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救ったところで巣くえない

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救ったところで巣くえない

1 - 救ったところで巣くえない

♥

1

2026年01月18日

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偉努

食べられそう?

神留麻

もう、だから私は

神留麻

元気なんだってばー

神留麻

……ん、うわ

神留麻

これ!この、卵焼き!

偉努

どう?

神留麻

めちゃめちゃおいしいっ

神留麻

ああ、唐揚げもおいしい〜

偉努

よかった

偉努

俺も上達したかな

神留麻

へへっ

神留麻

なんか、なんか

神留麻

幸せだなあ……

偉努

幸せなの?

神留麻

うん!

神留麻

幸せなんだあ

神留麻

神留麻

偉努くんのおかげだよ?

神留麻

本当に、ありがとうね

神留麻

偉努くんのおかげで私

神留麻

ちゃんとご飯食べられるし

神留麻

落ち着いていられるの

神留麻

うれしいな

神留麻

優しい偉努くんと出会えて

偉努

君の笑顔は

偉努

……いや俺は

偉努

やるべきことをしているまでだよ

偉努

これを優しいと受け取ることのできる

偉努

君の心が優しいんだと思う

神留麻

え、ええっ?

神留麻

そんな、褒められたって

神留麻

弱音しか出ないんだからね?

偉努

好きなだけ話せばいいよ

神留麻

……あまいんだからあ

偉努

昼は校舎裏へ連れ出した。

偉努

彼女は人に見られることを恐れているから

偉努

俺が積極的に隠してやるととても喜ぶ。

偉努

陰では俺の評判が上がっているし

偉努

だからといってわかりやすい得があるわけではないが

偉努

好意的な印象は抱かれておけばおくほどいい。

偉努

彼女は唇を尖らせながら、俺の作った弁当を箸でつまみ

偉努

何がそんなに嬉しいのか、笑みを絶やさず

偉努

眉を下げて俺の顔を窺っていた。

偉努

罪悪感を抱く必要などないのに。

偉努

幼馴染が死んだんだ。

偉努

ショックを受けるのも当然のことだ。

偉努

……相変わらず

偉努

酷い荒れ様だね

神留麻

ふっふふ

神留麻

だよねっ

偉努

まったく……

偉努

偉努

ごみくらいちゃんと捨てて

偉努

空き缶置きっぱなしにしてたら虫が寄って来るよ

神留麻

虫なんかもういくらでもいるよ?

偉努

死骸潰れて部屋汚れたら

偉努

困るの君だよね

神留麻

うん……?

神留麻

うー、んー……

偉努

あぁほら

偉努

寝そべったら埃付くから

神留麻

はいはあい

偉努

…………

神留麻

あっという間に片付いていく……

神留麻

偉努くんって、しっかり者だなあ

偉努

……君も何か

偉努

自分でできることを増やしていこうね

神留麻

気が向いたらねえ

偉努

……そうだね

神留麻

きゃー

神留麻

ちょっとお

神留麻

いきなり積極的だね?

偉努

…………

神留麻

…………

偉努

…………

神留麻

……あの

神留麻

ごめんなさい

神留麻

やっぱり舌は

偉努

……どうして?

神留麻

なんかね

神留麻

なんか

神留麻

…………

偉努

うん

神留麻

あのね

神留麻

神留麻

すごく失礼だって、わかってる

神留麻

けど

神留麻

ごめん

神留麻

神留麻

言わなきゃだめ

神留麻

かな……?

