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桃赤 モブ赤 桃赤好きさんはもしかするときついかもしれないです 次回かその次くらいで完結予定 ご本人様とは一切の関係がございません 苦手な方はここで閲覧をお控えください
桃
桃
告げてしまえば案外呆気ないものでずっと体にまとわりついていた重たいものがとれたような、そんな感覚があった
ないくんはどんな顔をしているのだろうか、急にこんなことを言われて怒っているんだろうか
赤
桃
赤
桃
まるで前々から考えてあったかのように嘘の言葉が次々と口から溢れてくる
ずっと、心のどこかでこうしようと思っていたのかもしれない
赤
これ以上ここにいたらなんだか泣き出してしまいそうな気がして目の前に立っているないくんを避けて部屋を出ようとする
桃
ないくんに腕を掴まれる、やめてよ、もうさよならだから
赤
桃
赤
そのままないくんの家を飛び出した
あれから自分の家まで走って帰った
中に入り扉を閉めたところで自分はワンピースを着たままだったということに気がついた
そんなことにすら頭が回っていなかったのか
赤
本当に自分は馬鹿だと思う
あの時、ないくんに腕を掴まれて止めてくれるんじゃないかって、離れたくないって言ってくれるんじゃないかって期待した
自分から別れを告げといてなんて我儘なんだろう
そのあとは自室に戻っていい歳して泣いていた
赤
眠い目を擦りながら体を起こす
懐かしい夢をみた
懐かしいなんていってもりうらはあの時からずっと時間が止まっているかのように過ごしていた
もう3年前のことだ
ずっと空っぽの心のまま3年間過ごしていた
高校も卒業して大学に入って、バイトをしても誰と話しても何をしても満たされない
捨てる気になれなくてあの時のまま変わらない可愛い部屋で今日も目覚めた
なんでもいい、なんでもいいから俺を満たして欲しかった
赤
そうか、そうだったんだ
俺もないくんと同じだ
3年前に鍵をかけたままの引き出しを開けて彼から貰った何枚もの封筒を手にする
中身をみると自分たちの関係性を自覚してしまうから開けたことはなかったけど
もう今更とっておく必要もないだろうし、封筒を鞄に入れて家を後にした
目的の場所につき、辺りを見渡す
3年前と大きくは変わらないこの場所は、俺とないくんが初めて出会った場所
別にここじゃなくてもよかったんだけど気づいたらここに来ていた
しばらくその場にいる人をみていると、1人人物に目が止まった
あの時俺に声をかけた桃色の彼のような青年、高校生くらいだろうか
吸い寄せられるようにその青年の元へ行き声をかけた
赤
赤
急に声をかけてきた俺を警戒しているのか少し戸惑った様子で俺をみる
それがあの時の自分みたいで……
赤
そしてあの時ないくんが俺にしたようにお金をチラつかせて了承を得た
赤
赤
彼を家に上げてから待っているように促す
赤
赤
まだ警戒しているのか落ち着かない様子で部屋を見渡している
自室に入りクローゼットから取り出したのは3年前彼の家から飛び出した時に着ていたワンピース
自分から関係を切った矢先、返しに行く気にもなれなくてずっと返せずにいたものだ
それに袖を通して鏡の前であの時のようにくるりと回る
赤
赤
こんな俺をみたらあの子は気持ち悪がって出ていってしまうだろうか
いや、むしろそうしてくれた方がいいかもしれない
赤
少し大きめの声でそう呼べばゆっくりとドアが開く
彼は驚いたように部屋を見渡している
赤
赤
別にりうらの趣味じゃないんだけどな…
赤
何聞いてんだろ、なんかまるで…
可愛いって言って欲しいみたいじゃん…
赤
赤
久しぶりの『可愛い』になんだか嬉しくなった
でも……
それから俺らは何度か会うようになった
何度あってもないくんのことは忘れられないのに
赤
もうすっかり暗くなってしまったのでいつものように家の近くまで送ることにした
赤
赤
そう言って封筒を差し出す
赤
彼を見送って一息つくと不意に誰かに手を引かれた
赤