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注意 この小説は、「まるまる小説コンテスト」の出場作品です。 夢表現のようなものが出てくるかもしれないので、 それが大丈夫な方はどうぞ。

まるまる

…ここ、どこ…?

まるまる

なんか眩しいけど…

気づくと、謎の場所にいた。 ネオンサインの眩しいビルが、たくさん建っている。

???

ちょ、ちょっと!

まるまる

え、誰?

???

君ですよ、君。こんなところで何をしているんですか!?

すると、何者かに話しかけられた。

まるまる

僕…?貴方は、誰?

まるまる

聞き覚えのある声だけど。

???

…覚えていないんですね。

天宮

私は…天宮と申します。
お嬢さん、ここは貴方のいる場所ではないですよ。

まるまる

天宮さん…

天宮

出口まで案内しますから、ついてきてください。

まるまる

はい。

天宮

それにしても、貴方は何故ここに来たんです?

まるまる

いや…僕自身、全く覚えがなくて…

天宮

そうですか…

ぐぅぅぅぅ…

不覚にも、お腹が減ってしまった。

まるまる

あ…お腹減った…

天宮

あらら、なら食べに行きますか!!

まるまる

い、良いんですか!?

天宮

いいんですいいんです!

居酒屋「朧月」

連れられてきたのは、温かみのある静かな居酒屋。

店長

あぁ、天宮さん。いらっしゃい。

天宮

すみませんね、急に来てしまって。

店長

良いんだ、君には色々な恩もあるし…
おや、そこのお嬢さんは?

天宮

彼女、ここの世界に来てしまったらしく。

まるまる

え、ここの世界って…

店長

そういう事かい。

天宮

今、お腹が空いてしまっていたらしいので。

店長

分かった分かった。ご馳走してやろう。

天宮

ありがとうございます。
ここのお店は美味しいんですよ、まるまるさん!

まるまる

う…って、何で僕の名前を知ってるの?

天宮

…それは、お話し出来ませんね。

まるまる

…え。

天宮

とにかく、待ちましょう!

まるまる

は…い?

店長

お待ちどう。

天宮

ありがとうございます。ささ、食べてください!!

まるまる

いただきます…美味しい!

お魚の料理だったけど、この世の中で一番美味しいお魚だった。

店長

なら良かったよ。ゆっくり食べてってね。

まるまる

はい!

天宮

…ふぅ、やっと着いた。

居酒屋を出た後は、月がきれいな海にやってきた。

まるまる

ここはどこですか?

天宮

…ここは「煌海」。
この世界で最も美しい場所とされています。

まるまる

へぇー…

天宮

まるまるさん。
ここで…あと五分ほどお待ちいただけますでしょうか。

まるまる

良いですよ!

何で…僕の名前を知っていたりするんだろう。 でも、天宮って名前には聞き覚えがあるんだ。

5分ほど、天宮さんはこの海の事を話してくれた。 とても面白くて、熱心に聞いていた。

まるまる

天宮さんのお話、面白い!

天宮

なら良かったです!
…そうだ、貴方に話さなければならない事があります。

まるまる

何ですか?

天宮

この後、ここの海に橋があらわれるんです。
「煌橋」と言うのですが。

天宮

そこの橋を、まるまるさんだけで渡って欲しいのです。

まるまる

僕だけ…?

天宮

はい。絶対に。

まるまる

天宮さんは!?

天宮

…私は、ここの世界の住人ですから。

天宮

貴方は、ここの世界の住人ではないのです……

まるまる

そんな…

天宮

少しの間でしたが、ありがとうございまし…

まるまる

嫌だよ!!

天宮

…え。

まるまる

少しの間でも、僕は天宮さんといれて楽しかった!!
世界とか分からないけど…僕はここに居たいよ!!

天宮

まるまる、さん…

まるまる

駄目なの!?

気づいた時には、涙が溢れていた。

天宮

……………

天宮

あちらの世界には、貴方を心配している方がたくさんいるんです。

まるまる

…?

天宮

細かいところは、言えないのですが。

天宮

だから、その方々の為にも。
橋を渡って欲しいのです。

まるまる

……

天宮

…そ、そうだ。

天宮さんは、ポケットから何かを取り出した。

天宮

これは、私がずっと前から大切にしているものです。

まるまる

綺麗…

天宮

「桜楼石」です。この世界で数個しかないと言われています。
…あげますよ、まるまるさん。

まるまる

いいの?

天宮

はい!私の代わりとしてですが…

まるまる

…なら…もらう。

天宮

…その代わり、橋を渡って元の世界に戻ってくださいね?

まるまる

分かった!

天宮

あれ。
いつのまにか、敬語が取れてませんか?

まるまる

あ。

二人で大笑いした。 時を、忘れてしまうぐらいに。

まるまる

本当に、橋が現れた。日本橋だけど、少し光っている。

天宮

お別れの時、ですね。

まるまる

天宮さん…最後にひとつだけ、我が儘言わせて。

天宮

どうしましたか。

まるまる

…ぎゅーってして。

天宮

…ふふ。

ぬくもりが、体に伝わってくる。

天宮

お元気で、まるまるさん。貴方の事をいつでも見守っていますから。

寂しそうだけど…でも、とても優しい声で囁かれた。

まるまる

うん。

まるまる

じゃあね…。

天宮さんの元を離れて、僕は橋に足を踏み入れた。

天宮

あ、後ろ振り返ったら駄目ですからね!!

まるまる

…分かった。

そこからは…

暗い暗い道。

まるまる

あ…ま…

僕は眠ってしまった。

天宮

まるまるさん!!!!

まるまる

………あ……

天宮

良かった、本当に良かったですよぉ……

目覚めると、病院のベッドの上。 横には、“天宮さん”がいた。

まるまる

僕、何を…

天宮

貴方、交通事故に遭って二日間意識不明の状態だったんですよ…?

まるまる

そう、だった。

やっと思い出せた。 僕は、交通事故に遭ったんだ。

そこからの記憶は…無かった。

天宮

本当に大丈夫ですか?

まるまる

うん…でもね、不思議な夢を見たんだ…

天宮

…夢?

天宮さんに、全てを説明した。

天宮

なるほど、大変興味深いですね。
…それと、手に持っているのは…

まるまる

えっ。

いつのまにか手に握りしめていた、それは…

「桜楼石」だった。

まるまる

…!!天宮さん…

天宮

…もしかすると、まるまるさんは死者の国に行ったのかもしれませんね。

天宮

そこで、私とそっくりな方が助けてくれたのでしょう。

まるまる

…そっか。

心の中で、こう呟いた。

……ありがとう、『天宮さん』。

【完】

【作者から一言】 めちゃ長くなりました!!すみません。 一人称「僕」で合ってましたかね…? 楽しんでいただけたなら幸いです。

では。

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