偉努

わかった

偉努

話したくないことは話さなくていいよ

神留麻

何回も、ごめんね

神留麻

本当に……ごめんなさい

偉努

俺こそ

偉努

急に押し倒してごめん

神留麻

ううん

偉努

じゃあ、帰るね

神留麻

うん……

神留麻

またね

偉努

彼女は、家を貶すようなことを言うと喜ぶ。

偉努

俺は何かを下げる発言などしたくもないが

偉努

彼女のストレスが緩和されるのなら、多少の妥協はつきものだ。

偉努

毎週日曜、部屋を掃除しに訪れるのも習慣になってきた。

偉努

今まで溜め込んでいたのを解放していくみたいに

偉努

彼女は様々なことを俺に委ねきっている。

偉努

俺は頼られ過ぎている、

偉努

何もかもを引き受けることは必ずしも善いことではないだろう、

偉努

依存させてしまうのはよくない。

偉努

色々なことを少しずつ、彼女にもさせていきたい。

偉努

均衡を合わせなければ。

偉努

時々彼を思い出す。

偉努

俺は彼の何倍も的確に

偉努

彼女を助けることができたから、

偉努

回想するのはいつも

偉努

俺が自分を落ち着かせたいときだ。

昼休憩中、大小さまざまなグループが形成されていくのに

いずれにも所属せず、炎天の下を歩き回る彼女の

虚ろな表情と肉知らずな手足が気になった。

偉努

何か探してるの?

神留麻

あ……学級委員の

神留麻

神留麻

お弁当忘れちゃっただけっ

神留麻

暇だからお散歩してたの

偉努

だけって……

偉努

午後の競技も残ってるのに

偉努

体力もたないよ

神留麻

じゃあ、ゼリーでも買うもん

偉努

暑い中ゼリーの為だけにコンビニまで10分歩くのは

偉努

非効率的じゃないかな

神留麻

ええ?

神留麻

なんか、うるさいなあ

偉努

…………

偉努

俺の半分あげるから

偉努

涼しいところへ移動しようか

神留麻

わ!わ!

偉努

どう?

神留麻

めちゃめちゃおいしい!!

偉努

よかった

偉努

俺が作ったんだ

神留麻

ええっ!

神留麻

すごいよっ

神留麻

プロだよっ

神留麻

お店出せるよっ

偉努

褒めすぎかな

神留麻

だって、人の作るごはん久しぶりに食べたの

神留麻

感動しちゃった……へへ

神留麻

あっ!

神留麻

あ、あ、ちょうちょ

神留麻

……な、夏なのに

神留麻

無駄に、生きちゃったんだね

神留麻

私が弔って、あげるー

神留麻

えいっ

偉努

え?

偉努

どうして?

神留麻

…………

神留麻

こわい?

偉努

いやこわいというか……

偉努

わけがわからない

神留麻

この子に宿る愛を

神留麻

世界に戻してあげてるの!

偉努

愛?

神留麻

偉努

愛ではないよ

神留麻

ううん愛だよ?

神留麻

みーんな持ってて

神留麻

命の中にあるから

神留麻

死んでくれなきゃ世界は醜くて

神留麻

危険なままで

偉努

愛じゃない

神留麻

愛なんだってば!

偉努

間違ってる

偉努

君の言う愛は

偉努

適当な幻で

偉努

自己中心的な妄想にすぎない

神留麻

……本当に

神留麻

そう思う?

偉努

うん

偉努

愛が何だと断定できるわけではないけど

偉努

少なくとも還元可能な代物ではないんじゃないかな

神留麻

へえ

神留麻

そうなんだね

神留麻

…………

神留麻

なんか、初めてだあ

偉努

初めて?

偉努

何が

神留麻

否定してくれた人

神留麻

いままでいなかったんだあ……へへ

神留麻

うれしい

偉努

……そっか

神留麻

あのね、あの

神留麻

聞いてくれる……?

偉努

聞くよ、なんでも

偉努

話してみて

神留麻

私い、家で

なんの脈絡もなく、紋白蝶を殺す

に至るまでの動作は決して滑らかでなく、

視線は定まらず、

口調は棒読みで、

一挙手一投足の不自然さは俺の存在を強く意識していると言わんばかりだった。

抗議する声は震え、

眼差しには仄暗く煤けた期待が込められ、

彼女は俺に救いを乞うていた。

応えずにはいられなかった。

彼女の報われていくさまはあまりにも痛々しく、

見ているのは居た堪れなかったが、

自ら扉を開いた俺に堰き止める術はなかった。

GUTTER・・・

神留麻

別れた方がいいんじゃないかなって

偉努

…………

偉努

理由を訊いてもいい?

