この話では、現実の話を題材に書いております。 けして存在したご本人様方を貶しているわけではございません。 そのため、苦手な方は見ないでください。
敦くんは、去っていってしまった。
私の気持ちもすべて振り切って、去っていってしまった。
私の光は、もう私を照らしてはくれない。
……ああ、どうか、行かないで
敦くんにとって、私は暗闇でしかなかったのだろうか。
もし、そうだとしたら、私はいくらでも変わる。
変わる、変わるから。
どうか、置いていかないで……
捨てないで、見離さないで、幻滅しないで、独りしないで……
光のない暗闇に居続けるのは、
苦しい
あれから、数週間が経った。
彼からの連絡は、本格的に断ち切られてしまった。
彼の家に行ってみようと試みたが、
そもそも、双方の家の場所ですら知らなかったのだった。
行こうにも、行けなかった。
そして、そのまた数週間が経った後、
友人を伝って、
彼が、中島敦くんが、
持病が悪化し、
亡くなったと、聞いた。
それを聞いた時、
私は死に時だと思った。
すべてに絶望した。
すべてが空虚だと思った。
だから、静子、太田静子が私の子供を身籠ったと聞いた時、
私は何も言わず、自分の名前を分けてやった。
山崎富栄との関係も、すべては敦くんが残していった心の穴を埋めるのにちょうどよかっただけだった。
彼女たちに罪悪感を抱かなかったわけではなかったが、
体を重ねるたび、彼の艶やかな表情が思い浮かぶ。
嫌だと言いながらも、私にしがみついている彼の姿。
恥ずかしそうに抑えている、艶やかな嬌声。
赤くほてった顔に、
大粒の涙を浮かべた瞳。
細くて熱くて小さなその体、
体を重ねるたびに、彼との関係がよみがえってくる。
もう一度、見たいと思ってしまう。
そのたびに女の体を求め、
彼でないことを悟り、憂鬱になる。
彼の、彼の影を、暗闇の中で探してしまう。
そして、富栄からの誘いに私はうなずき、
玉川上水にて、心中を図った。
私の心中は、日本中で話題になった。
誰も、私の気持ちには、
一切気づかず。
コメント
12件
羊右様の二次創作小説見るたびにこれが二次創作では無いと思い始めている……!そろそろ末期かもしれぬ。 え待ってこれが二次創作?一次創作じゃ無いの??? てか、もし羊右様が夢小説でも書いてしまったら私の中での夢小説がガチもんの小説になっちまう…… 羊右様が書けばどんなジャンルでもなんでもレベチになっちまうんですね! 分かります!!