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翔太

投げられたらどうしようかと思ったよ。

どうして池田先輩がここにいるんだ…これじゃあ、計画が…

翔太

お前、テニス部より演劇部に入った方がいいんじゃねぇの?

翔太

お前がいつ爆発するか分からない爆弾を抱えてここまで走ってこられたのは、
そのカバンの中に爆弾は入っていないこと、お前は知っていたからだよな?

翔太

ひょっとして、本物の爆弾は、お前のそのカバンの中にあんじゃねぇの?

僕を、ハメたってことっすか。

翔太

待て待て。ハメたのはお前の方だろ。

翔太

あの時…

美月

だから、あれは暗号なんだって。小説読めば分かるよ。
梶井基次郎の「檸檬」の中の主人公、「私」は檸檬を爆弾に見立てて、
本屋に置いてくるの。

つまり、メモにあった檸檬は爆弾で、爆弾を仕掛けろってことですよね?

翔太

…?

美月

なんか大好きなミステリーっぽくなってきた!

ミステリー俺もめっちゃ好きっす!

翔太

あの時、俺は背中に微かに重みを感じたんだ。

翔太

今思うに、お前は自分の推理に興奮して俺の肩を叩いたというフリをして、
俺の背負っていたリュックの中にレモン、つまり爆弾を仕込んだんだよな?

翔太

そして、あの時、俺のカバンからレモンが出てきた時。

…!

翔太

お前はノーリアクションだったよな?

翔太

俺は信じていなかったが、お前はレモンは爆弾だと信じていた。
それならレモンを見たら驚くのが普通だよな?

翔太

ってことは、お前があの時俺のリュックに入れたレモンは爆弾じゃなくて、
ただのレモンだ。

池田先輩が来た方面から見覚えのある人影が近づいてくる。

美月

はぁはぁ…陸くん!

美月先輩…

翔太

ちょうどいいタイミングだ。櫻井。

美月

え?

翔太

いや、こっちの話。

翔太

話を戻すと、お前のリアクションで俺のカバンに入っていたレモンは
爆弾では無いと気づいた。

翔太

だから俺は櫻井が戻ってきた時に櫻井にメッセージを送ったんだ。

メッセージ…?

池田先輩は頭を二回指で指し、その後ネクタイを一回指で摘んだ。

翔太

な。櫻井?

美月

うん。私ら野球部で使ってるスクイズ警戒のサイン。
つまり池田くんのことを警戒しろって意味かなって思ったの。

翔太

正解。さすがマネージャー。

…そういうことっすか。

翔太

教えろ。お前の目的は一体何なんだ?

こういう時は…

翔太

翔太

あ、おい待て!

逃げるしか無いっしょ!

美月

池田くん!

翔太

ったく…逃げ足早いな…

翔太

なぁ、もういいよ放っとこうぜ。爆弾なんてどうせ嘘だろ。

美月

そんなの分んないじゃん!

美月

嘘なら嘘でいいから、ちゃんとはっきりさせようよ!

美月

もし檸檬が本当なら、陸くんはどっか仕掛けに行ったわけでしょ?
どこかにそのヒントがあったはず。

翔太

ヒント…

翔太

だったらあの絵描きの男かも!

美月

絵描き?

翔太

俺たちが次の暗号を探していた時、近くで変な絵を描いてる男がいたんだ。
そのことを陸に伝えたら、そいつも組織の人間なんじゃないかって言ったんだ。

美月

つまり?

翔太

つまり、絵描きの男は陸の仲間。あの変な絵は陸に対するメッセージだったんだ。

美月

なるほど。どんな絵?

翔太

たしか…鯨みたいな…

美月

鯨?

翔太

どこかで見たことが…

翔太

翔太

あ!そうだ!行こう!

美月

え?

ーー二人はエコルとごしにーー

翔太

これだ!このプロジェクションマッピングをあの絵描きは描いてたんだ!
間違いない。

美月

よし。陸くん探そう。

翔太

ああ。

翔太

実は、まだ引っかかってることがあんだよな…

美月

なに?

翔太

Mだよ。

翔太

なんで櫻井にだけメッセージ送ったんだ?