神留麻

うん、私は……

神留麻

応えられない気が

神留麻

する

神留麻

偉努くんの期待に

偉努

期待……?

偉努

いや、俺は

偉努

ただ神留麻を満たせればよくて

偉努

神留麻に何かを貰おうだなんて全く

神留麻

違うよ、違うよ

神留麻

偉努くんの言動はちぐはぐで

神留麻

いつもすっごくずれてるの

偉努

何が?

神留麻

貴方は優しい人で

神留麻

とても親切で

神留麻

だけど

神留麻

時々

神留麻

嘘をつくのが

神留麻

……間違った言葉を使うのが嫌だったの

神留麻

素直になればいいのにって

神留麻

なってほしかったし

神留麻

すごく不器用で

神留麻

可哀想だなと思ってた

神留麻

貴方は私を欲しがらなかった

神留麻

私の存在を

神留麻

自分を正常値に置くために使ってた

神留麻

だけでしょ

偉努

何のこと?

神留麻

はぐらかさなくていいよ

神留麻

……貴方は頼もしいけど

神留麻

でも疲れたの

神留麻

疲れちゃった

神留麻

私じゃなくてもいいんだから

偉努

でも、君は

偉努

偉努くんのおかげでって

偉努

俺が初めてだって泣いて

神留麻

確かに涙は流れたけど

神留麻

でも

神留麻

感情が全てじゃないから

神留麻

神留麻

わかるでしょ

神留麻

偉努くんなら

偉努

…………

神留麻

私が子供っぽいの

神留麻

幸せになれないの

神留麻

貴方の正しい優しさで

神留麻

確かに救われたけど、満たされないの

神留麻

満たされたらいいのに、満ちてくれないの

神留麻

間違ってた

神留麻

……冥くんが

神留麻

居てね、思い出すばっかりで

神留麻

冥くんの気持ちが残ってて

神留麻

気づいたの

神留麻

恋じゃないの

神留麻

だから応えられなかった

神留麻

でも、冥くんを

神留麻

どちらかを選ぶわけじゃなくて

神留麻

選べないのが悪くて

神留麻

…………

神留麻

いつの間にかいつも

神留麻

幸せにならないようになってるの

神留麻

……欲張りな私が全部壊してて

神留麻

偉努くんの素敵なところ、無駄にしちゃう

神留麻

だから別れよう

神留麻

あとね、偉努くん

神留麻

呼び方……

神留麻

変わらなかったね

神留麻

寂しかったな

偉努

いや、違う。

偉努

俺にはわからない。

偉努

わからない、

偉努

わからない、

偉努

わからない、

偉努

「わかるでしょ」なんて、

偉努

ただの傲慢な盲信だ。

STRIKE!

偉努

俺は何も知らない。

偉努

何一つ共感できない。

偉努

彼がやっていたのは偶像崇拝で、

偉努

あんなのは彼女自身を否定する行為だ。

偉努

存在に対する冒涜だ。

偉努

なのに何故それを中途半端に肯定する?

偉努

俺は彼と同じにならないように努めた。

偉努

つまらない愚か者にならないように、

偉努

一定の距離を保っていた。

偉努

俺が自分の感情を即席の論理で

偉努

誤魔化すせいで彼女は、

偉努

……俺は打算で救ったんじゃない。

偉努

俺は彼女の思いを汲み取るばかりで

偉努

自分の気持ちを伝えることを怠ったから。

STRIKE!

偉努

あぁ……

偉努

だって俺は

偉努

ただ

偉努

偉努

神留麻の

偉努

笑顔が

偉努

他のどんな

偉努

何よりも

偉努

好きで

偉努

好きで

偉努

堪らなかった

偉努

だけなのに

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