ある日突然、好意を寄せている義勇さんに声を掛けられ、家にお邪魔させて貰う事になった
竈門炭治郎
お邪魔します

冨岡義勇
嗚呼

冨岡義勇
そこに座れ

竈門炭治郎
はい

…でも確かに、義勇さんから泣きそうな程切ない匂いがした
竈門炭治郎
…!

竈門炭治郎
(…悲しい匂い……)

竈門炭治郎
(…義勇さんから……?)

冨岡義勇
炭治郎

竈門炭治郎
…ぁ、はい…!

冨岡義勇
…俺の事をどう思っているのか教えてくれ

竈門炭治郎
…え……?

恋情を抱いている相手から突然そんな事を聞かれて、冷静で居られる訳がない
冨岡義勇
……お前が、俺に恋情を抱いている事は何となく分かっていた

竈門炭治郎
…っ…//

竈門炭治郎
……迷惑…でしたか…?

冨岡義勇
…否、迷惑な訳がない

冨岡義勇
嬉しいに決まってるだろう?

冨岡義勇
……でも、俺の事はもう好きになるな

竈門炭治郎
…!

竈門炭治郎
どうして…っ…!

義勇さんは迷惑でないと言った。俺が好きで居る事を本気で喜んでくれている
竈門炭治郎
どうして…ですか…?

冨岡義勇
……

冨岡義勇
…俺は、お前に好きになって貰う資格なんてない

竈門炭治郎
…っ、そんな事ない…!

竈門炭治郎
俺は…っ、義勇さんが優しい人だって知ってます…!!そんな貴方だから俺は好きになった…っ!

竈門炭治郎
それなのに…っ、そんな貴方が自分自身を侮辱しないでくださいよ…っ!

冨岡義勇
…炭治郎は何も分かってない

冨岡義勇
……俺は、大切な人を二人も殺した

竈門炭治郎
……え…?

冨岡義勇
…幸せになるべき人間じゃない

冨岡義勇
…お前はもっと素敵な人を見つけて、その人と幸せになるべきだ

竈門炭治郎
…っ

竈門炭治郎
勝手に決めないでくださいよ…っ!!!

竈門炭治郎
俺は…貴方が…っ"__!

冨岡義勇
…この話は終わりだ

竈門炭治郎
待って…っ!!

竈門炭治郎
…義勇さんは…っ、本当にこれで良いと…納得してるんですか…??

冨岡義勇
…どういう意味だ?

竈門炭治郎
…義勇さんが俺を突き放す度…っ、悲しい匂いが濃くなって行くんです…

竈門炭治郎
義勇さんはこんな事…っ、本当に望んでるんですか…?

冨岡義勇
…嗚呼、望んでる

冨岡義勇
俺は炭治郎に幸せになって貰いたいだけなんだ

竈門炭治郎
…じゃあ…っ、一緒に生きてくださいよ……

竈門炭治郎
俺は…っ、義勇さんが良いんです…

竈門炭治郎
義勇さんじゃないと嫌だ…っ…!!

冨岡義勇
…!

竈門炭治郎
…自分が傍に居るべき人間じゃないなんて…っ、そんな悲しい事言わないでください…っ……!

竈門炭治郎
それに、大切な人達だって、貴方を守って死んでしまっただけで…、貴方が殺した訳じゃない…っ"…!!

竈門炭治郎
…これ以上…っ、一人で抱え込まないでください…っ

竈門炭治郎
遠くに…っ、行かないでください……(ポロッ

冨岡義勇
…!

冨岡義勇
……炭治郎…__

竈門炭治郎
…義勇さんは…っ、自分を卑下しすぎです…

冨岡義勇
……すまない

竈門炭治郎
…どうか俺に、支えさせてください……

竈門炭治郎
…俺は…っ、義勇さんの力になりたいんです……

竈門炭治郎
貴方が、俺と禰󠄀豆子を助けてくれたように……

竈門炭治郎
…好きです…、義勇さん

冨岡義勇
…っ

冨岡義勇
……良いのか…?俺で……

竈門炭治郎
…義勇さんが良い…っ

冨岡義勇
…__っ(ポロ

竈門炭治郎
…!

竈門炭治郎
(チュ

冨岡義勇
ん…/(ポロ

竈門炭治郎
…泣かないでください…

竈門炭治郎
…俺は…、貴方には笑ってて欲しい……

竈門炭治郎
義勇さんは、幸せになるべき人なのに…、ずっと過去に囚われ続けてる

竈門炭治郎
…自分を守って死んでしまった人達に謝り続けてる

竈門炭治郎
……確かにそれは素敵な事だし、必要な事だと思います

竈門炭治郎
…でも貴方は、それをずっと考え続けてる……

竈門炭治郎
そんなの…っ、苦しいですよ……

竈門炭治郎
…__だから義勇さん

竈門炭治郎
…ちょっとで良い…。ちょっとで良いから…、自分を許してあげてください……

冨岡義勇
自分を…許す……?

竈門炭治郎
はい

竈門炭治郎
…難しいと言うのなら、俺が隣でお手伝いします

竈門炭治郎
…義勇さんが必要としなくても、俺はずっと隣に居ます

竈門炭治郎
…だから、辛かったり、一人じゃ抱えきれなくなるものが出来たら俺を頼ってください…(微笑

竈門炭治郎
…約束ですよ?義勇さん

冨岡義勇
…嗚呼

冨岡義勇
今まで、自分を許す事なんて考えた事がなかった

冨岡義勇
…幸せになるべき人間でも、許されるべき人間でもない。……そう思っていた

冨岡義勇
…でも、お前に……

冨岡義勇
…否、炭治郎がこうして手を差し伸べてくれて、心が少し軽くなった

冨岡義勇
…こんなにも生きた心地がしなかったのは、己の首を己が絞めていたからなんだな

竈門炭治郎
…はい

竈門炭治郎
でも、俺も義勇さんの気持ち…分かります

竈門炭治郎
……俺も、家族を亡くした頃は、自分が代わりに死ねば良かったと思っていました

竈門炭治郎
……でも、それは違うんです

竈門炭治郎
…命をかけて守ってくれたのなら、その人の思いを無駄にしちゃいけない

竈門炭治郎
…失っても生きていくしかない。…例えそれがどんな地獄であろうと、思いを繋いでいかなきゃならない

竈門炭治郎
…自分が死ねば良かったなんて、考えちゃいけないんです

冨岡義勇
…!

「自分が死ねばよかったなんて二度と言うなよ。もし言ったらお前とはそれまでだ。友達をやめる」
「お前は絶対死ぬんじゃない。姉が命をかけて繋いでくれた命を、託された未来を、お前も繋ぐんだ義勇」
冨岡義勇
…炭治郎

竈門炭治郎
?

冨岡義勇
…ありがとう(微笑

竈門炭治郎
…!

竈門炭治郎
はい…っ!(ニコッ
