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主
蜂楽が来てから数日後。 撮影や練習の見学に付き合ううちに、潔は少しずつ――ほんの少しずつ、凪以外の人にも顔を見せられるようになっていた。
特に蜂楽。 彼の笑顔は、不思議と胸の奥を締めつけなかった。 (この人は……本当に大丈夫、かも……)
それでも、言葉は出ない。 「ありがとう」も「楽しい」も、喉が固く閉ざしてしまう。
そんなある日。 蜂楽が唐突に、手を差し出した。
蜂楽
凪のそばを離れるなんて無理――そう思ったのに。 蜂楽の優しい目を見て、潔は迷いながらも首を縦に振ってしまった。
凪はちらりと視線を送り、何も言わずに寝転がったまま。
凪
外の空気は少し冷たくて、心地よかった。 蜂楽はただ隣を歩きながら、楽しそうに話す。
蜂楽
潔は足元を見つめたまま、スケッチブックに書く。
潔
蜂楽は目を丸くして、それからにっこり笑った。
蜂楽
その言葉が、潔の胸に深く残った。
主
主