若井滉斗side___
がたん、ごとん
がたん、ごとん
電車に意味もなく揺られながら
過ぎていく景色を眺めながら
その鮮やかな色彩をシャットダウンするように目を閉じる
目を閉じて思い出すのは
もう過去になった思い出
昨日、俺は人生で初めての恋人と別れを告げた
綺麗な髪も大きい瞳も
まだ全部鮮明に覚えている
今まで行ったデート先も
全部全部、昨日のように
別れを告げたのは、俺の我儘だ
___
仕事ばっかりの彼が嫌だった
俺と一緒にいても仕事ばっかりの彼が心底憎かった
wki.
wki.
omr.
タブレットで今度出るという映画の原作を読む彼
目の前にいる彼は間違いなく
テレビで俳優として活躍している大森元貴で
その横にいるのは冴えない俺だった
wki.
omr.
omr.
そう言って元貴はイヤホンを耳に嵌めた
明確な会話の拒絶。
隣に俺がいるはずなのに
一ヶ月ぶりに会えたのに
ちょっと待ってよ
なんで、
wki.
wki.
そう言って元貴の横を離れると、
元貴はこっちを向いた
青いイヤホンを外してこっちをみる
その瞳は間違いなく、待ってと言っていた
でも、それでも俺は元貴から離れた
ドアを出る時
今引き止めてくれたら
とちょっとだけ願った
行かないでって言ってほしい
泣きながら俺を引き止めてほしい
でも、背中に刺さるのは
元貴の冷たい目線だけだった
___
鮮やかな景色をもう一度目に焼き付ける
そして脳裏に浮かぶのは
元恋人の大森元貴
あの人のことがまだ好きなのかどうか
もう俺にはすっかりわからない
『馬と鹿』 StaRt
こんにちは
♡と💬たくさんください
それではまた
コメント
7件
うわぁぁ…😭心が、締め付けられる…… どうかいい未来になりますように…!
馬と鹿って米津さんの…?間違ったらごめんなさい。仕事で忙しいのは仕方ないけど、それでも大森さんは若井さんのことを構うべきだったんじゃないかなぁ
絶対神作品