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続き待ってます!
涼ちゃん😿😿😿😿😿
静かなネットカフェの個室。
涼架
涼架
目を瞑ったけど、眠れなくて何度も寝返りをうつ。
廊下を歩く音、扉が開く音、全てがあの人なんじゃないかと疑ってしまう。
涼架
息を殺して個室の端っこで貸出の毛布にくるまる。
ラッキーな事に終電を逃してここに来た人も多いなか、鍵付きの個室に入れた。 だから部屋の外音はあまり聞こえない。けど耳を澄ますと廊下を歩く足音や咳払いが聞こえる。
それになんだか部屋の前を歩く足音が多い気がする。そんなに個室があった気はしない。 たくさん出歩く人でも居るのかな。
涼架
胸がぎゅうっと痛む。 汗ばむ手でスマホを握りしめ無意識に電源ボタンを押したが、画面は変わらない。あの人からまだ何も来ていない。
涼架
その時、廊下で誰かの足音が止まる。 俺の個室の前で、ぴたりと。
涼架
背筋に冷気が走った。
涼架
息を詰めて動けないままじっと耳を澄ますと、ドアの隙間から何かがゆっくり差し込まれた。
涼架
それは、写真だった。
よく見るとそれは俺がネットカフェの受付で話している所が写ってる。
涼架
手が震えて喉の奥から声にならない悲鳴が漏れる。 全てバレてたんだ。
涼架
勢いよく立ち上がり荷物を掴みドアを開けると廊下には誰も…。 でも、誰かが隠れてこっちを見ている気がする。
涼架
驚いてる店員さんに何も言えずに階段を駆け降り、ネットカフェから走り出た。
涼架
ラッキーな事に俺の方が早いみたい、気配が少し離れるのを感じながらまだここに比べて人の多い飲み屋街へ走った。
滉斗
夜、何故か嫌な予感がして目が覚めると涼ちゃんから友達の家に泊まるというメッセージが来ていた。
滉斗
そのメッセージを見ながら水を飲みに行くと元貴も起きていてスマホを見ていた。
滉斗
元貴
滉斗
俺の方を全く見ず、スマホを睨みながら呟いた。
元貴
元貴
涼ちゃんは必ず遊ぶ相手の名前と場所を教えてくれる。だからこんな曖昧なメッセージ、はたから見たら普通かもしれないけど涼ちゃんらしくなくて不自然だ。 2人で顔を見合わせる。
滉斗
何かおかしい。
言葉では説明しにくいけど、ほぼ確信にも近い違和感がある。
涼ちゃんは最近、俺らから何かを隠すように過ごしていた。 それも関係あるのかな。
元貴
滉斗
涼ちゃんの部屋に忍び込んで漁るような事をするのに罪悪感が湧くけど、もし俺たちの不安が当たってればその分早く助けられる。
滉斗
滉斗
部屋の扉をそっと開けると、空っぽのベッドが涼ちゃんの不在を際立たせていた。
元貴
滉斗
机を見ると、昔一緒にゲームセンターで取ったマスコットのキーホルダーや俺が出かけ先のお土産で買った物などが飾られている。
滉斗
元貴
涼ちゃんのそういうところを見ると今すぐ抱きしめたくなるほど愛おしく感じる。
そんな涼ちゃんが1人でどこかに行ってしまった。 俺たちといるのが嫌で出てっちゃったのかな。
最近やけによそよそしかったのはそういうことなの?
そうだったとしたらもっと仲良くなれるように沢山学校で話しかけるし、どんな手段を使ってでもまた戻ってきてもらおう。
滉斗
…あんな強気な事言ってみてもやっぱ不安だ。涼ちゃんに嫌われたら俺は生きていけない。 不安を隠すように元貴の方を見ると、まるで警察のようにクローゼットを観察していた。
滉斗
元貴
元貴
元貴の言葉に嫌われてないかもという希望が見えてついテンション高く聞き返してしまった。
滉斗
元貴
そんな変にテンションが高くなった俺に冷静な元貴はクローゼットの中を隅々まで見ながら話してくれた。
元貴
元貴
滉斗
元貴
確かに、涼ちゃんなら本当に家出するなら荷物をまとめてこの部屋も綺麗にしてから出ていく気がする。
元貴
滉斗
机の上の物を見て思い出にひたっていた自分が恥ずかしい。 涼ちゃんのためにもっと手がかりを探さなきゃなのに。
滉斗
元貴
そっと開けた引き出しの中にはノートや下敷き、キーホルダーとかが入ってる。
滉斗
自分に言い聞かせるように喋りながら引き出しを閉じようとすると、元貴が俺の腕を掴んだ。
元貴
少し震える声で話す元貴に俺も少し不安になりながら引き出しを見つめる。
滉斗
元貴
元貴がノートやプリントの下に隠すように置かれていた鍵を取り出した。
滉斗
元貴
滉斗
元貴
その鍵を見ると何故か胸騒ぎがして、別の引き出しを開けるとそこには不自然な程隠そうとしたあとが残ってる箱が出てきた。
元貴
元貴が恐る恐る鍵を差し込むとピッタリとハマり、そのまま鍵を開けた。
滉斗
隠していたものを見ようとしている罪悪感に駆られながらも箱を開くと、少し汚れた封筒を見つけた。
滉斗
滉斗
元貴が封を開けると、中には写真が数枚──いや、十数枚もあった。
元貴
その写真に写っていたのは、登校中、授業中、誰かと談笑しているとき、体育の授業で汗をかいているとき── どれも涼ちゃんが気づいていない、明らかに盗撮されたものだった。
滉斗
怒りで怒鳴る寸前、もう一枚の封筒の中身が手から滑り落ちた。
それは何かが乾燥したような…想像もしたくない。使用済みティッシュとねっとりとした文字で書かれた手紙。
涼架、君は本当にきれいだね。僕だけの女神だ。もっともっと、君が欲しい。
滉斗
気持ち悪くて手放した手紙もそのまま、箱の中に大量に入ってる手紙を読み進めるごとに胸がえぐられるような嫌悪感と吐き気が込み上げてくる。
滉斗
滉斗
元貴
元貴は片膝をつき、床に手をついて息を詰まらせた。怒りよりも先に罪悪感と無力さが襲ってくる。
涼ちゃんは友達の家に行ったんじゃない。俺らを守るために、俺らからそいつを離す為にわざと1人で飛び出したんだ。
滉斗
滉斗
足の力が抜けて膝を着いた。
元貴
元貴が苦しそうに叫ぶ。
元貴
目の奥が熱くなる。だけと涙を流す時間すら今は惜しい。 無理やり立ち上がった。
滉斗
滉斗