蘇枋
桜
蘇枋
桜
あんなに走って、やっとの事で、捕まえた、少し汚れた白い毛並みを纏った魚ドロボーは、呑気に桜の腕の中で、一声、にゃあと、鳴いていた。
蘇枋が、猫の退路を塞ぎ、 桜のアクロバティックなうごきで、 見事猫を捉えて見せた。
蘇枋
蘇枋
桜の腕の中にいる猫の頭を、 蘇枋は少し撫でながら話した。 普段なら絶対触らなさそうなのに。 どんな菌を持っているかも分からないし、飼い猫と違って、綺麗でもない。
桜
蘇枋も、少しずつ変わってきている、 ということなのだろうか。
蘇枋
俺が蘇枋の変化を指摘する前に、話を遮られた。 蘇枋のタッセルピアスが、しゃらりと音を立てて揺れた気がした。
蘇枋
蘇枋
「1番手っ取り早いんだけどな、」 蘇枋はそう言って、ちょっと困った様に笑って見せた。 言いかけた言葉を止めたのは、 きっと俺の顔を見たからだろう。抱いている猫をもう一度ギュッと抱きしめたあと、明らか怪訝そうな 顔を向けたからだろう。
確かに蘇枋は、噂に聞いていた話よりも、仲間思いで、性格が悪い。 そして、最初にあった時よりも、たしかに変わっている。 それでも、まだこういう考えは抜けないのだろう。
蘇枋
桜
自分が危うく保健所に送られるところだったのに、当の本人はと言うと、桜の腕の中で気持ちが良さそうに喉をゴロゴロと鳴らしていた。
桜
「にゃあ?」と白い猫は、 小さな頭を傾げてみせ、 桜の腕に頬を擦り付けた。
蘇枋
そう言う蘇枋の視線は、 何故か俺の方で、 デコピンしてやろうかと指の形を作ったが、あっさり避けられてしまった。
桜
蘇枋
蘇枋
桜
「酷いなぁ、」 そう言う蘇枋の顔は、 困った様な顔をしていたが、 心底楽しそうにみえた。
蘇枋
蘇枋
桜
魚泥棒の犯人を 魚屋に連れていった所、猫を飼ってくれる事になったらしい。 以外にも、店を経営している店主が、 台の猫好きだったらしく、 あの人馴れした猫にするりと足元に擦り寄られ、心打たれたらしい。
あの時の様子と、桜の顔を思い浮かべて、蘇枋はくすりと笑った。 たしかにあの少し怖い顔した店主が、あそこまで猫にデレデレになっていると、あんな顔にもなってしまうだろうな。
桜
蘇枋
桜
半ば呆れた様に、桜は1つため息をついた。まぁ、それでも、言っていることは蘇枋の言う通りなので、何もいい返しはしなかったが。
蘇枋
桜
蘇枋
桜
蘇枋
そう言う蘇枋の顔は、いつもの様にふざけた顔ではなく、 その綺麗な蘇芳色の瞳で、 こちらを見ていた。
コメント
8件
相変わらずホッコリするやりとりで倒れる所だったよ(?)そして改めて猫になりたいとも思った今日この頃…それか、その猫ちゃんが咥えていった魚🐟にでm((( ♡×???ぐらいにしておくよ👍👍
お久しぶりです🙌🏻💗 自称古参です😖転生してきました💗 最初見た時にドロボー捕まえる桜くんかっこいい!と思ったらまさかの猫ちゃん..笑 ドロボー捕まえる桜くん可愛い!になりました😖💓 恋の表現?気持ちの表現?が相変わらず丁寧で素敵な作品でした🙌🏻💕
今回も素敵なお話ありがとうございます🙇♀ いいねが少なくなって来てる分、私がいっぱいいいねを押します!🔥 こんな素敵な作品にいいねをしないなんてもったいなすぎます😢 いつも考えさせられる作品ばかりで続きはどうなるのかな、ここはこんな伏線かな、とわくわくして読んでおります😊 もっと多くの方にどっかの誰かさん。の作品が届きますように🙏✨ 続き楽しみにしてます!これからも頑張ってください💕