コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
この世には──────
己の欲望や怒りの為に、罪なき者に躊躇なく被害を加える者たちが存在する。
しかし、そんな者達を断罪しようと悪に立ち向かう者たちがいるのも……また然り。
時は2100年───
嘗ては平和主義だった日本に
あらゆる事件が毎日のように発生する時代が到来した────
ここは東京のとあるホテルの入口。
そこには──────
一人の少女を取り囲むパトカーと⋯⋯ 警察官、数十名の姿があった。
その中で一人、少女に向かって叫ぶ男が居た――
原嶋
そう言って少女に近付くのは、あらゆる犯罪者を捕まえてきた優秀な刑事、原嶋(はらしま)刑事。
後に登場する犯罪組織の専属刑事…『特殊犯罪組織捜査班』に所属し、彼を中心に動いている。
仕事熱心で、事件が解決するまで何処までも追求する男である。
刑事だが、気を引き締めるためにいつもスーツを着用している。
少女とは数ヶ月前に出会い…といっても窃盗犯と刑事の関係なのだが……
彼は一度もこの少女を捕まられたことが無い。
何故なら……
凛音
そう言って、誰かから盗んできたであろう、指輪を人差し指に引っ掛け、余裕そうにそれを回す彼女は、凜音(りおん)。
原嶋
原嶋は両腕を大きく横に広げ、体全体を左右に動かす素振りを見せる。
しかし、その行動を見抜いた凜音は、神経を体に集中させ、それと共に背後から吹く風に合わせて素早く浮上(ふじょう)し、数台のパトカーの上を軽々と飛んでいく。
原嶋
背後に来ると思っていた原嶋は彼女に先手を取られたようだ。
そう────
凜音は風の力で自由自在に飛び回れる異能力の持ち主だったのだ。
宝石が大好きで、頻繁に宝石店に忍び込み、窃盗を繰り返す。
また、宝の匂いを嗅ぎ付ける事が出来るため、道歩く人からも容赦なく奪う。
今日もホテルから出てきた客から奪った物だ。
凛音
原嶋
凛音
原嶋
原嶋
その言葉と共に、先程まで凛音の周りを取り囲んでいた原嶋の部下達は、彼女の乗るパトカーの上を一斉に左右から上り始めた。
後、もう少し……というところで、一人の部下が凛音の足元に手を伸ばす。
部下
その声に釣られ、次々と他の部下も手を伸ばし始めた─────
凛音
凛音
彼らが彼女の足を掴もうとした瞬間───
ふわっと隣のパトカーへと彼女は移動した。
その反動でパトカーが揺れ動く。
部下達
ドォ━━━━ンッ!!!
バランスを崩した彼らは、ズルズルと地面に落ちていく。
その姿はまるで、ギャク漫画でも見ているかの様な酷い有様だった。
凛音
凛音は、彼らの無様な姿を見ながら、楽しそうに笑う。
その一方で原嶋は、見てられない…と言わんばかりに、ため息をついた。
原嶋
凛音
原嶋
原嶋
そう言ってゆっくり、凛音に近付く。
凛音
それに気付いた凛音は、原嶋の動きに合わせて後退る。
凛音
しかし、パトカーの上は然程(さほど)広くはない。
これ以上、下がれないと判断した凛音は、何かを思い出したかのように、原嶋に向けて手を合わせた。
凛音
凛音
凛音
凛音
原嶋
原嶋
原嶋の声は虚しくも、凛音の耳には届かず、彼女は風と共に姿を消した────
原嶋
今日も捕まえられなかった事に対する悔 しさと、自分自身への苛立ちを抑えきれず、部下達に当たるように言った。
そして、パトカーに乗り込もうとした……
その時────
ポケットから着信音が聞こえた。
原嶋
原嶋
通話
00:00
原嶋
原嶋
電話を切るなり、真剣な面持ちで周りの部下に指示をし始める。
原嶋
原嶋
そう言って原嶋を率いる 『特殊犯罪組織捜査班』達は
一斉に現場へと向かった─────
海斗
風花
風花
海斗
サキ
サキ
海斗
風花
サキ
どうやら、この者達は物陰に隠れて、原嶋達の様子を伺っていたようだ。
彼らの正体…それは……
─────断罪組織『Shadow』──────
異能力者の中でも特に優秀な能力を持つ者達だけで結成された
竜崎 海斗を中心とする“国民的英雄”とも言われる組織である。
そんな彼らが………
いよいよ本格的に 動き出したのであった─────