美月

…確かに

美月

いた。陸くんいた。

美月

あっち。

目線の先には陸と絵描きの男の姿が。

翔太

やっぱりあいつらグルだったんだ。

二人の近くにはアタッシュケースが。

翔太

もしかしてあの箱が爆弾かも。

翔太

止めに行ってくる。

美月

私も行く。

翔太

ダメだ。櫻井は逃げろ!

美月

でも!

翔太

櫻井はそこにいろ。俺が行く。

翔太がアタッシュケースに近づいていく。

翔太

Mはやっぱり宮田だ。

美月

宮田くんが?

翔太

陸は同じテニス部なのに、宮田の話題には一切触れてこなかった。

翔太

それは宮田が陸に指示を出していたからだ。
そう考えると、櫻井を狙ったことにも筋が通る。

美月

…池田くんさ、今度ミステリー書いてみたら?

翔太

は?何だよ急に

美月

いや、なんか小説みたいな推理してたから…

真横から怪しい気配を感じた。

翔太

ん?櫻井?

美月

宮田くん…登場だよ…。

じりじりと宮田くんが不敵な笑みを浮かべながら近づいてくる。

翔太

な!くっそ、そっちか!

翔太

待ってろ!すぐ行く!

美月

ダメ!池田くんは爆弾確認して。あったら警察呼ぶ。

翔太

でも!

美月

私は大丈夫。

翔太は美月の言葉を信じ、アタッシュケースの中身を確認する。

翔太

レモンて…

中身は爆弾ではなく、何の変哲もない檸檬だった。

確認が終わり、美月の方を見ると、

宮田が美月の眼前に迫っていた。

美月

やめて!

翔太

野郎…ふざけやがって!

翔太は全力で宮田目掛けてアタッシュケースの中にあった檸檬を投げつけた。

その檸檬は綺麗な弧を描いて宮田にクリーンヒットした。

翔太

櫻井!

美月

池田くん!

翔太

大丈夫か?

美月

うん…

互いの無事を確認していると、絵描きの男がコートを脱ぎ、 こちらに声をかけてきた。

翔太

え、あれって…

美月

浦山先生!?

浦山

先生さ、ミステリークラブの顧問なんだよ。

美月

ミステリークラブ?

翔太

ミステリークラブ?

浦山

まぁでもまだ、部員は二人しかいないけどな。

部員とは、陸と、美月の友達のひろこ のことである。

ひろこ

ごめんね美月。私がMの正体。ミステリーの、M。

美月

なんだひろこか。そりゃ私の連絡先知ってるよ。
ってか、ひろこミステリークラブ入ってんの?

ひろこ

浦山先生に誘われちゃって。

美月

ん?そういえば、陸くんのテニス部辞めた理由って、

そうっす。こっちがやりたくて。

浦山

ごめんなこんなことして。部員募集のための動画が撮りたくてさ。

翔太

じゃあ、あいつは?

そういって翔太は宮田を指差した。

浦山

知らない。宮田、お前なんでここにいたんだ。

宮田

たまたまいたんだよ。そしたら、櫻井さんがいたから。

翔太

(いたから何しようとしてたんだよ…)
たまたまなんだ…。陸と繋がってなかったんだ…

はい。宮田先輩は、全く関係ないです。

翔太

なぁぁぁんじゃそりゃ…

あぁそうだ先生、この、死体役の人って誰ですか?

陸が写真を見せる。

浦山

誰だよそれ。死体が合成したやつ渡しただろ?ほらこの、女の人の。

え、俺これ知らないっすけど。

浦山

え?まじ?

美月

…?

美月

あ…あの、もう帰っても…?

浦山

あ、ああすまない。もちろん。動画に付き合ってくれてありがとな。
気をつけて帰れよ。

美月

はい。それじゃあさようなら。

美月

ねぇ池田くんあのさ、私やっぱり甲子園行きたいんだけど。

翔太

ばぁか。そんな簡単じゃねぇよ。

美月

…仕方ないなぁ。ここでもマネージャーやってやるか。

翔太

ん?なに?

美月

美月

翔太!私を甲子園に連れてってくれたら、彼女になってあげるよ。

翔太

あぁそうなんだ。

翔太

翔太

え、今なんて?

美月

ふふっ。早く高校決めてね。

翔太

いや、そうじゃなくて、ねぇ、なんか言ってたよね?

美月

ふふっ

美月

さあね!

しながわミステリークラブ

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