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桃side
悠佑
見えるか、とアニキは目の前に聳え立つショッピングモールを指差す。
周りの木の葉に埋もれて少々見えにくくなっているその建物に近づいていくと、その大きさが一目でわかる。
今まで学校とバイト以外で外に出させてもらえていなかった俺にとって、 その建物に最早威圧感さえ感じてしまう。
それはりうらも同じようで、 建物を見上げながらは目を見開いて丸くしていた。
ただ他の四人は見慣れているからなのか、俺たちを微笑ましそうに見た後、 手を引いて入口まで連れていってくれる。
ほとけ
りうらの手をギュッと握りしめたほとけっちは、そのままの状態で入り口に向かって走っていく。
初兎
悠佑
いふ
気づけば既に建物の中からこちらに手を振っている三人に手を振りかえしつつ、俺たちも行くかと入り口へ向かった。
ないこ
中に入った俺たちは年下三人を先頭にして、ショッピングモールをのんびりと歩く。
悠佑
ほとけ
初兎
いふ
「だってここのアーケードゲーム面白いんだもん」とほとけっちは頬を膨らませる。
悠佑
いふ
そう言っていふまろが指差したのは、なんだか大人っぽい雰囲気の洋服が並べられているお店。
夏らしさを感じる腰巻きシャツや、どこぞの模様やらロゴやらが散りばめられたキャップなど、男性用のお洒落な品々をマネキンが着飾っている。
ないこ
「りうらならまだしも」と苦笑しながら言うと、まろは「そんなことないよ」と俺の背中を押してお店まで強制的に連行した。
いふ
ないこ
いふ
まろは近くの棚に畳まれておかれていたTシャツを一枚手に取り、 この服に合わせると似合うズボンや上着などを紹介される。
あまりにもまろがペラペラと話すので、俺は途中から何を言われているのかわからず、 ちょっと悪いなと思いつつ話を右から左に聞き流した。
ちらとりうら達を視線で捉えると、 ほとけっちと初兎とアニキがりうらに似合う服を真剣に選んでいる姿が見えた。
何度も何度もりうらの体に服を当てて鏡に映しては、「この色よりはこっちじゃない?」「いや、その色だと上着と合わせる時に・・・・・・」と議論をしている。
りうらはされるがままにポケーっと、二人の会話を聞いていた。
いふ
と、Tシャツの色々な組み合わせを試している途中のまろが俺の名を呼ぶ。
ないこ
いふ
ないこ
用語をつらつらと言われても、わからないものはわからない。
まろが俺のために説明しようとしてくれているのは嬉しいが、 今まで全くお洒落というものと無縁だった俺には少々理解し難いジャンルだったようだ。
いふ
まろは呆れたようにそう言うと、何着かの服を手に取り、俺の手を引いて近くにいた店員さんに話しかける。
何やら了承を得たらしいまろは、今度は俺の腕を掴んでお店の奥にある試着室に向かい、入れと俺に促してくる。
いふ
ないこ
「着替え終わったら呼んでな」 とまろは試着室のカーテンの仕切りを閉める。
仕方なく俺は何着かの内の一着を選んで、元々着ていたTシャツの上から被った。
ないこ
自分で一度鏡を見てみると、そこには水色の半袖シャツを纏って狭い空間に立つ俺の姿が視線に映っていた。
ズボンや俺の体という根本的部分は変わらないのに、シャツが変わるだけでも随分印象が変わるものだ。
ないこ
いふ
仕切りを開け、俺の姿をまろが見えるように彼の方向を向いて立ってみる。
初兎
悠佑
ほとけ
りうら
俺たちが試着室にいることに気づいた四人は、試しに着てみたこの洋服と俺に感想を述べる。
思っていた以上に好評だったので、俺はもう一度自分の姿を鏡で覗いた。
ないこ
自分だけ聞こえるようにそっと呟く。
ほとけ
初兎
りうら
悠佑
ないこ
初兎はりうらが試着する服を持っていくためにどこかへ行き、ほとけっちもそれについて行く。
アニキはりうらと何か話していて、まろは試着室のカーテンを再び閉めた。
__こんな事を繰り返し、俺たちは無事第一の目標であった洋服を買うことに成功したのだった。