ナイティナイト

そう言って、君は私を両手に包み込んだ

君が笑顔で顔を近づけたから、私は君の前髪を触った

叱りながらも、君は笑顔を見せた

幸せな顔で、君が言うから

私も嬉しくなって、ワンッ、と鳴いた

君は芝生を駆け回って

それを真似て私も駆け回って、寝転んで擦りむいて

そっと木の陰に隠れた

今日は静かに

少し遠くに

いつもよりも上手に隠れてみたよ

私は君の胸に飛び込んだ

君は、いつものように笑った

・ ・ ・ ・ ・ ・

でも

その思い出ももう──

──静けさの向こう

暖かい雫が、私の顔に落ちる

大丈夫、開けてるよ。

今閉じたら、泣き顔を見逃してしまうから。

それに……

今閉じたら、明日から少し…サヨナラだから

もう涙で濡れているのに

……だけど、それもそうだね

私を腕の中で暖めていて…？

遠くで、君の声が聞こえる

語りかけるように言う君に、返事がしたい

君が少し、笑顔になった

だからもう一度、鳴きたいのに。

喉元に力が入らなくて、鳴けない

精一杯出したあの鳴き声に、

こんな意味を後付けする

──僕は君に会えて

こんなに幸せだよ───

明日も、明後日も、

……来世も君の側で

眠りたいなぁ…………

最後の一声に、力を込めて。

それと同時に、私の心臓が寝坊した

ナイティナイト：まふまふ 様