葵

呪いが強くなってるのも、呪いのせいで急に寝ちゃうのも本当

修羅魏 聖葵

……死ぬのも、本当

式神 榎戸

…なんで

式神 榎戸

なんで言ってくれなかったの?

式神 榎戸

歩香達には言ってるのに!
どうして…なんで僕には……

式神 榎戸

僕のこと…信用してないの……?

修羅魏 聖葵

それは違う!

式神 榎戸

…!

聖葵が急に声を荒らげるから、少し驚いた

修羅魏 聖葵

俺はお前のこといちばん信用してる

修羅魏 聖葵

ただ…心配かけたくないんだ

修羅魏 聖葵

お前には、いちばん心配かけたくない…
それに、変に心配かけて気まずくなるのも嫌だ

修羅魏 聖葵

俺は…普通に、今まで通りお前と過ごしたいだけなんだよ…

式神 榎戸

聖葵……

リユ先生が言っていたこと、事実だった

聖葵は僕に心配かけたくない、きっとこれは事実

でも、きっと、1番は

式神 榎戸

普通…か

「普通」聖葵が1番望んでるのはそれだ

修羅魏 聖葵

…ごめん、急にこんなこと

式神 榎戸

いや、僕から話題振ったんだからいいよ

修羅魏 聖葵

……おう

式神 榎戸

はい、ゆっくり休んでね

聖葵の部屋の寝室にあるベットに聖葵を下ろした

修羅魏 聖葵

……ありがと

式神 榎戸

てか、結局降ろさずに部屋まで来ちゃったね、ごめんね

修羅魏 聖葵

いや…大丈夫
多分……上手く動けなかったと思うから

式神 榎戸

そっか

聖葵が何か言いたげな顔をしている

でも、僕はそれを見て見ぬふりをして部屋を後にしようとした

式神 榎戸

じゃあ…僕そろそろ……

修羅魏 聖葵

俺さ

聖葵が僕の言葉を遮って、話し出した

式神 榎戸

…何?

修羅魏 聖葵

…い

式神 榎戸

…?

修羅魏 聖葵

…怖い

修羅魏 聖葵

死ぬの、怖い

聖葵の声が震えた

ドクンと、心臓が脈打った

だって…大人になって、聖葵がこんな弱音を、本音を吐くのが初めてだったから

式神 榎戸

聖葵っ……!

修羅魏 聖葵

…!

気付いたら僕は聖葵に抱きついていた

修羅魏 聖葵

榎戸……

式神 榎戸

いいんだよ……

式神 榎戸

もっと、弱音吐いて…いいんだよ

修羅魏 聖葵

……

そのまま、聖葵は僕の背中に手を回した

修羅魏 聖葵

…まだ、死にたくない

修羅魏 聖葵

子供の頃から、ずっと死がまとわりついている気がして

修羅魏 聖葵

父さんが死んで…もしかしたらって……もしかしたら…呪い……無くなるかなって……

修羅魏 聖葵

でも……酷くなる一方で……
死がどんどん間近になってきて……

そこで聖葵は喋るのを辞めた

気付くと聖葵は静かに涙を流していて

それにつられて僕も泣きそうになってしまった

式神 榎戸

聖葵……

式神 榎戸

言ってくれて、ありがとう

式神 榎戸

もっと泣いていいんだよ
声を出して、子供みたいに

子供の頃に、子供らしく過ごせなかった分

今ここで、子供みたいに泣いて欲しい

そんな気持ちを込めながら、僕はひたすら聖葵を撫でた

式神 榎戸

(僕たちの仕事はいつ死んでもおかしくない)

式神 榎戸

(だから昔から……ずっと死を覚悟しろって言われてるけど……)

式神 榎戸

(聖葵は僕らなんかよりもっと死と隣り合わせ……なんだもんな……)

式神 榎戸

(聖葵も…死ぬの、怖いんだ……)

修羅魏 聖葵

……ごめん
こんなこと言って

式神 榎戸

大丈夫
落ち着いた?

修羅魏 聖葵

…うん

修羅魏 聖葵

……俺さ

修羅魏 聖葵

このまま呪い殺されるのなんて嫌だ
死ぬならせめて…仕事で死にたい

修羅魏 聖葵

あったことも無い先祖が受けた呪いのせいで死ぬなんて…嫌だ

修羅魏 聖葵

だから、俺、この呪いどうにかしたい
できる限りのことをしたい

修羅魏 聖葵

生きたいから、榎戸と
”約束した”から、それを守りたい

修羅魏 聖葵

お前より先に死ぬなんてごめんだ
だから…協力して欲しい

式神 榎戸

聖葵……

修羅魏 聖葵

お前に関係ないのに…こんなお願い…
ごめん、でもやっぱ……1人よりはいいかなって思って

式神 榎戸

……

式神 榎戸

いいよ、協力する

式神 榎戸

僕も、聖葵に早死されるのはごめんだからね

式神 榎戸

早くても50歳くらいまで聖葵が生きれるように僕もがんばるから!

修羅魏 聖葵

榎戸…

修羅魏 聖葵

ありがとう

グリム・リーパー

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

26

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