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第六章 言えない本音
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挑発する。 全部、ここで終わらせるために。
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刃が振り下ろされる。 避ける。 わざと、遅れる。 刃が深く刺さり、血が流れる。
狩人
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吐き捨てる。
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血の匂いが広がる。 でも、その奥に。 消えない。 ――甘い匂い。
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呼吸が乱れる。 浮かんだのは、 花を見せてきた顔。 「これ、きれいでしょ」って。 俺の耳に触れて、笑って。 「かわいい」とか、平気で言って。
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小さく零す。 なんで今、こんな時に。
狩人
刃がさらに深く入る。 体が揺れる。 視界が滲む。 でも消えない。 ーーぷりちゃん! 聞こえた気がした。 違う。 ここにはいない。 それでも。 ーーねえ、一緒に行こうよ 声が、重なる。 ーー守ってくれるんでしょ? ーー……離れるな あのとき、言った。 守れてるのか俺は、これで。 本当に。
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膝が落ちる。 力が抜ける。 終わりが、近い。
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刃が向く。 その先には何もない。 ただ、頭の中だけが やけにあたたかかった。
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名前が零れる。 自然に。
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小さく、呟く。 その瞬間。 全部が、繋がる。 匂いに引き寄せられてただけじゃない。 本能に振り回されてただけでもない。
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乾いた笑いが漏れる。
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遅すぎる。 全てが終わる、この瞬間に。
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不意に視界が、ぼやける。 血じゃない。 頬を、何かが伝う。 熱い。 一滴。また、一滴と どんどん溢れ出してくる。
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息が震える。 止め方なんて、知らない。 泣いたことも、泣く理由なんて、 なかったから。
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小さく、呟く。
……だから、喰えなかったのか
全部納得してしまう。 あの距離も。 触れたときのあの感覚も。 離せなかった理由も。
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思い出したくないのに… すぐ近くで笑う顔。 「ねえ」って呼ぶ声。 無防備に近寄ってくるとこ。 ――最後に俺に 伸ばしてくれてた小さな手。
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胸の奥が、強く痛む。
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かすれた声が漏れる。 自分でも驚くくらい、弱い声で。
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言ってしまってから、馬鹿らしいと思う。 そんなこと。 考える意味なんて、もうないのに。 それでも。 止められない。
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ぽつりと零す。 本音が、全部。 次々とこぼれていく。
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こんな簡単な願いですら、 神は叶えてくれないのか。 それだけでよかったのに。
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目を閉じると 浮かぶのは、やっぱり 笑った顔。 耳に触れて、楽しそうに笑った顔。 ……ほんとに
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小さく、呟く。
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それだけは、確かだった。 たとえ、俺には何も残らなくても。
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最後に、息を吐く。
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きっと届いてはいないだろう。 それでも願わずにはいられない。 だんだん視界が真っ暗になって、 それから何も聞こえなくなった。
END
コメント
2件
辛すぎる😭😭😭 わるいことしてないのに😭 幸せになって欲しかった

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